日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC31] 火山防災の基礎と応用

2025年5月25日(日) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:宝田 晋治(産業技術総合研究所活断層・火山研究部門)、宮城 洋介(国立研究開発法人 防災科学技術研究所)、及川 輝樹(国立研究開発法人産業技術総合研究所)、森田 雅明(東京大学地震研究所)

17:15 〜 19:15

[SVC31-P12] 地質ハザード情報データベース –地質ハザード情報システム及び火山ハザード情報システムの公開–

*宝田 晋治1Bandibas Joel1河野 裕希1、苅谷 恵美1米谷 珠萌2長田 美里1,3池上 郁彦1,4 (1.産業技術総合研究所活断層・火山研究部門、2.明治大学、3.茨城大学、4.タスマニア大学)

キーワード:ハザード、地質情報、システム、シミュレーション、データベース

産総研地質調査総合センターでは,2022年度より「防災・減災のための高精度デジタル地質情報の整備事業」プロジェクトにおいて,防災計画に資する火山情報,活断層情報の解析・評価,集約・情報提供のため,噴火口図・火口位置データベースの作成,活断層データの高精度化,斜面災害リスク評価のためのデータ作成,海洋地質関連情報のデジタル化,地質情報のDX化を進めている.DX化プロジェクトでは,多数のデジタル地質情報について,FAIR原則(Findable, Accessible, Interoperable, Reusable)に基づいた形で,APIによるデータ配信,データダウンロードを可能にすると共に,これらのデータを活用した「地質ハザード情報データベース」の構築を進めている.「地質ハザード情報データベース」は,各種地質ハザード関連情報の閲覧活用が可能な「地質ハザード情報システム」と,全世界の第四紀火山のオンラインシミュレーションが可能な「火山ハザード情報システム」からなり,2024年12月に一般公開された(https://geohazards-info.gsj.jp).
「地質ハザード情報システム」は,国内及び東・東南アジア地域の地質ハザード関連の総合的な閲覧検索システム・データベース構築を目指して,各種の地質ハザード関連データの取りまとめを進めている.「防災・減災のための高精度デジタル地質情報の整備事業」プロジェクトの成果の他,G-EVERプロジェクトで進めてきた各種の地質ハザード情報,地質調査総合センターの各種出版物などを追加し,総合的な地質ハザード情報システムの構築を目指している.2024年1月現在で1,492のコンテンツが掲載されており,コンテンツはデータの種類毎にカタログ化されている.許可されたデータについては,GISデータやKMLファイル,属性テーブルをダウンロードすることができる.マップ上でダブルクリックするとその地点の情報がポップアップ表示される.任意のレイヤーをダブルクリックすると表示されるWMSパラメータによるAPIを使って,地質ハザード情報システムのコンテンツを直接外部のWebサーバやGISソフトウェア上に表示することができる.
「火山ハザード情報システム」では,データの閲覧検索,GISデータのダウンロード等の機能だけではなく,デジタル化された地質情報をさらに活用するための機能として,リアルタイムハザード評価のためオンラインシミュレーション機能や,降下テフラのオンライン噴出量解析機能等の構築を進めている.また,降下テフラ,火砕流,岩屑なだれ等の火山噴出物分布のデジタルデータの整備も,ハザード評価においては重要である.火山噴出物分布デジタルデータを使って,火山ハザード情報システムや各自のGISソフトウェア上で,過去の火山噴火の影響範囲とシミュレーション結果とを比較検討することが可能となる.火山ハザード情報システムでは,Energy Cone, Tephra2, Titan2Dによる全世界の約3000の第四紀火山のオンラインシミュレーションが可能である.また,代表的な噴火については,噴火パラメータを表示する機能,シミュレーション結果をAPIにより他のWebサーバやGISソフトウェアで利用できる機能がある.Titan2Dについては,ver.4.2にアップデートしたことにより,30分程度かかっていた演算が5分以内で完了するなど大幅に高速化された.また,これまでのCoulombモデルに加えて,新たに,TwoPhases-Pitman-Leモデル,Pouliquen-Forterreモデル,Voellmy-Salmモデルが追加され,より詳細な流れ現象の検討が可能となった.国内外の火山の噴火パラメータについて,2024年1月時点でEnergy Coneモデル184ケース,Tephra2モデル76ケース,Titan2Dモデル53ケース,合計313ケースの噴火パラメータの解析を実施した.火山噴出物のデジタル化については,2024年1月時点で243噴火の降下テフラの等層厚線図,等重量線図のデジタル化を進めた.
地質ハザード情報データベースは,防災協議会や自治体等でのハザード影響範囲,推移予測,避難計画の策定のほか,防災マップの作成や改訂の際の影響範囲の検討,災害シナリオの検討,大学・研究機関での利用,ジオパーク等のアウトリーチ活動など,様々な用途にご利用頂ければ幸いである.

図. 地質ハザード情報システム.20万分の1日本シームレス地質図と2000年3月31日有珠火山噴火の降下テフラ分布図を表示.背景地図は,国土地理院の地理院地図(標準)を利用.