11:45 〜 12:00
[SVC31-11] 吸気口への火山灰粒子の吸引と重力沈降速度の関係に関する検討
キーワード:火山灰、吸気設備、粒子吸引、重力沈降速度
ガスタービン (GT) とディーゼル発電機 (DG) は、燃料の燃焼のために吸気を必要とするため、火山噴火による降灰現象中に火山灰粒子を吸引する可能性がある。火山灰粒子を吸引すると、発電プラントの吸気系のフィルタが目詰まりを起こす他、原動機の部品が損傷してGTやDGが停止する可能性がある。特に重要施設に設置されている非常用発電機では、脆弱性の評価が重要である。一方で、火山灰の粒子は粒子状物質(PM)よりも大きく重いため、慣性により気流に追随しにくい。そのため、吸気設備による火山灰粒子の吸引は気流に追随するPM粒子の吸引と異なる可能性がある。吸気による粒子の吸引を定量化するために、下向きに開口している吸気口を備えた吸気装置により、上方から沈降させた火山灰粒子の吸引試験を行った。
試験装置は幅4.5m×奥行4.5m×高さ5.3mのチャンバ、吸気装置、粒子供給装置から構成される[1]。チャンバの中央の高さ1mに設置された吸気口(幅0.24m×奥行0.24m)は吸気ダクトを通じて、チャンバ内の空気を吸引する吸気装置につながっている。チャンバ最上部に設置された粒子供給装置には供給速度を制御できるフィーダを用い、ニードルを通して試験チャンバ内に試験粒子を自由沈降させる。このニードルの位置を移動して、粒子の沈降位置と吸気口位置の間の水平距離を変更した。試験では吸気口の平均断面風速が5m/sで安定した後に試験粒子を1g/minで沈降させた。チャンバ内の空気を吸引する際に、吸気装置は沈降している粒子も吸引する。吸気口で吸引されなかった粒子はチャンバの床に沈降するため、チャンバ床に沈降した粒子を回収することにより、吸引されない試験粒子の質量が計測される。一方、吸引された粒子は吸気装置内のフィルタで回収されるか、吸気ダクト内に沈降するため、試験前後のフィルタの質量を測定するとともに、吸気ダクト下面に沈降した粒子を回収することにより、吸引した試験粒子の質量が定量化される。吸引試験では、供給した粒子の質量に対する吸引した試験粒子の質量の比で定義される吸引質量比を求めた。
試験粒子には粉砕した大隅軽石粗粉砕物を振とうふるい分級により63-125μmに調製した火山灰粒子(OS3.5Φ)[2]を用いた。OS3.5Φには軽石質および結晶質粒子が含まれる。また重力沈降速度が等しい粒子の吸引質量比は同程度になると考えられる[1]ため、独自開発した風篩装置による重力沈降速度でのOS3.5Φの分級を実施した。風篩装置は鉛直方向上向きの気流中に試験粉体を投入し、気流速度よりも重力沈降速度が遅い粒子は気流に追随・分離し、気流速度よりも重力沈降速度が速い粒子は気流に追随せずに沈降することを利用した粒子の分級装置である。試験粉体には、風篩装置によりOS3.5Φを重力沈降速度0.14-0.20m/sに分級したOS0.17mpsも用いた。
試験粉体を落とす位置を吸気口からの距離0.5mとした際のOS3.5ΦおよびOS0.17mpsの吸引試験の結果を比較すると、OS0.17mpsの吸引質量比がOS3.5Φよりも高い傾向が得られた。また、重力沈降速度が0.17m/sである球形ガラスビーズ50μmの吸引質量比[1]と比較すると、OS0.17mpsの吸引質量比の方が近しい結果となった。振とうふるい分級により得られたOS3.5Φは粒径が整っているものの、様々な密度・形状の軽石粒子や結晶粒子を含み、重力沈降速度は整っていない。一方、風篩装置で得られたOS0.17mpsは重力沈降速度が50μmの球形ガラスビーズと同程度に調整された火山灰粒子である。このことから、重力沈降速度が整えられた火山灰粒子の吸引質量比は、その火山灰粒子の重力沈降速度に等しい球形粒子の吸引質量比と同程度になることが示唆された。本試験は、実際の噴火での火山灰輸送過程において、粒子径ではなく重力沈降速度で分級を受ける降下火山灰により近い物性を持つ試験粒子による吸引現象を模擬している。
今後、重力沈降速度に基づく火山灰の吸引量推定手法を確立するために、引き続き重力沈降速度を基準として、粒子径や粒子形状が異なる粉体での試験を行う。
[1] 尾関ら, 下向き吸気口から吸引される自由沈降粒子に関する基礎的研究, JpGU2024予稿集SVC27-08, 2024
[2] 竹内, 多孔質な火山岩の粉砕特性と岩石組織, 日本火山学会 2020年度 秋季大会, P55, 2020.
