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[STT43-03] 震源位置の同時推定問題へのMCMC法の適用:近似的JHDに対する考察
キーワード:震源決定、MCMC法、JHD法
地震学分野の最も基礎的な情報である震源位置は,一般的に,地震波(P波やS波)の到達時刻を観測データとして決定される.しかしながら,地震波の到達時刻は地下の地震波速度構造にも影響を受ける.このため,より尤もらしい震源位置を得るためには,速度構造や観測点補正値との同時決定が必要不可欠となる.
震源位置とその他のモデル要素(観測点補正値や速度構造)の同時決定問題はしばしばJHD(Joint Hypocenter Determination)と呼ばれる.このうち,震源位置とその他のモデル要素を交互に最適化する解析スキームは近似的JHD法[e.g., Pujol, 2000; Sakai et al., 2005]として知られている.例えば震源位置と観測点補正値の同時決定を行うとき,近似的JHD法の解析手順は以下の通りである:まず,観測点補正値を考えずに震源位置を決定する.その後,各観測点で残差の平均値を算出し,その値を用いて観測点補正値を更新する.この操作を有限回繰り返し,最終的な震源位置と観測点補正値を得る.
一方で,近年,逆問題の新しい解法としてマルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC法)が注目されている.MCMC法は観測データを説明するようにモデルパラメータを探索・更新し,その事後確率分布をサンプリングする手法であり,複雑な事後確率分布を持つ場合でも対象とするモデルパラメータの値やその不確定性を定量化することができるという利点を持つ.なお,MCMC法では通常探索するモデルパラメータをランダムに選択する.しかしながら,地震数は観測点数に比べて極端に多くなる場合があるため,JHDではモデルパラメータのランダム探索では観測点補正値の更新が遅く,結果として解析全体の効率が低下することが予想される.2024年能登半島地震の余震分布を調べたShiina et al. [under review]ではその対応策として,モデルパラメータを系統的に探索するMetropolise within Gibbsを適用した震源位置と観測点補正値の同時推定スキームを構築した.
近似的JHD法と系統的探索型MCMC法の間には,解析過程においていくつかの類似性が認められた.そこで,本発表では,この震源位置と観測点補正値のJHDを例として,両手法の関係を考察する.具体的には,系統的探索とBlock Gibbs samplingを組み合わせたMCMC法が近似的JHD法のベイズ的拡張と解釈できることを示す.
震源位置とその他のモデル要素(観測点補正値や速度構造)の同時決定問題はしばしばJHD(Joint Hypocenter Determination)と呼ばれる.このうち,震源位置とその他のモデル要素を交互に最適化する解析スキームは近似的JHD法[e.g., Pujol, 2000; Sakai et al., 2005]として知られている.例えば震源位置と観測点補正値の同時決定を行うとき,近似的JHD法の解析手順は以下の通りである:まず,観測点補正値を考えずに震源位置を決定する.その後,各観測点で残差の平均値を算出し,その値を用いて観測点補正値を更新する.この操作を有限回繰り返し,最終的な震源位置と観測点補正値を得る.
一方で,近年,逆問題の新しい解法としてマルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC法)が注目されている.MCMC法は観測データを説明するようにモデルパラメータを探索・更新し,その事後確率分布をサンプリングする手法であり,複雑な事後確率分布を持つ場合でも対象とするモデルパラメータの値やその不確定性を定量化することができるという利点を持つ.なお,MCMC法では通常探索するモデルパラメータをランダムに選択する.しかしながら,地震数は観測点数に比べて極端に多くなる場合があるため,JHDではモデルパラメータのランダム探索では観測点補正値の更新が遅く,結果として解析全体の効率が低下することが予想される.2024年能登半島地震の余震分布を調べたShiina et al. [under review]ではその対応策として,モデルパラメータを系統的に探索するMetropolise within Gibbsを適用した震源位置と観測点補正値の同時推定スキームを構築した.
近似的JHD法と系統的探索型MCMC法の間には,解析過程においていくつかの類似性が認められた.そこで,本発表では,この震源位置と観測点補正値のJHDを例として,両手法の関係を考察する.具体的には,系統的探索とBlock Gibbs samplingを組み合わせたMCMC法が近似的JHD法のベイズ的拡張と解釈できることを示す.