12:00 〜 12:15
[SVC31-12] 風による火山灰の再飛散が市街地の降灰分布に与える影響について
キーワード:降灰シミュレーション、都市、再飛散、機能被害
風がある程度以上の強さで吹いている時の降灰では,特に気象条件の関係で火山灰が乾燥状態である場合,地面や建物屋根に堆積した火山灰の風による再飛散やそれによる積灰分布の再配分が生じる。本研究では,風による火山灰の再飛散が,建物の多い都市の降灰分布に与える影響を見るために,堆積火山灰表面での風による削剥や飛散を考慮した降灰シミュレーションを都市内の街区に対して行った。風による削剥・飛散過程のパラメタリゼーションの降灰モデルの支配方程式系への導入は,地吹雪や砂嵐の生成・維持機構に関する既往研究例(例えば1))と同様の方法で行った。パラメタリゼーションでは,積灰表面に接し,そこからの火山灰粒子の飛び出しと落下・転がりが繰返し生じている跳躍層では,積灰表面に垂直な方向の削剥と沈殿の質量フラックスが局所的に釣り合った状態にあることが仮定されている。積灰表面での風による火山灰の削剥は,気流の摩擦速度がある閾値(限界摩擦速度)を超えた時に起こるとした。降灰シミュレーションは,低層から中層建物が密集する狭い範囲の市街地について,いくつかの火山灰の粒径や風の条件に対して行った。跳躍層の厚さは0.5m, 限界摩擦速度は0.2m/sと仮定した。水平格子間隔は2mとし,個々の建物を表現できるようした。
風による積灰の削剥・再飛散を考慮する場合とそうでない場合との比較を行った結果,降灰分布に対するこれらの過程の影響の特徴的な点がいくつか明らかになった。そのうちの最も特徴的な点として,風の条件や火山灰粒径によって数%から10%以上というような程度の差はあるものの,火山灰の再飛散は,建物キャノピー内の火山灰空間濃度や道路を含む地面への降灰強度を平均的に増加させる働きのあることが示された。こうした増加は建物屋上の積灰の再飛散によるところが大きい可能性がある。これは,風による再飛散がなければ本来そこに火山灰がとどまり続けるべき建物屋上が,再飛散が生じている間は,その高さにおける市街地気流への火山灰の新な供給源となるからである。上空から降ってきて建物屋上に留まっていた火山灰が,風により再飛散することで建物間の空間を風に流されながら地面に向けて重力落下することになり,結果として建物キャノピー内の火山灰空間濃度や地面への降灰強度の増加が起こる。これは,降灰現象の,高さの異なる建物が多く存在する市街地に特有の側面とみることができる。火山灰空間濃度は空調などの建物設備の動作に,地面への降灰強度は道路交通に,それぞれ大きく影響する。ここで得られた結果は,火山灰の再飛散は降灰による都市の機能被害の程度に無視し得ない作用を与える可能性を示唆している。
1) Komatsu, A. and K. Nishimura 2022, SOLA, Vol. 18, 71-75.
風による積灰の削剥・再飛散を考慮する場合とそうでない場合との比較を行った結果,降灰分布に対するこれらの過程の影響の特徴的な点がいくつか明らかになった。そのうちの最も特徴的な点として,風の条件や火山灰粒径によって数%から10%以上というような程度の差はあるものの,火山灰の再飛散は,建物キャノピー内の火山灰空間濃度や道路を含む地面への降灰強度を平均的に増加させる働きのあることが示された。こうした増加は建物屋上の積灰の再飛散によるところが大きい可能性がある。これは,風による再飛散がなければ本来そこに火山灰がとどまり続けるべき建物屋上が,再飛散が生じている間は,その高さにおける市街地気流への火山灰の新な供給源となるからである。上空から降ってきて建物屋上に留まっていた火山灰が,風により再飛散することで建物間の空間を風に流されながら地面に向けて重力落下することになり,結果として建物キャノピー内の火山灰空間濃度や地面への降灰強度の増加が起こる。これは,降灰現象の,高さの異なる建物が多く存在する市街地に特有の側面とみることができる。火山灰空間濃度は空調などの建物設備の動作に,地面への降灰強度は道路交通に,それぞれ大きく影響する。ここで得られた結果は,火山灰の再飛散は降灰による都市の機能被害の程度に無視し得ない作用を与える可能性を示唆している。
1) Komatsu, A. and K. Nishimura 2022, SOLA, Vol. 18, 71-75.