日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC31] 火山防災の基礎と応用

2025年5月25日(日) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:宝田 晋治(産業技術総合研究所活断層・火山研究部門)、宮城 洋介(国立研究開発法人 防災科学技術研究所)、及川 輝樹(国立研究開発法人産業技術総合研究所)、森田 雅明(東京大学地震研究所)

17:15 〜 19:15

[SVC31-P10] 降灰後の平滑な地形に対する複数の河道追跡アルゴリズムによる水系網の形状について

*清水 武志1 (1.国立研究開発法人 土木研究所)

キーワード:水系網、火山灰堆積斜面、火山、桜島

噴火によって降下火砕堆積物が斜面に堆積すると、凹凸のある微細な地形を被覆し斜面が平滑になる。そのような地形上の泥流の流動を推定するには平滑な地形を適切にモデリングする必要がある。モデリングには地理情報システム(以下、GIS)における水文に関する機能を用いることが一般的である。その機能で基礎となる手法が流水線追跡アルゴリズムである。
流水線追跡アルゴリズムのうちD8と呼ばれる手法は、GISで標準的に実装されている。D8は、空間を分割した格子に標高値を与える数値標高モデル(DEM)を入力データとし、対象格子とその周囲8格子との間で最急勾配を計算して流水線を生成する手法である。平滑な斜面では、D8が想定するように8方向に流路が決定されないため、不自然な幾何学的な水系網や勾配の河道が生成されることが指摘されている(例えば [1], [2])。
このような課題を解決するため、様々な流水線追跡アルゴリズムが提案されている。手法は大きく、単一流向手法(D8を含む;Single Flow Direction)と複数流向手法(Multiple Flow Direction)に区分され、さらに各区分において様々な手法が存在する。手法間の比較は、誤差の評価が解析的に可能な単純な形状の地形(曲面)で実施される [2], [3]。その評価を参考にしながら、降灰後の平滑な斜面に対して、リルやガリーの初生的な形成や砕屑物の移動に寄与する勾配を、適切に評価できるアルゴリズムを利用することが望ましい。
そこで、これまで提案された様々な河道追跡アルゴリズムを、火口周辺に平滑な降灰堆積斜面をもつ桜島のDEMに適用し、Total Catchment Area あるいは Total Contributing Area (ArcGISでは累積流量図、GRASS GIS では accumulation map と呼ばれる水文量)を計算し、水系網の形状を比較する。
 同じ所属の伊藤誠記上席研究員には有益な助言をいただいた。DEMは国土交通省 九州地方整備局 大隅河川国道事務所が撮影した航空レーザ測量データを使用させていただいた。また、流水線追跡アルゴリズムのコードは [2] [4]を利用させていただいた。記して謝意を表する。

引用文献
[1] Orlandini, S., and G. Moretti (2009), Determination of surface flow paths from gridded elevation data, Water Resources Research, 45, W03417, doi:10.1029/2008WR007099
[2] Wu, P., Liu, J., Han, X., Feng, M., Fei, J., and Shen, X. (2022). An improved triangular form-based multiple flow direction algorithm for determining the nonuniform flow domain over grid networks. Water Resources Research, 58, e2021WR031706. doi:10.1029/2021WR031706
[3] Zhou, Q., and Liu, X., (2002) Error assessment of grid-based flow routing algorithms used in hydrological models, Int. J. geographical information science, 16-8, 819-842, doi:10.1080/13658810210149425