日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC32] 活動的火山

2025年5月26日(月) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:前田 裕太(名古屋大学)、三輪 学央(防災科学技術研究所)、松島 健(九州大学大学院理学研究院附属地震火山観測研究センター)

17:15 〜 19:15

[SVC32-P27] 水準測量によって測定された桜島火山の地盤上下変動(2024年11月測量の結果)

*山本 圭吾1、吉川 慎2、内田 和也3、園田 忠臣1、井上 寛之2、竹中 悠亮1、岡田 和見4、山口 雅弘3、達山 康人1上土井 歩佳3小濱 瑞希2松島 健3大倉 敬宏2 (1.京都大学防災研究所、2.京都大学大学院理学研究科、3.九州大学大学院理学研究院、4.北海道大学大学院理学研究院)

キーワード:桜島火山、精密水準測量、地盤上下変動

2024年度より開始された「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第3次)」における課題「火山噴出物による災害の軽減のための総合的研究」の一環として,2024年11月に桜島火山において精密水準測量の繰返し観測を実施した.本講演では,この測量の結果得られた桜島火山の地盤上下変動について報告する.
水準測量を実施した路線は,桜島西部山腹のハルタ山登山路線,北部山腹の北岳路線の2路線に加え,桜島南部の有村観測坑道局舎前の水準点までの枝線区間および2021年度に新設した桜島北部の割石崎GNSS点付設の水準点までの枝線区間である.路線総延長は約23 kmであり,これらの路線を,2024年11月6日~15日の期間において測量に当たった.測量方法は,各水準点間の往復測量で,その往復差は1級水準測量の許容誤差を満たすようにした.測量における誤差は,1 km当りの平均自乗誤差が,ハルタ山登山路線および北岳路線においてそれぞれ±0.23 mm/kmおよび±0.21 mm/kmという結果となり,高精度の水準測量を行うことができた.
ハルタ山登山路線および北岳路線の2路線について,桜島西岸の水準点BM.S.17を不動点(基準)とし,各水準点における比高値を計算した.これを前回の2023年11月に行われた測量結果(山本・他,2024)と比較することで,2023年11月から2024年11月の期間の約1年間における地盤上下変動量を計算した.
計算された地盤上下変動量から,桜島中央部付近の水準点において,顕著な地盤沈降(最大で-11.4 mm)が生じていることが確認された.桜島中央部付近の水準点において年間10 mmを超える地盤沈降量は,1990年台後半以降の姶良カルデラ膨張期においては最大級である.また,桜島北岸に比較的近い北岳路線の水準点においても地盤沈降が認められた.桜島北岸に比較的近い北岳路線の水準点において地盤沈降が測定されることは,2024年11月までの1年間に姶良カルデラ地下のマグマ溜まりにおいてマグマの蓄積があったとしてもそれほど顕著ではないことを示唆する.
測量を実施した水準点の空間分布が限られているため試行的な結果であるが,茂木モデルに基づき,得られた上下変動量データから圧力源解析を行ったところ,桜島中央部地下の約3.0 kmの深さに減圧源が推定された.2023年11月~2024年11月の期間,南岳直下のマグマ溜りにおいて減圧傾向であると考えられる.この期間,火山灰放出量が比較的少ないことを考え合わせると,火山ガス放出が卓越した可能性が考えられる.講演では,姶良カルデラ周辺の広域データとともに解析を行った結果についても報告する予定である.