日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC31] 火山防災の基礎と応用

2025年5月25日(日) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:宝田 晋治(産業技術総合研究所活断層・火山研究部門)、宮城 洋介(国立研究開発法人 防災科学技術研究所)、及川 輝樹(国立研究開発法人産業技術総合研究所)、森田 雅明(東京大学地震研究所)

17:15 〜 19:15

[SVC31-P02] FRSTとWatershedアルゴリズムを用いた軽石気泡構造のモデル化

*澤田 笙1Gomez Christopher1、高志 厚井2 (1.国立大学法人 神戸大学、2.国立大学法人 北海道大学)

キーワード:軽石、気泡ネットワーク、画像処理技術

軽石は, 多孔質で乾燥状態では低密度(0.2-0.8g/cm3)を特徴とする火砕性物質である. 液体中では水を吸収し, 密度が増加する. 先行研究では, 水野浸透特性として, 吸収率が時間とともに低下することが示されており、5分以内に22~64%の細孔空間が水で満たされることがわかっている. また, この吸収特性は軽石のサイズや液体の温度に依存し、大きなサンプルや冷たい水の場合、吸収率が遅くなり、軽石がより長く浮力を保つことが可能であることが示されており, こうした吸水特性を理解することは, 軽石を含む流れの堆積メカニズムや輸送性を予測する上で重要である. 一方で, 軽石の内部構造はこの吸水特性と密接に関連しているため, その内部構造を迅速かつ効率的に分析する方法の開発が必要である. 内部構造を可視化する技術は存在し, STスキャン技術は, 気泡ネットワークや気泡を含む試料の微細構造に関する詳細な3Dデータを取得できる一方で, 走査型電子顕微鏡(SEM)は表面のテクスチャや微細構造を2Dで分析することが可能である. こうした技術は, 高精度で全体的な3D構造を分析するためには効果的である一方で, シンクロトロン施設やSEM機器など, 大規模な設備が必要である. よって, 本研究では, 断面写真を使用して気泡構造をシミュレーションする簡易技術を開発し, 軽石の水吸収特性に関するデータを迅速に収集できるようにすることを目的とする. 軽石の内部構造は、Fast Radial Symmetry Transform(FRST)とWatershedアルゴリズムを組み合わせることで個々の泡にセグメント化した. FRSTは画像内の円形または放射状の構造を特定するための効果的な画像処理技術であり, 大規模な画像データセットでも計算効率が高い点が特徴である. この技術は, 血管や細胞の検出において医用画像処理で広く使用されている一方で, 火山学分野での応用はまだ限られている. 本研究は, 軽石を含む火山噴出物中の泡を検出する際のFRSTの有効性を検証することにも貢献している. セグメント化の結果を評価するため、この方法を繰り返し適用(n=1,2,…10)し, FRSTまたはWatershedのみでセグメント化が可能かどうかも検証した. 結果として, 大きな泡は本研究で用いた手法で効率的に検出されたが, 小さな泡はFRSTとWatershedを組み合わせた手法を反復することで検出可能となった. しかし, 異常な反復回数下では気泡が過剰にセグメント化され, 検出不可能となった. また, 画像の境界付近や非常に小さな気泡では検出精度が低下した. FRSTは気泡を円形または楕円形にセグメント化するため, 反復が多すぎると過剰なセグメント化が発生し, 検出精度が低下したと考えられる. また, 非常に小さな泡は解像度の制約により検出されなかったが, 先行研究において, 泡が生成される際のキャピラリー数(Ca)を考慮すると, 小さな半径をもつ気泡は球形を形成する傾向があることが示されている. このことから, 小さな球形気泡を検出するAIモデルを加えることで県きゅつ精度を向上される可能性が期待される. さらに, 得られた内部構造を境界条件として拡散方程式を使用して浸透シミュレーションを行った結果, 同一のサンプルであっても, 時間が経つにつれて平均密度結果の変動性が増加した. この変動性は内部構造の不確実性を反映しており, 相互連結された気泡は水がより深く浸透することを可能にする一方で, 分断された気泡構造では浸透を表面近くで停止させることがあることを示している. この不安定な浸透挙動は堆積を遅らせ, 長距離輸送を可能にする要因となることが考えられる.