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[SVC32-P35] 開発中の小型連続測定器で測定した火山周辺温泉地等の大気中の硫化水素濃度
キーワード:火山ガス、硫化水素、ガス測定器
火山周辺等の温泉地には,大気中に硫化水素が含まれる場所で長期間滞在している居住者や就労者がいる.こうした場所の硫化水素がどのような濃度か測定した事例は見つからなかった.そこで,現地で測定を行った.火山周辺等の温泉地のうち,居住者や就労者がいる場所7箇所を選定し,居住者や就労者が呼吸する位置における大気中の硫化水素濃度の1時間平均値を連続して測定した.測定は,2022年度に1回あたり9~16日間の連続測定を1箇所につき3回実施した.その結果,1時間平均値は0.05~3.96 ppmであった.なお,それぞれの場所の居住者や就労者10人に健康状態について聞き取りを行ったところ,いずれも慢性的なのどの痛みや鼻水など呼吸器の違和感,継続的な眼の痛みなどの健康上の悪影響は自覚していなかった.
大気中の硫化水素には,環境基準が設定されていない.長期的なばく露による健康影響の基準としては,「欧州空気質ガイドライン第2版」(WHO,2000)のガイドライン値である0.11 ppm(24時間平均値)があるが,この基準を超えた場合にどのような健康上の影響が生じるかについては,人を対象とした実験や観察により確認されていない.その他に,人への暴露実験によって得られた知見に基づき,労働者を対象に設定された基準がある.米国産業衛生専門家会議(ACGIH)の暴露限度(TLV)は,1日8時間、週40時間の時間加重平均(TWA)で1 ppm,15分間の時間平均暴露(STEL)で5 ppmである.
今回の測定には,主にNEDO研究開発「IoT硫化水素モニタリングシステムの開発」で開発中の試作機を使用した.この測定器は,地熱発電所の環境アセスメントを効率化する目的で開発している.ppmオーダーを想定した従来の電気化学式ガスセンサに定期校正機能を組み合わせることで,ノイズやドリフトの影響をほとんど受けずに低濃度域の硫化水素を長期間連続で測定することが可能である.測定範囲は0.01~5 ppm程度で,環境アセスメントの従来の測定手法との比較等により一定の精度が確保されていることを確認している.この測定器は,外形が32 cm×26 cm×16 cmで,重量が3 kg弱と持ち運びが容易である.単三アルカリ乾電池4本で3日間以上の駆動を実現しており,外部電源の利用により数か月間等の長期測定にも対応できる.
今後は,火山の周辺でこの測定器を数十台同時に稼働させて,火山ガスに含まれる硫化水素を対象に,一定範囲の濃度分布を可視化する取り組みを実施する予定である.
(この成果は,国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務(JPNP21001)の結果得られたものです.)
大気中の硫化水素には,環境基準が設定されていない.長期的なばく露による健康影響の基準としては,「欧州空気質ガイドライン第2版」(WHO,2000)のガイドライン値である0.11 ppm(24時間平均値)があるが,この基準を超えた場合にどのような健康上の影響が生じるかについては,人を対象とした実験や観察により確認されていない.その他に,人への暴露実験によって得られた知見に基づき,労働者を対象に設定された基準がある.米国産業衛生専門家会議(ACGIH)の暴露限度(TLV)は,1日8時間、週40時間の時間加重平均(TWA)で1 ppm,15分間の時間平均暴露(STEL)で5 ppmである.
今回の測定には,主にNEDO研究開発「IoT硫化水素モニタリングシステムの開発」で開発中の試作機を使用した.この測定器は,地熱発電所の環境アセスメントを効率化する目的で開発している.ppmオーダーを想定した従来の電気化学式ガスセンサに定期校正機能を組み合わせることで,ノイズやドリフトの影響をほとんど受けずに低濃度域の硫化水素を長期間連続で測定することが可能である.測定範囲は0.01~5 ppm程度で,環境アセスメントの従来の測定手法との比較等により一定の精度が確保されていることを確認している.この測定器は,外形が32 cm×26 cm×16 cmで,重量が3 kg弱と持ち運びが容易である.単三アルカリ乾電池4本で3日間以上の駆動を実現しており,外部電源の利用により数か月間等の長期測定にも対応できる.
今後は,火山の周辺でこの測定器を数十台同時に稼働させて,火山ガスに含まれる硫化水素を対象に,一定範囲の濃度分布を可視化する取り組みを実施する予定である.
(この成果は,国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務(JPNP21001)の結果得られたものです.)