日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC32] 活動的火山

2025年5月26日(月) 15:30 〜 17:00 コンベンションホール (CH-B) (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:前田 裕太(名古屋大学)、三輪 学央(防災科学技術研究所)、松島 健(九州大学大学院理学研究院附属地震火山観測研究センター)、座長:前田 裕太(名古屋大学)、大倉 敬宏(京都大学大学院理学研究科附属地球熱学研究施設火山研究センター)

15:30 〜 15:45

[SVC32-07] 阿蘇火山中岳2019~2020年マグマ噴火時の火山灰噴出量・構成物・化学組成

*宮縁 育夫1、飯塚 義之2、遠入 楓大3大倉 敬宏4 (1.熊本大学くまもと水循環・減災研究教育センター、2.中央研究院地球科学研究所、3.下関市立長成中学校、4.京都大学大学院理学研究科附属地球熱学研究施設火山研究センター)

キーワード:火山灰噴出量、火山灰構成物、小規模火山灰噴出、中岳第1火口

阿蘇火山中岳第1火口における2019~2020年のマグマ噴火は,連続した穏やかな火山灰の放出が特徴的であった.筆者らは火口周辺域(距離1~9 kmの全方向)に20台の降灰サンプラーを設置し,38枚の等質量線図を作成して火山灰噴出量を算出するとともに,火山灰構成物の観察や化学組成分析を実施したので,その結果を報告する.2019年7月26日の噴火開始から2020年1月にかけて,火山灰噴出量は3.5×103トン/日程度の値であったが,2020年1月20日~2月10日にかけて17×103トン/日まで急激に増加した.その後2020年2月下旬以降は0.5×103トン/日程度に減少した.2019~2020年の活動で噴出した火山灰は,ガラス片・結晶片・岩片で構成されていた.噴火開始時の2019年7月26日の火山灰では,過去の噴火で放出された溶岩や火砕物に由来すると考えられる岩片が主体であった(70%).その後,本質物質と推定されるガラス片の割合が時間の経過とともに増加し,2019年8月12日~20日の火山灰にはガラス粒子が多量に含まれていた(40%).ガラス片の割合は2019年12月6日まで7~23%であったが,時間とともに漸減し,2020年2月10日には2%まで減少した.2020年5月21日以降,その割合は再び増加して噴火終了の6月15日まで29~41%の間で推移した.一方で,2019年7月~2020年6月の火山灰に含まれるガラス片の化学組成に顕著な経時変化は認められなかった.中岳第1火口における2019年7月~2020年6月のマグマ活動で噴出したテフラの総量は1.1×106トン(3.5×103トン/日)で,これは2014年11月~2015年5月の活動による噴出物総量(2.1×106トン)の半分程度の値であった.