17:15 〜 19:15
[SVC32-P33] ひまわり8/9号・GCOM-C衛星による重点火山の熱異常長期観測(2020–2024年)
キーワード:火山、リモートセンシング、熱異常、衛星
衛星赤外画像は、火山の熱異常観測に幅広く利用されている。特に、ひまわり8/9号は全球を10分間隔で観測でき、リアルタイム性が高いため、この利用により最新の火山活動を常時把握することが可能となる(例:RealVOLC, http://vrsserv.eri.u-tokyo.ac.jp/realvolc/index.html)。ただし、空間分解能が低いため実効感度に制約があり、静穏期を含む低レベルの活動期間において、どの程度活動変化を捉えられるかは十分に検証されていない。各火山の活動パターンの特徴や、噴火・活動変化の前駆現象として現れる特定の熱異常変化パターンを検出できれば、噴火予測にも活用できる可能性がある。昨年、文科省火山本部により、重点評価対象火山として8つの火山が選定された。本研究では、この八幡平を除く7火山を対象に、それぞれの活動特性を明らかにすることを目的として、ひまわり8/9号およびGCOM-C衛星の画像を用い2020年から2024年の5年間にわたる熱異常変化を解析した。調査対象期間中、いずれの火山も静穏期もしくは時折小規模な噴火が発生する状態にあり、規模の大きい噴火は発生していない(気象庁)。本発表では、この概要を報告する。本研究では、ひまわり8/9号(観測頻度:10分、空間分解能:約2 km)の1.6-µm、2.3-µm、3.9-µm、11-µmバンド、およびGCOM-C(観測頻度:1–3日、空間分解能:約250 m)の1.6-µm、11-µmバンドの夜間画像を使用した。
各火山の観測結果
・諏訪之瀬島
当該期間、準定常的に熱異常が確認された。詳細に見ると、ひまわり・GCOM-Cで2020年1月から4月にかけて熱異常が徐々に低下(特にひまわり2.3 µmで顕著)した後、同年4月末から2022年10月にかけて、短期間のパルス的な熱異常が頻繁に発生していることがわかった。その後、2022年11月から2024年夏まで比較的低調な活動状態が続いたが、2024年8月以降は再び短期間のパルス的な熱異常が卓越するようになった。
・薩摩硫黄島
ひまわりでは熱異常は確認されなかったが、GCOM-Cの1.6-µmバンド画像において、1~2か月間にわたる微弱な熱異常が時折発生する活発期が認められた。これらの時期、GCOM-Cの11-µmバンド画像では熱異常がバックグラウンドレベルであることから、この熱源は300~400℃を超える高温ではあるものの、規模は非常に小さいと考えられる。
・桜島
当該期間、準定常的に熱異常が観測された。詳細に見ると、ひまわりの2.3-µmおよび1.6-µmバンド画像において、熱異常が高い状態が1~6か月間継続する活発期が繰り返し発生していることがわかった。これらの活発期は、火山灰の総放出量が多い時期と比較的よく一致しているように見える。また、活動期でない時期でも、小規模な爆発的噴火が散発的に発生している。
・小笠原硫黄島
2023年10月21日から12月10日にかけて発生した噴火イベントに対応し、ひまわり2.3-µmバンド画像(11月3日)およびGCOM-C 1.6-µmバンド画像(11月3日、7日)で微弱な熱異常が観測された。なお、2020~2024年の期間において、このイベント以外に熱異常は確認されなかった。
・口永良部島
ひまわりでは熱異常は確認されなかったが、GCOM-Cの1.6-µmバンド画像において、2020年5月7日に微弱な熱異常が観測された。
・焼岳
ひまわりおよびGCOM-Cの観測において、当該期間に熱異常は確認されなかった。
・岩手山
