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[SVC33-04] ガラスエンベイメント含水量変化から復元する桜島1914年大正噴火のマグマ上昇過程
キーワード:噴火、マグマ、桜島、供給火道
桜島1914年大正噴火は,噴火初期に発生した爆発的噴火とそれに引き続く溶岩流出噴火により約1.5km3のマグマを噴出した大規模噴火である.1914年噴火初期の爆発的噴火は,総延長約7kmの割れ目火口から発生した.噴火開始から1時間程度は比較的噴煙高度が低い状態で推移したが,その後急速に噴出率が上昇し,高度約20kmに及ぶ噴煙柱を維持したプリニー式噴火が約1日間継続した.その後やや低い噴煙を断続的に吹き上げるブルカノ式噴火と連続灰噴火に推移しながら,次第に溢流的噴火に移行した.こうした噴火推移は噴出物層序に記録されている.噴火開始地点に近い桜島西麓の湯之平付近では,1914年降下火砕物層の基部に細粒の軽石層~火山灰層が認められ(Unit T0),噴火最初期の噴出物と考えられる.その上位に噴火最盛期のプリニー式噴火によるほぼ無層理で粗粒の降下軽石層が堆積している(Unit T1~T2).プリニー式噴火期の粗粒の降下軽石層の上部は弱く成層したやや細粒の軽石層からなる(Unit T3).黒神など桜島の東部から垂水地域では、さらにその上位に軽石質の火山灰層が堆積し(Unit T4),プリニー式噴火に続く火山灰放出期の噴出物と見なされる1.
これらの噴出物の本質物質である軽石中の斑晶鉱物には,しばしばガラスで満たされた湾入部であるガラスエンベイメントが見いだされる.ガラスエンベイメント内の含水量は,噴火最初期のT0では約1.5%未満と低くいが,続くプリニー式噴火期のT1~T3では2~3%と高く,その値は斑晶鉱物のガラス包有物の含水量の値にほぼ一致する.また,プリニー式噴火後の灰噴火期の噴出物であるT4ではガラスエンベイメント内の含水量はまちまちで,ほぼ脱水したものから,2~3%と高いものまでみられる.1914年噴火マグマの石基ガラス組成や,噴出温度を考慮すると,これらのガラスエンベイメント内の含水量は噴出直前数時間程度のマグマ飽和含水量を記録していると期待される.大正噴火のマグマは噴火直前数10日間、深さ数kmの火道下部に一時的に貯留されていたと考えられており2.3, プリニー式噴火期のガラスエンベイメント内の高い含水量は,これらのマグマが火道下部の一時貯留深度から直接上昇してきたことを示唆する.一方,噴火最初期の噴出物のガラスエンベイメント内の比較的低い含水量は,これらのマグマが噴出数10時間前にはすでにより低圧環境下にあったことを示唆する.これは,火道下部の一時貯留深度にあったマグマが,数10時間程度かけて浅部に移動していたことを示唆する.この時間スケールは噴火直前の激しい地震活動の継続時間とほぼ一致することから,大正噴火の開始直前には火道下部の一時貯留深度にあったマグマが岩盤を破壊しながら供給ダイクを形成し,数十時間かけて総延長約7kmのダイクを形成した後に,そのダイクの一部が地表に到達して噴火が開始したと考えられる.
1. Todde et al. (2017) https://doi.org/10.1007/s00445-017-1154-4; 2.Araya et al. (2019) Sci. Rep. https://doi.org/10.1038/s41598-019-38494-x; 3. Araya et al. (2024) J.G.R. https://doi.org/10.1029/2023JB028558
これらの噴出物の本質物質である軽石中の斑晶鉱物には,しばしばガラスで満たされた湾入部であるガラスエンベイメントが見いだされる.ガラスエンベイメント内の含水量は,噴火最初期のT0では約1.5%未満と低くいが,続くプリニー式噴火期のT1~T3では2~3%と高く,その値は斑晶鉱物のガラス包有物の含水量の値にほぼ一致する.また,プリニー式噴火後の灰噴火期の噴出物であるT4ではガラスエンベイメント内の含水量はまちまちで,ほぼ脱水したものから,2~3%と高いものまでみられる.1914年噴火マグマの石基ガラス組成や,噴出温度を考慮すると,これらのガラスエンベイメント内の含水量は噴出直前数時間程度のマグマ飽和含水量を記録していると期待される.大正噴火のマグマは噴火直前数10日間、深さ数kmの火道下部に一時的に貯留されていたと考えられており2.3, プリニー式噴火期のガラスエンベイメント内の高い含水量は,これらのマグマが火道下部の一時貯留深度から直接上昇してきたことを示唆する.一方,噴火最初期の噴出物のガラスエンベイメント内の比較的低い含水量は,これらのマグマが噴出数10時間前にはすでにより低圧環境下にあったことを示唆する.これは,火道下部の一時貯留深度にあったマグマが,数10時間程度かけて浅部に移動していたことを示唆する.この時間スケールは噴火直前の激しい地震活動の継続時間とほぼ一致することから,大正噴火の開始直前には火道下部の一時貯留深度にあったマグマが岩盤を破壊しながら供給ダイクを形成し,数十時間かけて総延長約7kmのダイクを形成した後に,そのダイクの一部が地表に到達して噴火が開始したと考えられる.
1. Todde et al. (2017) https://doi.org/10.1007/s00445-017-1154-4; 2.Araya et al. (2019) Sci. Rep. https://doi.org/10.1038/s41598-019-38494-x; 3. Araya et al. (2024) J.G.R. https://doi.org/10.1029/2023JB028558