11:45 〜 12:00
[SVC33-10] Ash fingerを考慮した火山灰輸送分散シミュレーション
キーワード:Ash finger、火山灰輸送分散モデル、桜島、ブルカノ式噴火
爆発的火山噴火で火口から放出された火山灰は,大気中での移流拡散過程によって運搬される。火山灰の地表での堆積分布と到達時刻は,地形や大気構造を組み込んだ火山灰輸送分散モデル(VATDM)を用いて再現,予測することができる。これまでの多くのVATDMでは,火山灰は単体粒子の終端速度にしたがって降下すると単純化されていた。しかし,火山噴煙の底部で重力不安定が発生すると,火山灰粒子濃度の高い混相流体が下降流となって火山灰降下に影響することが近年の研究(例えば, Carazzo and Jellinek, 2013)によって明らかになってきた。Ash fingerと呼ばれるこの下降流の速度がfingerを構成する粒子の終端速度を上回るとき,火山灰は効率的に落下すると考えられる。そこで,ash fingerが火山灰輸送に与える影響を定量化することを本研究の目的とした。
本研究では,FALL3D (Costa et al., 2006; Folch et al., 2020)の枠組みに基づくVATDMに,ash fingerによる火山灰降下の影響を組み込んだ。FALL3Dは,1次元噴煙柱ダイナミクスモデルから得られる火山灰の空間分布を初期条件として与え,移流拡散方程式を解くことで大気中に浮遊する火山灰と地表に堆積する火山灰の時空間分布を求めている。また,粒径分布はCosta et al. (2016)の経験式によって与え,-2φから4.5φまで0.5φ間隔で離散化したグループ(bin)に分類して計算している。Ash fingerの影響を考慮するため,Ash fingerの落下速度vfが各binの終端速度vtを上回るとき,そのbin内のすべての粒子はvfで降下すると仮定した。vfは,構成粒子の代表的な終端速度vtrおよび火山灰濃度で決まる経験式(Hoyal et al., 1999)を用いた。各binの終端速度vtはSuzuki (1983)の式で与え,bin毎の質量比で重み付けした平均値をvtrとした。粒子が個別に降下するかash fingerの構成粒子として降下するかを表す上記の基準は,室内実験で確認されている (Fries et al., 2021; 2024)。
構築したモデルは,実際の桜島の地形データと大気構造を入れて数値的に解いた。典型的な夏季の桜島での大気を気象庁MSMモデルの5kmメッシュデータから選択し,山岳地形を考慮した0.5 kmメッシュのプロファイルをWRFモデル (Ver.4; Skamarock et al., 2019)による計算で作成した。得られた温度・圧力・密度・風速の鉛直プロファイルを大気条件とした。水平方向15 km×15 km,鉛直方向5.8 kmの直方体の計算領域を,水平80m, 鉛直50mのグリッドで分割した。時間ステップは,粒子の移動速度の最大値を入れたCFL条件を満たすように決定した。グリッド間の流束はKurganov-Tadmor法で計算し,時間積分は4次のルンゲ・クッタ法を適用した。計算空間内に滞留する粒子の9割が高度数kmから終端速度で堆積する1時間で計算を停止した。
噴煙高度が数kmのブルカノ式噴火を対象としたシミュレーションを行い,降灰分布を求めた。噴煙高度2.5 km,総噴出量1.7×107 kgとした場合,3φより粗い粒子は終端速度に従い落下したが,3φより細かな粒子はash fingerとして落下する様子が確認された。さらに,Ash fingerを無視したシミュレーションによる降灰分布と比較したところ,ash fingerによって火口近傍の降灰量が顕著に多くなった。噴煙高度4.7 km,総噴出量4.4×107 kgとした場合,火口から約5kmで細粒粒子が多量に降る領域の違いがより顕著になった。降灰分布に加え堆積時刻についても定量化し,桜島火山の実際の噴火事例についてのシミュレーション結果と野外観察結果を比較し,ash fingerが降灰過程に与える影響を議論する。
本研究では,FALL3D (Costa et al., 2006; Folch et al., 2020)の枠組みに基づくVATDMに,ash fingerによる火山灰降下の影響を組み込んだ。FALL3Dは,1次元噴煙柱ダイナミクスモデルから得られる火山灰の空間分布を初期条件として与え,移流拡散方程式を解くことで大気中に浮遊する火山灰と地表に堆積する火山灰の時空間分布を求めている。また,粒径分布はCosta et al. (2016)の経験式によって与え,-2φから4.5φまで0.5φ間隔で離散化したグループ(bin)に分類して計算している。Ash fingerの影響を考慮するため,Ash fingerの落下速度vfが各binの終端速度vtを上回るとき,そのbin内のすべての粒子はvfで降下すると仮定した。vfは,構成粒子の代表的な終端速度vtrおよび火山灰濃度で決まる経験式(Hoyal et al., 1999)を用いた。各binの終端速度vtはSuzuki (1983)の式で与え,bin毎の質量比で重み付けした平均値をvtrとした。粒子が個別に降下するかash fingerの構成粒子として降下するかを表す上記の基準は,室内実験で確認されている (Fries et al., 2021; 2024)。
構築したモデルは,実際の桜島の地形データと大気構造を入れて数値的に解いた。典型的な夏季の桜島での大気を気象庁MSMモデルの5kmメッシュデータから選択し,山岳地形を考慮した0.5 kmメッシュのプロファイルをWRFモデル (Ver.4; Skamarock et al., 2019)による計算で作成した。得られた温度・圧力・密度・風速の鉛直プロファイルを大気条件とした。水平方向15 km×15 km,鉛直方向5.8 kmの直方体の計算領域を,水平80m, 鉛直50mのグリッドで分割した。時間ステップは,粒子の移動速度の最大値を入れたCFL条件を満たすように決定した。グリッド間の流束はKurganov-Tadmor法で計算し,時間積分は4次のルンゲ・クッタ法を適用した。計算空間内に滞留する粒子の9割が高度数kmから終端速度で堆積する1時間で計算を停止した。
噴煙高度が数kmのブルカノ式噴火を対象としたシミュレーションを行い,降灰分布を求めた。噴煙高度2.5 km,総噴出量1.7×107 kgとした場合,3φより粗い粒子は終端速度に従い落下したが,3φより細かな粒子はash fingerとして落下する様子が確認された。さらに,Ash fingerを無視したシミュレーションによる降灰分布と比較したところ,ash fingerによって火口近傍の降灰量が顕著に多くなった。噴煙高度4.7 km,総噴出量4.4×107 kgとした場合,火口から約5kmで細粒粒子が多量に降る領域の違いがより顕著になった。降灰分布に加え堆積時刻についても定量化し,桜島火山の実際の噴火事例についてのシミュレーション結果と野外観察結果を比較し,ash fingerが降灰過程に与える影響を議論する。