試験装置は幅4.5m×奥行4.5m×高さ5.3mのチャンバ、吸気装置、粒子供給装置から構成される[1]。チャンバの中央の高さ1mに設置された吸気口(幅0.24m×奥行0.24m)は吸気ダクトを通じて、チャンバ内の空気を吸引する吸気装置につながっている。チャンバ最上部に設置された粒子供給装置には供給速度を制御できるフィーダを用い、ニードルを通して試験チャンバ内に試験粒子を自由沈降させる。このニードルの位置を移動して、粒子の沈降位置と吸気口位置の間の水平距離を変更した。試験では吸気口の平均断面風速が5m/sで安定した後に試験粒子を1g/minで沈降させた。チャンバ内の空気を吸引する際に、吸気装置は沈降している粒子も吸引する。吸気口で吸引されなかった粒子はチャンバの床に沈降するため、チャンバ床に沈降した粒子を回収することにより、吸引されない試験粒子の質量が計測される。一方、吸引された粒子は吸気装置内のフィルタで回収されるか、吸気ダクト内に沈降するため、試験前後のフィルタの質量を測定するとともに、吸気ダクト下面に沈降した粒子を回収することにより、吸引した試験粒子の質量が定量化される。吸引試験では、供給した粒子の質量に対する吸引した試験粒子の質量の比で定義される吸引質量比を求めた。
試験粒子には粉砕した大隅軽石粗粉砕物を振とうふるい分級により63-125μmに調製した火山灰粒子(OS3.5Φ)[2]を用いた。OS3.5Φには軽石質および結晶質粒子が含まれる。また重力沈降速度が等しい粒子の吸引質量比は同程度になると考えられる[1]ため、独自開発した風篩装置による重力沈降速度でのOS3.5Φの分級を実施した。風篩装置は鉛直方向上向きの気流中に試験粉体を投入し、気流速度よりも重力沈降速度が遅い粒子は気流に追随・分離し、気流速度よりも重力沈降速度が速い粒子は気流に追随せずに沈降することを利用した粒子の分級装置である。試験粉体には、風篩装置によりOS3.5Φを重力沈降速度0.14-0.20m/sに分級したOS0.17mpsも用いた。
試験粉体を落とす位置を吸気口からの距離0.5mとした際のOS3.5ΦおよびOS0.17mpsの吸引試験の結果を比較すると、OS0.17mpsの吸引質量比がOS3.5Φよりも高い傾向が得られた。また、重力沈降速度が0.17m/sである球形ガラスビーズ50μmの吸引質量比[1]と比較すると、OS0.17mpsの吸引質量比の方が近しい結果となった。振とうふるい分級により得られたOS3.5Φは粒径が整っているものの、様々な密度・形状の軽石粒子や結晶粒子を含み、重力沈降速度は整っていない。一方、風篩装置で得られたOS0.17mpsは重力沈降速度が50μmの球形ガラスビーズと同程度に調整された火山灰粒子である。このことから、重力沈降速度が整えられた火山灰粒子の吸引質量比は、その火山灰粒子の重力沈降速度に等しい球形粒子の吸引質量比と同程度になることが示唆された。本試験は、実際の噴火での火山灰輸送過程において、粒子径ではなく重力沈降速度で分級を受ける降下火山灰により近い物性を持つ試験粒子による吸引現象を模擬している。
今後、重力沈降速度に基づく火山灰の吸引量推定手法を確立するために、引き続き重力沈降速度を基準として、粒子径や粒子形状が異なる粉体での試験を行う。
[1] 尾関ら, 下向き吸気口から吸引される自由沈降粒子に関する基礎的研究, JpGU2024予稿集SVC27-08, 2024
[2] 竹内, 多孔質な火山岩の粉砕特性と岩石組織, 日本火山学会 2020年度 秋季大会, P55, 2020.