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[SVC33-02] 霧島火山新燃岳享保噴火 (1716-1717) の噴火準備過程―多段階のマグマ混合とマグマミングリング
キーワード:噴火準備過程、新燃岳、準プリニー式噴火、磁鉄鉱、多段階マグマ混合、マグマミングリング
享保噴火は、2011年等の最近の噴火に比べ規模 が一回り大きい。噴火規模の差異を踏まえ同火山の噴火準備過程を解明する上で重要である。準プリニー式噴火と関連する全てのユニット(SmKP-1~7)が観察可能な露頭を検討した。火山灰ユニット(SmKP-1とSmKP-3)は除外した。構成物と粒径によりサブユニットに分けた。軽石全体の色が均質な場合、茶色・灰色・白色の軽石とした。白色軽石はどの層準でも稀である。茶色・灰色部と白色部が混在し白色部が10%以上の場合、縞状軽石とした。SmKP-2とSmKP-4~5とSmKP-6の各々で縞状軽石の比率は上位の層準ほど高い。SmKP-2とSmKP-4~5では上位ほど軽石の見かけ密度が小さく上位が噴火最盛期といえる。岩石学的検討により、噴火全体を通じて共通の2端成分マグマが関与していることと、個々の噴火イベント(SmKP-2・SmKP-4~5・SmKP-6)内で端成分マグマの噴出物への寄与率に時間変化があることを見出した。全岩分析には地震研のRIGAKU ZSX Primus IIを、薄片全体の組成像撮影と斑晶分析には地震研のJXA-8530FPlusとJXA-8800Rを使用した。全岩SiO2量は茶色・灰色軽石で57.3~59.3wt. % (N=15)、白色軽石で61.1wt. % (N=1)である。白色軽石は低温端成分そのものか僅かに高温端成分が混合したものである。ユニット上位で高温端成分の寄与率が下がることが、縞状軽石比の増大のほか、茶色・灰色軽石の全岩SiO2量が上位で増加することでも示される。茶色・灰色軽石の石基には肉眼で判別できないサイズの高SiO2部(白色軽石と同等、ガラス質)がある。これも縞状軽石と同様に、マグマミングリングの結果である。茶色・灰色軽石の石基における高SiO2部の比率は、個々のユニットの上位で高くなり、軽石の全岩SiO2量の増加とも連動している。
低温端成分は結晶に富むマッシュ状である。噴火準備過程では、高温マグマとの混合によりマッシュの粘性が低下した。その過程を、低温端成分由来の磁鉄鉱斑晶のMgOプロファイルから検討した。今回はSmKP-2を代表とした。LowerとUpperのサブニットの灰色・茶色軽石2サンプルについて各々約10個の磁鉄鉱の線分析を実施した。結晶全体で見て、逆累帯構造を持つか平坦なプロファイルを持つ。リムのMgO量は結晶が存在する石基の組成を概ね反映している。石基組成の不均質がより顕著であったUpperの軽石では、リムのMgO量が低い斑晶と高い斑晶の2種類が共存し、後者のリムのMgO量はLowerのリムと一致する。逆累帯構造を持つ磁鉄鉱のコア部は比較的均質で、MgO量は低温端成分に対し想定する値よりも高い。このコア部は、逆累帯構造を残したマグマ混合イベント以前の、先行的な混合イベントで生成したと見られる。先行的なマグマ混合イベントの後、十分な時間が経過したため、結晶は一旦、コアからリムまで均質化した(Suzuki et al. 2013の2011年噴火と同等のモデル)。また磁鉄鉱斑晶のリムとコアのMgO量には相関がある。これはマグマ溜まりの中で先行的なマグマ混合を経験した部位は粘性が下がり、次のマグマ混合イベントでも高温マグマの影響を受けやすい状況にあったためだと推測される。上述の2度のマグマ混合イベントを経て、マグマ溜まり内には、高温マグマとの混合が顕著であった部分(灰色・茶色部)と顕著でなかった部分(白色部)が発生した。