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[SVC32-P07] ALOS-2/4観測データにより捉えられた岩手山における2024年の地殻変動
キーワード:岩手山、だいち2号、だいち4号、干渉SAR時系列解析、地殻変動
岩手山は、岩手県西部に位置する、玄武岩~安山岩質の複合型成層火山である。有史以降、1686年と1732年に東岩手火山でマグマ噴火、1919年に西岩手火山大地獄谷で水蒸気噴火が発生した。1998年には、噴火には至らなかったものの、活発な地震活動とともに地殻変動が観測された。その後20年以上静穏な状態が続いていたが、2024年4月頃から深部の膨張を示す変動がGNSS観測により観測され、2024年5月頃から黒倉山付近で火山性地震が増加した(気象庁, 2024)。これを受けて、2024年8月以降、陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)によるSAR緊急観測が実施された。
国土地理院では、岩手山の火山活動の推移を監視するため、ALOS-2による緊急観測後、速やかに解析を行い、火山噴火予知連絡会等の関係機関に解析結果を提供している。ALOS-2の緊急観測データを用いたSAR干渉解析により、大地獄谷周辺において衛星に近づく変動が検出された。この変動は本解析によってはじめて捉えられたものであり、2024年10月の噴火警戒レベル引上げの判断材料として活用された。その後も継続的に実施された緊急観測データを用いて干渉SAR時系列解析(小林ほか, 2018)を行った。その結果、大地獄谷周辺における衛星に近づく変動に加え、岩手山西部の三ツ石山付近においても衛星に近づく変動が検出された。これらの干渉SAR時系列解析結果(南行右観測・北行右観測)から得られた2023年11月から2024年11月までの地表-衛星視線方向の変位量(LOS変位量)を用いて2.5次元解析(Fujiwara et al., 2000)を実施した結果、大地獄谷付近を中心とする半径約1 kmの範囲において約10 cm の隆起、東西に拡大する方向にそれぞれ約4 cmの変動と、三ツ石山付近を中心とする半径約4 kmの範囲において約8 cmの隆起が検出された。さらに、2024年7月1日に打ち上げられた先進レーダ衛星「だいち4号」(ALOS-4)とALOS-2との干渉解析によってもこれらの変動と整合的な結果が得られた。
大地獄谷周辺に検出された変動について変動源を明らかにするため、インバージョン解析による圧力源推定を行った。推定には干渉SAR時系列解析結果から得られた2023年11月から2024年11月までのLOS変位量を用いた。圧力源の形状は球状とダイクの2種類を仮定した。その結果、いずれの形状も圧力源の位置は深さ数百m、膨張量は0.1×106 m3程度と見積もられた。推定された圧力源は、1998年のマグマ貫入で推定されたダイク(Sato and Hamaguchi, 2006)の直上に位置し、大地獄谷直下にマグマ/熱水だまりが存在することを示唆している。
謝辞:本研究で用いたALOS-2データは「陸域観測技術衛星2号観測データ等の高度利用に関する協定」、ALOS-4データは「先進レーダ衛星観測データの高度利用に関する協定」に基づき、宇宙航空研究開発機構(JAXA)から提供を受けた。原初データの所有権はJAXAにある。気象庁数値気象モデルは、「電子基準点等観測データ及び数値予報格子点データの交換に関する細部取り決め協議書」に基づき、気象庁から提供を受けた。
国土地理院では、岩手山の火山活動の推移を監視するため、ALOS-2による緊急観測後、速やかに解析を行い、火山噴火予知連絡会等の関係機関に解析結果を提供している。ALOS-2の緊急観測データを用いたSAR干渉解析により、大地獄谷周辺において衛星に近づく変動が検出された。この変動は本解析によってはじめて捉えられたものであり、2024年10月の噴火警戒レベル引上げの判断材料として活用された。その後も継続的に実施された緊急観測データを用いて干渉SAR時系列解析(小林ほか, 2018)を行った。その結果、大地獄谷周辺における衛星に近づく変動に加え、岩手山西部の三ツ石山付近においても衛星に近づく変動が検出された。これらの干渉SAR時系列解析結果(南行右観測・北行右観測)から得られた2023年11月から2024年11月までの地表-衛星視線方向の変位量(LOS変位量)を用いて2.5次元解析(Fujiwara et al., 2000)を実施した結果、大地獄谷付近を中心とする半径約1 kmの範囲において約10 cm の隆起、東西に拡大する方向にそれぞれ約4 cmの変動と、三ツ石山付近を中心とする半径約4 kmの範囲において約8 cmの隆起が検出された。さらに、2024年7月1日に打ち上げられた先進レーダ衛星「だいち4号」(ALOS-4)とALOS-2との干渉解析によってもこれらの変動と整合的な結果が得られた。
大地獄谷周辺に検出された変動について変動源を明らかにするため、インバージョン解析による圧力源推定を行った。推定には干渉SAR時系列解析結果から得られた2023年11月から2024年11月までのLOS変位量を用いた。圧力源の形状は球状とダイクの2種類を仮定した。その結果、いずれの形状も圧力源の位置は深さ数百m、膨張量は0.1×106 m3程度と見積もられた。推定された圧力源は、1998年のマグマ貫入で推定されたダイク(Sato and Hamaguchi, 2006)の直上に位置し、大地獄谷直下にマグマ/熱水だまりが存在することを示唆している。
謝辞:本研究で用いたALOS-2データは「陸域観測技術衛星2号観測データ等の高度利用に関する協定」、ALOS-4データは「先進レーダ衛星観測データの高度利用に関する協定」に基づき、宇宙航空研究開発機構(JAXA)から提供を受けた。原初データの所有権はJAXAにある。気象庁数値気象モデルは、「電子基準点等観測データ及び数値予報格子点データの交換に関する細部取り決め協議書」に基づき、気象庁から提供を受けた。