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[SVC31-P05] 那須岳地域における火砕流リスクマップ作成の試み (3)
キーワード:那須岳、火砕流、リスクマップ
全国の火山で作成されているハザードマップはハザード予想最大到達範囲を示しているものがほとんどであり,そこからは危険度の高低を読み取ることができない.そのため,確率情報を含めたリスクマップの試作を現在進めている.河野・宝田 (2024, JpGU)では,火口位置や火砕流初期体積の不確実性を考慮した火砕流リスクマップの作成を試みた.また,産業技術総合研究所地質調査総合センターでは,全国の常時観測火山における火口位置図を現在整備している(及川ほか, 2022).本発表では,新たに作成された那須岳火口位置図の情報を用いて試作した火砕流リスクマップの結果について報告する.
本発表では、Founier d'Albe (1979)によるリスク定義 [リスク] = [ハザード]×[曝露]×[脆弱性]に従ってリスク値を算出した.なお,脆弱性については「1」と仮定した.これは,ある対象が火砕流の到達によって損傷を受けることを意味する.ハザード評価では,まず火口開口評価と噴火規模評価を行った.火口開口評価では,Alberico et al. (2008)の手法を噴気地点および及川ほか(2022)の火口位置図に適用した.那須火山地質図 (山元・伴, 1997) による火口位置は那須岳山頂西側に偏った分布をしていた一方,及川ほか(2022)による火口位置図では,火口形状が山頂東側にも分布しており,開口の可能性がある範囲が河野・宝田 (2024)よりも広がった.噴火規模評価については,Sandri et al. (2016)や志水・田邊 (2022)の手法を那須岳に適用し,噴火マグニチュード2-4 (早川, 1993)について 0.5 刻みで確率値を算出した.これら火口開口評価と噴火規模の評価の結果を,火砕流シミュレーションの入力値として使用した.シミュレーションはTitan2D ver.4 (Pitman et al., 2003; Patra et al., 2005)を使用して実施した.底面摩擦角については,Ogburn and Calder (2017)の初期体積と底面摩擦角の関係式に基づき,初期体積に応じた値を採用した.初期体積は,噴火マグニチュードに応じた体積を採用した.初期流速は 40 m/s で固定した.最終的なハザード情報は,開口評価で得られた重みを用いて,すべてのシミュレーション結果を加重線形結合することで得られた.曝露評価には,那須岳周辺の社会基盤施設情報(建物分布、人口、道路・鉄道、土地利用区分の4種類)を用いた.これらは国土交通省国土数値情報からダウンロードされた.各種曝露の分布は,Del Negro et al. (2020)の方法を用いて0-1の相対重要度分布に変換され,加重線形結合により統合されて曝露情報を得た.
ハザード情報と曝露情報を掛け合わせてリスク値を得た.最近の火口位置情報の更新により,山頂の北と東に発生源が増え,その結果、那須岳東麓の北部と南東部でリスク値を持つ領域が以前よりも拡大した.また,リスク値は全体的に底上げされ,前回の結果の5倍の平均値を持つことになった.一方で,山頂東部3km以内の領域のリスク値が相対的に際立って高く示されることになった.これにより,火口の位置情報が,ハザードマップやリスクマップ作成に大変重要であることが改めて示唆された.
本発表では、Founier d'Albe (1979)によるリスク定義 [リスク] = [ハザード]×[曝露]×[脆弱性]に従ってリスク値を算出した.なお,脆弱性については「1」と仮定した.これは,ある対象が火砕流の到達によって損傷を受けることを意味する.ハザード評価では,まず火口開口評価と噴火規模評価を行った.火口開口評価では,Alberico et al. (2008)の手法を噴気地点および及川ほか(2022)の火口位置図に適用した.那須火山地質図 (山元・伴, 1997) による火口位置は那須岳山頂西側に偏った分布をしていた一方,及川ほか(2022)による火口位置図では,火口形状が山頂東側にも分布しており,開口の可能性がある範囲が河野・宝田 (2024)よりも広がった.噴火規模評価については,Sandri et al. (2016)や志水・田邊 (2022)の手法を那須岳に適用し,噴火マグニチュード2-4 (早川, 1993)について 0.5 刻みで確率値を算出した.これら火口開口評価と噴火規模の評価の結果を,火砕流シミュレーションの入力値として使用した.シミュレーションはTitan2D ver.4 (Pitman et al., 2003; Patra et al., 2005)を使用して実施した.底面摩擦角については,Ogburn and Calder (2017)の初期体積と底面摩擦角の関係式に基づき,初期体積に応じた値を採用した.初期体積は,噴火マグニチュードに応じた体積を採用した.初期流速は 40 m/s で固定した.最終的なハザード情報は,開口評価で得られた重みを用いて,すべてのシミュレーション結果を加重線形結合することで得られた.曝露評価には,那須岳周辺の社会基盤施設情報(建物分布、人口、道路・鉄道、土地利用区分の4種類)を用いた.これらは国土交通省国土数値情報からダウンロードされた.各種曝露の分布は,Del Negro et al. (2020)の方法を用いて0-1の相対重要度分布に変換され,加重線形結合により統合されて曝露情報を得た.
ハザード情報と曝露情報を掛け合わせてリスク値を得た.最近の火口位置情報の更新により,山頂の北と東に発生源が増え,その結果、那須岳東麓の北部と南東部でリスク値を持つ領域が以前よりも拡大した.また,リスク値は全体的に底上げされ,前回の結果の5倍の平均値を持つことになった.一方で,山頂東部3km以内の領域のリスク値が相対的に際立って高く示されることになった.これにより,火口の位置情報が,ハザードマップやリスクマップ作成に大変重要であることが改めて示唆された.