11:00 〜 11:15
[STT43-02] 場の再構成に基づく震度分布の空間特徴量の抽出:歴史地震の発生場所の制約にむけて
キーワード:震度分布、震度場再構成、震源位置推定、歴史地震、基底関数展開、関東地方
震度は地表で計測される地点ごとの地震動の程度であり,一般的に震源直上(震央)で最大となり,震央から遠ざかるにつれて減少する同心円状の分布を示すことが期待される.しかし,実際には,非同心円状の震度分布がしばしば観測されており,その空間変化は地震の発生位置や放射特性,地下構造と関係していることが知られている.例えば,太平洋スラブの深発地震による異常震域(Furumura and Kennett, 2005 JGR)はよく知られた非同心円状の震度分布である.また,関東地方においても非同心円状の震度分布が報告されており(Nakanishi & Horie, 1980 JPE; 中村・他,2007 歴史地震),この要因として,当該地域における減衰の不均質構造の影響が指摘されている(中村・他,2023 地震).地下の構造が時間的に大きく変化しないと考えれば,震度分布の特徴は震源像の制約に有用な情報となることを意味している.
この知見に基づき,我々は震度やそれに相当する情報が重要な観測記録となる過去の被害地震(歴史地震)について,その震度分布と現在の震度分布との類似性に着目した歴史地震の震源像の推定に関する検討に着手した(石瀬・他,2023 SSJ).石瀬・他(2024JpGU)では,震度分布の空間的な特徴やその類似性を客観的に評価する方法として,離散的に分布する震度観測点で得られる計測震度データから連続的な震度場を再構成する際に得られる基底の係数を用いた震度分布の類似度評価手法を提案した.震度場の再構成という段階を経ることで,震度観測点の配置が変化する長期間のカタログに対しても震度分布の空間的特徴の類似性を統一的に評価することが可能となった.
本発表では,石瀬・他 (2024)で提案した手法の改良とこの手法を観測データに適用した結果を報告する.主な改良点は震度分布の類似度を評価するためのクラスタリング手法の変更である.歴史地震の震度分布への適用を視野に入れ,次元削減手法であるUMAP(McInnes et al., 2018)を採用した.さらに,提案手法を用いて,2003年から2021年に関東地域で発生した約900の地震に対し,震度分布の特徴に基づいたクラスタリングを試みた.その結果,これらの地震の震度分布は概ね7つのクラスタに分類できることがわかった.そのうち,特徴的な震度分布が報告されている茨城県南部と千葉県北部の隣接する活動域(中村・他,2007)の地震は,それぞれが異なるクラスタに属することが確認された.加えて,プレートの沈み込みに関連して発生する太平洋沿岸の地震について,茨城県沖,銚子沖,房総沖の地震がそれぞれ異なるクラスタに分類されることも示された.以上の結果は,震度分布の空間的特徴を利用することで,地下構造の情報に依存せずに地震発生場所を制約できる可能性を示唆している.
この知見に基づき,我々は震度やそれに相当する情報が重要な観測記録となる過去の被害地震(歴史地震)について,その震度分布と現在の震度分布との類似性に着目した歴史地震の震源像の推定に関する検討に着手した(石瀬・他,2023 SSJ).石瀬・他(2024JpGU)では,震度分布の空間的な特徴やその類似性を客観的に評価する方法として,離散的に分布する震度観測点で得られる計測震度データから連続的な震度場を再構成する際に得られる基底の係数を用いた震度分布の類似度評価手法を提案した.震度場の再構成という段階を経ることで,震度観測点の配置が変化する長期間のカタログに対しても震度分布の空間的特徴の類似性を統一的に評価することが可能となった.
本発表では,石瀬・他 (2024)で提案した手法の改良とこの手法を観測データに適用した結果を報告する.主な改良点は震度分布の類似度を評価するためのクラスタリング手法の変更である.歴史地震の震度分布への適用を視野に入れ,次元削減手法であるUMAP(McInnes et al., 2018)を採用した.さらに,提案手法を用いて,2003年から2021年に関東地域で発生した約900の地震に対し,震度分布の特徴に基づいたクラスタリングを試みた.その結果,これらの地震の震度分布は概ね7つのクラスタに分類できることがわかった.そのうち,特徴的な震度分布が報告されている茨城県南部と千葉県北部の隣接する活動域(中村・他,2007)の地震は,それぞれが異なるクラスタに属することが確認された.加えて,プレートの沈み込みに関連して発生する太平洋沿岸の地震について,茨城県沖,銚子沖,房総沖の地震がそれぞれ異なるクラスタに分類されることも示された.以上の結果は,震度分布の空間的特徴を利用することで,地下構造の情報に依存せずに地震発生場所を制約できる可能性を示唆している.