その後、火道内にて2つの部位がマグマミングリングした。マグマがマグマ溜まりから火道に移動する際、粘性の低い部分が優先的に移動した。そのため噴出物全体における高温マグマの寄与率は、噴火イベントの開始後、時間とともに低下した。噴火直近のマグマ混合イベント(マグマミングリング発生前)からマグマの噴出・固結までの時間を探った。逆累帯構造を持つ磁鉄鉱について、コア組成の結晶にリム相当の結晶がオーバーグロースし、コアとリムとの間で元素拡散が起こったものとして、実際のプロファイルが再現される時間を見積もった。その時間はLowerとUpperのサブニットの両方で、数時間〜30時間程度の範囲に集中する。また磁鉄鉱リムのMgO含有量によって変化しない。噴火直近のマグマ混合は、マッシュ状マグマ溜まりに存在したマグマの組成や、最終的な噴出・堆積のタイミングと関係なく、全てについてほぼ同時期に発生した可能性が高い。今後、他の斑晶種や軽石縞状部を横断するガラス等について元素拡散の記録を解読し、より詳細な時間的制約を置く。またSmKP-2とSmKP-4~5やSmKP-6との比較も行う。
低温端成分は結晶に富むマッシュ状である。噴火準備過程では、高温マグマとの混合によりマッシュの粘性が低下した。その過程を、低温端成分由来の磁鉄鉱斑晶のMgOプロファイルから検討した。今回はSmKP-2を代表とした。LowerとUpperのサブニットの灰色・茶色軽石2サンプルについて各々約10個の磁鉄鉱の線分析を実施した。結晶全体で見て、逆累帯構造を持つか平坦なプロファイルを持つ。リムのMgO量は結晶が存在する石基の組成を概ね反映している。石基組成の不均質がより顕著であったUpperの軽石では、リムのMgO量が低い斑晶と高い斑晶の2種類が共存し、後者のリムのMgO量はLowerのリムと一致する。逆累帯構造を持つ磁鉄鉱のコア部は比較的均質で、MgO量は低温端成分に対し想定する値よりも高い。このコア部は、逆累帯構造を残したマグマ混合イベント以前の、先行的な混合イベントで生成したと見られる。先行的なマグマ混合イベントの後、十分な時間が経過したため、結晶は一旦、コアからリムまで均質化した(Suzuki et al. 2013の2011年噴火と同等のモデル)。また磁鉄鉱斑晶のリムとコアのMgO量には相関がある。これはマグマ溜まりの中で先行的なマグマ混合を経験した部位は粘性が下がり、次のマグマ混合イベントでも高温マグマの影響を受けやすい状況にあったためだと推測される。上述の2度のマグマ混合イベントを経て、マグマ溜まり内には、高温マグマとの混合が顕著であった部分(灰色・茶色部)と顕著でなかった部分(白色部)が発生した。その後、火道内にて2つの部位がマグマミングリングした。マグマがマグマ溜まりから火道に移動する際、粘性の低い部分が優先的に移動した。そのため噴出物全体における高温マグマの寄与率は、噴火イベントの開始後、時間とともに低下した。噴火直近のマグマ混合イベント(マグマミングリング発生前)からマグマの噴出・固結までの時間を探った。逆累帯構造を持つ磁鉄鉱について、コア組成の結晶にリム相当の結晶がオーバーグロースし、コアとリムとの間で元素拡散が起こったものとして、実際のプロファイルが再現される時間を見積もった。その時間はLowerとUpperのサブニットの両方で、数時間〜30時間程度の範囲に集中する。また磁鉄鉱リムのMgO含有量によって変化しない。噴火直近のマグマ混合は、マッシュ状マグマ溜まりに存在したマグマの組成や、最終的な噴出・堆積のタイミングと関係なく、全てについてほぼ同時期に発生した可能性が高い。今後、他の斑晶種や軽石縞状部を横断するガラス等について元素拡散の記録を解読し、より詳細な時間的制約を置く。またSmKP-2とSmKP-4~5やSmKP-6との比較も行う。