日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC34] 火山・火成活動および長期予測

2025年5月27日(火) 13:45 〜 15:15 コンベンションホール (CH-B) (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:長谷川 健(茨城大学理学部地球環境科学コース)、上澤 真平(電力中央研究所 サステナブルシステム研究本部 地質・地下環境研究部門)、清杉 孝司(神戸大学理学研究科惑星学専攻)、及川 輝樹(国立研究開発法人産業技術総合研究所)、座長:長谷川 健(茨城大学理学部地球環境科学コース)、及川 輝樹(国立研究開発法人産業技術総合研究所)

14:15 〜 14:30

[SVC34-03] 鳥海火山の火山灰層序からみた1万年前からの爆発的噴火活動史

*小菅 蒼太1大場 司1伴 雅雄2井村 匠2 (1.秋田大学、2.山形大学)


キーワード:テフラ、火山灰成分分析、噴火史

東北本州弧背弧側に位置する鳥海火山は、新山山頂を噴火中心とする東鳥海、鳥海湖を噴火中心とする西鳥海から構成される。山体形成史はステージⅠ、Ⅱ、Ⅲに大別され、さらにステージⅡはⅡa、Ⅱb、Ⅱc、ステージⅢはⅢa、Ⅲbに細分される林(1984)。2800年前の猿穴溶岩噴火から10世紀(To-a)までの間の主要な爆発的噴火は2800年前、2500年前、2100~1900年前、1800年前、1600年前及び西暦871年に起きている(Ohba et al. 2022、2024)。しかしそれ以前の爆発的噴火の年代および活動史の解明は進んでいない。さらに、To-a以降の爆発的噴火によるテフラも複数確認されているが、その詳細は解明されていない。そこで本研究の目的を、2800年以前と1100年前以降の爆発的噴火活動史を解明することとする。鳥海火山山腹にてテフラ調査を行い、5地点で火山灰、土壌を採取した。土壌サンプルは火山灰層直下のものを採取し、山形大学高感度加速器質量分析センターにてAMS放射性炭素年代測定を行った。実体顕微鏡による火山灰の成分分析では、Ohba et al. (2022)に従い不定形黒色火山灰粒子(IBJ)、ブロック状黒色火山灰粒子(BBJ)、不定形無色透明火山灰粒子(IGJ)、変質岩粒子(AL)、灰色石質粒子(PGL)、遊離結晶(XL)、火山豆石(PA)の7種類に分け、その量比を測定した。不定形黒色火山灰粒子(IBJ)、ブロック状黒色火山灰粒子(BBJ)、不定形無色透明火山灰粒子(IGJ)は本質物と解釈した。観察したテフラ層の大半は淘汰の良い粗粒~細粒火山灰であり、一部淘汰の悪い火山礫もあった。色調は赤褐色、淡黄色、明~暗灰色など様々である。広域テフラであるTo-a、2500年前の山体崩壊に伴うテフラ、鳥の海スコリアは特徴的な層相であるため、鍵層とした。西鳥海馬蹄形カルデラ内、千畳ヶ原の露頭の下部に産する4層のテフラ直下の土壌からは、それぞれ5936±25yrBP、 6026±25yrBP、 6466±26yrBP、 7479±28yrBPが得られた。1万~6000yrBPの年代値を示すテフラは鳥海湖周辺にのみ分布する。テフラ中の本質物の割合は6~93%と様々であるが、10~30%本質物が含まれる層が多い。ほとんどのテフラは変質岩片に富む。鳥海火山の1万年前からの爆発的噴火活動史は以下のようにまとめられる。一万年前以前に鳥の海スコリアの噴出が発生、その後、約1万から6000年前は西鳥海での活動が活発であり、たびたびマグマ水蒸気噴火があった。約4600年前には活動の中心が西鳥海から東鳥海へ移動しており、東鳥海での活動は現在まで続いている。大半の噴火様式はマグマ水蒸気噴火であるが、約3400年前にはブルカノ式噴火が起きた。主な噴火はこれまで明らかになっていた2.8ka、2.5ka、2.1~1.9ka、1.8ka、1.6ka、871CEに加えて1200CE頃にも起こっていたことが明らかになった。