日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC33] 火山噴火のメカニズム

2025年5月26日(月) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:無盡 真弓(北海道大学)、田中 良(北海道大学大学院理学研究院附属地震火山研究観測センター)、丸石 崇史(防災科学技術研究所)、村松 弾(東京大学地震研究所)

17:15 〜 19:15

[SVC33-P05] 空隙と結晶の多くは隣接する:雲仙で噴出した溶岩のCT観察

*齋藤 虹南1並木 敦子1 (1.名古屋大学)


キーワード:CT、溶岩、雲仙、空隙、結晶、セグメンテーション

マグマが上昇する過程で脱ガス、つまり火山ガスがメルトから分離して大気中に十分放出されると、爆発が抑制され、穏やかな噴火をもたらす。相互に連結した気泡ネットワークを通る浸透性のガス流は脱ガスの通路となる可能性があるが、そのような構造の持続性は依然として議論されており、結晶の骨組みの重要性が示されている(Lindoo et al., 2017)。しかし、それが本当に存在するのか、珪長質マグマにも存在するのかは明らかでない。そこで、デイサイト質溶岩の空隙と結晶の位置関係を観察した。
雲仙普賢岳1990-1995噴火の溶岩試料(火山弾、火砕流堆積物の溶岩、2つのスパインの試料)を観察した。X線コンピューター断層撮影(CT)は溶岩の内部構造を観察するのに有用であるが、CTでは斜長石とケイ酸塩メルトの識別が困難である。そこで、一般的なX線検査装置のCTに加え、シンクロトロン放射光X線を用いて画像画素サイズ異なる3種類のX線スキャン(マイクロCT、コンピューターラミノグラフィ(CL)、ナノCT)を行った。CLとナノCTはSPring-8で行った。その後、再構成された3D像を空隙、結晶、メルト(室温ではガラス)にセグメンテーションした。
セグメンテーションされた再構成3D像では、はっきりとした大きな空隙が結晶に接するように見える。空隙は火山弾で広く分散しておりせん断変形したスパイン(spine-shear)で最も局在している。spine-shearでは、結晶間の狭い隙間に空隙が伸びている様子が可視化できた。セグメンテーションされた再構成3D像の観察とSEM分析を組み合わせることで、spine-shearでは様々な種類の鉱物の結晶間にシート状の空隙が存在することが分かった。一方、火山弾では、大きな空隙が1 mmより十分小さい多数の空隙を介してつながっており、マイクロCTでは解像できないが、高解像度イメージングによりそれらを可視化することができた。火山弾中に見られる結晶は空隙を伴うことが多いことも観察された。
火山弾の空隙率は深さ約0.5 kmに相当する。この深さのメルトは粘性の観点から変形可能である。そのため、成長する気泡を隔てる気泡膜はやがて破裂し、ガスが抜け、泡状のマグマは収縮する。地表に噴出して溶岩ドームを形成したスパインや火砕流の溶岩で観察されるような低空隙率(約0.1)のマグマは、浸透性の通路を失う。しかし、収縮するマグマ中で気泡に覆われた結晶どうしが接近すると、気泡を間に挟んで結晶どうしが接触する。この場合、結晶は浸透性のネットワークを維持するための骨組みを作ることができる。火道壁付近では、マグマの上昇に伴うせん断変形によって結晶が並び、効率的に脱ガスの通路が形成されたと考えられる。