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[SVC32-P25] 阿蘇火山における2019–2020年の火山活動に伴う地殻変動の解析

キーワード:阿蘇火山、GPS、地殻変動
火山活動に伴う地殻変動源および変動レートを推定することは、火山噴火のメカニズム解明および噴火規模や噴火推移の予測において重要である。阿蘇火山では、2019年4月に水蒸気噴火が発生し、その後2019年7月から2020年6月までマグマ噴火が継続した。そこで本研究はこの一連の火山活動に注目し、この時期の火山性地殻変動をGNSS観測により検出し、そのモデル化を試みた。この期間を含む阿蘇火山の変動レートはMunekane and Kobayashi (2024)によって推定されているが、彼らは火山性地殻変動源としてNobile et al. (2017)によって推定された球状圧力源のみを仮定し、別の変動源での変動を考慮していない。そこで、本研究は火山活動の期間を膨張期と収縮期の2つに分け、McTigueの有限球を1つ仮定してそれぞれの期間での変動源の位置を推定した。
本研究では、国土地理院・防災科学研究所・京都大学火山研究センターによって設置された、桜島火山周辺を除く九州全域の108点のGPSデータを使用した。まず、すべてのGPSデータに対して外れ値の除去とステップ処理を行った。次に、阿蘇カルデラ外のデータを用いて、広域テクトニクスの寄与を緯度・経度の3次式で表現し、この式を用いて阿蘇カルデラ内のデータから広域テクトニクスの影響を補正した。さらに、阿蘇カルデラ内のデータに対して、2018–2019年の豊後水道スロースリップイベントの寄与をHirose et al. (2023)の断層モデルを用いて補正した。最後に、阿蘇カルデラ内のデータから熊本地震および年周・半年周の変動の影響を除去するため、それぞれ対数関数、指数関数、および三角関数を用いてモデル化し、これらの寄与を差し引くことで阿蘇火山の火山性変動を抽出した。
抽出された火山性変動には、2018年12月から2019年7月までの草千里周辺を中心に水平方向に離れ鉛直方向に隆起するような変動と、2019年7月から2020年6月までの水平方向の変動は小さいもののカルデラ北東部を中心に鉛直方向に沈降するような変動が見られた。そこで本研究は前者を時期1、後者を時期2と定義し、Munekane et al. (2016)の地殻変動解析ソフトウェアPydeformを用いて解析を行った。それぞれの期間について1つのMcTigueモデルを仮定し、その位置・半径・体積変化量を推定した。その結果、それぞれのモデルパラメータは期間1では草千里直下の深さ5.1 km、半径80.5 m、体積変化量+1.3×106 m3と得られ、期間2では中岳第一火口から北東に約3.1 kmの位置の深さ11.9 km、半径100.6 m、体積変化量−4.1×106 m3と得られた。この結果は2019–2020年の活動時期に草千里直下のマグマ溜まりだけでなく、国土地理院 (2004)が推定した深部シルでも変動が生じていたことを示唆する。
今後は2つの変動源を仮定した場合の解析も行う予定である。
謝辞:本研究で使用したGPSデータは、国土地理院と防災科学技術研究所から提供いただきました。豊後水道SSEの計算には、廣瀬仁氏が作成した計算スクリプトを使用しました。地殻変動源解析には、宗包浩志氏が開発した計算ソフトウェアPydeformを使用しました。ここに記して感謝申し上げます。
本研究では、国土地理院・防災科学研究所・京都大学火山研究センターによって設置された、桜島火山周辺を除く九州全域の108点のGPSデータを使用した。まず、すべてのGPSデータに対して外れ値の除去とステップ処理を行った。次に、阿蘇カルデラ外のデータを用いて、広域テクトニクスの寄与を緯度・経度の3次式で表現し、この式を用いて阿蘇カルデラ内のデータから広域テクトニクスの影響を補正した。さらに、阿蘇カルデラ内のデータに対して、2018–2019年の豊後水道スロースリップイベントの寄与をHirose et al. (2023)の断層モデルを用いて補正した。最後に、阿蘇カルデラ内のデータから熊本地震および年周・半年周の変動の影響を除去するため、それぞれ対数関数、指数関数、および三角関数を用いてモデル化し、これらの寄与を差し引くことで阿蘇火山の火山性変動を抽出した。
抽出された火山性変動には、2018年12月から2019年7月までの草千里周辺を中心に水平方向に離れ鉛直方向に隆起するような変動と、2019年7月から2020年6月までの水平方向の変動は小さいもののカルデラ北東部を中心に鉛直方向に沈降するような変動が見られた。そこで本研究は前者を時期1、後者を時期2と定義し、Munekane et al. (2016)の地殻変動解析ソフトウェアPydeformを用いて解析を行った。それぞれの期間について1つのMcTigueモデルを仮定し、その位置・半径・体積変化量を推定した。その結果、それぞれのモデルパラメータは期間1では草千里直下の深さ5.1 km、半径80.5 m、体積変化量+1.3×106 m3と得られ、期間2では中岳第一火口から北東に約3.1 kmの位置の深さ11.9 km、半径100.6 m、体積変化量−4.1×106 m3と得られた。この結果は2019–2020年の活動時期に草千里直下のマグマ溜まりだけでなく、国土地理院 (2004)が推定した深部シルでも変動が生じていたことを示唆する。
今後は2つの変動源を仮定した場合の解析も行う予定である。
謝辞:本研究で使用したGPSデータは、国土地理院と防災科学技術研究所から提供いただきました。豊後水道SSEの計算には、廣瀬仁氏が作成した計算スクリプトを使用しました。地殻変動源解析には、宗包浩志氏が開発した計算ソフトウェアPydeformを使用しました。ここに記して感謝申し上げます。