ひまわりおよびGCOM-Cの観測では、当該期間に熱異常は確認されなかった。一方、これらの衛星よりも高い分解能を持つASTER(熱赤外分解能 90 m)では、1998年に始まった活動に関連すると考えられる熱異常が確認されている。
結論
本研究の結果、ひまわり8/9号およびGCOM-C衛星により、静穏期を含む低レベルの活動期にある火山の活動変化を観測できることが確認された。特に、諏訪之瀬島や桜島では異なる特徴的な熱異常変化のパターンが見られ(諏訪之瀬島:短期間のパルス的な熱異常が頻繁に発生、桜島:熱異常が1~6か月間持続する活発期が繰り返し発生)、火山ごとに異なる活動特性をもつことが示唆された。今後、短時間スケールでの熱異常の詳細解析や、高分解能画像・地震・空振・地殻変動データとの比較解析を進めることで、噴火の前駆現象として現れる熱異常変化パターンの特定や、火口域・マグマ供給系におけるプロセスとの関連解明が期待される。
各火山の観測結果
・諏訪之瀬島
当該期間、準定常的に熱異常が確認された。詳細に見ると、ひまわり・GCOM-Cで2020年1月から4月にかけて熱異常が徐々に低下(特にひまわり2.3 µmで顕著)した後、同年4月末から2022年10月にかけて、短期間のパルス的な熱異常が頻繁に発生していることがわかった。その後、2022年11月から2024年夏まで比較的低調な活動状態が続いたが、2024年8月以降は再び短期間のパルス的な熱異常が卓越するようになった。
・薩摩硫黄島
ひまわりでは熱異常は確認されなかったが、GCOM-Cの1.6-µmバンド画像において、1~2か月間にわたる微弱な熱異常が時折発生する活発期が認められた。これらの時期、GCOM-Cの11-µmバンド画像では熱異常がバックグラウンドレベルであることから、この熱源は300~400℃を超える高温ではあるものの、規模は非常に小さいと考えられる。
・桜島
当該期間、準定常的に熱異常が観測された。詳細に見ると、ひまわりの2.3-µmおよび1.6-µmバンド画像において、熱異常が高い状態が1~6か月間継続する活発期が繰り返し発生していることがわかった。これらの活発期は、火山灰の総放出量が多い時期と比較的よく一致しているように見える。また、活動期でない時期でも、小規模な爆発的噴火が散発的に発生している。
・小笠原硫黄島
2023年10月21日から12月10日にかけて発生した噴火イベントに対応し、ひまわり2.3-µmバンド画像(11月3日)およびGCOM-C 1.6-µmバンド画像(11月3日、7日)で微弱な熱異常が観測された。なお、2020~2024年の期間において、このイベント以外に熱異常は確認されなかった。
・口永良部島
ひまわりでは熱異常は確認されなかったが、GCOM-Cの1.6-µmバンド画像において、2020年5月7日に微弱な熱異常が観測された。
・焼岳
ひまわりおよびGCOM-Cの観測において、当該期間に熱異常は確認されなかった。
・岩手山
ひまわりおよびGCOM-Cの観測では、当該期間に熱異常は確認されなかった。一方、これらの衛星よりも高い分解能を持つASTER(熱赤外分解能 90 m)では、1998年に始まった活動に関連すると考えられる熱異常が確認されている。
結論
本研究の結果、ひまわり8/9号およびGCOM-C衛星により、静穏期を含む低レベルの活動期にある火山の活動変化を観測できることが確認された。特に、諏訪之瀬島や桜島では異なる特徴的な熱異常変化のパターンが見られ(諏訪之瀬島:短期間のパルス的な熱異常が頻繁に発生、桜島:熱異常が1~6か月間持続する活発期が繰り返し発生)、火山ごとに異なる活動特性をもつことが示唆された。今後、短時間スケールでの熱異常の詳細解析や、高分解能画像・地震・空振・地殻変動データとの比較解析を進めることで、噴火の前駆現象として現れる熱異常変化パターンの特定や、火口域・マグマ供給系におけるプロセスとの関連解明が期待される。