日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC32] 活動的火山

2025年5月26日(月) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:前田 裕太(名古屋大学)、三輪 学央(防災科学技術研究所)、松島 健(九州大学大学院理学研究院附属地震火山観測研究センター)

17:15 〜 19:15

[SVC32-P09] 2024年の火山活動変化と同時期に増加した岩手山の深部低周波地震活動

*及川 元己1 (1.国立研究開発法人防災科学技術研究所)

キーワード:深部低周波地震、マッチドフィルタ法

岩手山は東北地方の脊梁山地に位置する活火山である。岩手山では2024年2月から山体膨張、7月ごろから火山性地震の数が増加するなど1998年以来火山活動が非常に高まった状態である。地表での火山活動が活発化したのと同時期に、モホ面付近の深さ約30kmで発生する深部低周波地震が気象庁により多く検出されている。深部低周波地震は規模が小さいにも関わらず2-8 Hzの低周波成分が卓越する地震で、その多くが活火山周辺で観測されることから深部マグマ供給系との関連性が考えられている(e.g., Nakamichi et al. 2003)。特に、深部低周波地震は噴火に数ヶ月先駆して活発化するケースがあることから深部から浅部へのマグマ供給過程を理解する上で重要な手掛かりになりうる(e.g., Shapiro et al. 2017)。本研究では、深部低周波地震の活動を調べ現在進行中の表面現象との関連性を考察する。
 詳細な活動を把握するため、Matched Filter法(e.g., Gibons and Ringdal, 2006)を用いて連続波形から検出を行った。テンプレートのカタログにはKurihara and Obara (2021)にて再決定された175イベントを選んだ。波形に2-8Hzのバンドパスフィルターをかけ、理論S波到着時刻1秒前から5秒間をテンプレート波形として用いた。2019年1月から2025年1月の期間について岩手山周辺の11Hi-net観測点33チャンネルとテンプレートの相互相関係数を計算し、それらの平均が中央絶対偏差の9倍を越えた時刻をイベントとして検出した。
 本解析により5年間で約7000イベントが検出された。岩手山では山体直下深さ10km、山体北部及び南部の深さ30kmの3領域で深部低周波地震が発生しているが、2024年8月以降北部クラスターで急激に発生数が増加したことがわかった。このような急激な発生数の増加は過去20年間で例がなく、この地震活動は極めて異常なものであると言える。また、北部クラスターに3ヶ月ほど遅れて山体直下の浅部クラスターでも発生数が増加した。この結果は、深部から浅部へマグマ供給が続いている可能性を示唆している。今後深部低周波地震のメカニズム解を推定することで背景のマグマ供給との関連性を定量的に解釈する予定である。