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[SVC34-08] 三宅島火山における約4,000〜2,300年前の噴火史とマグマ供給系
キーワード:噴出物層序、噴火史、マグマ供給系、三宅島
三宅島火山の活動は,約10〜4 kaの大船渡期(約7〜4 kaの静穏期を含む),約4〜2.3 kaの坪田期,約2.3 ka〜15世紀の雄山期,15世紀以降の新澪期に区分される1.このうち,比較的露出の良い約2.3 ka以降の噴出物については,詳細な層序とマグマ組成の時間変化が明らかにされている2.しかし,約2.3 ka以前の活動については不明点が多い.特に約4〜2.3 kaの時期は,静穏期後の活動初期にあたり,その後現在まで連続する本火山の発達過程を議論する上で重要であるため本研究の対象とした.
これらの噴出物は,三宅島北西部と南部地域に露出し,また南部地域中腹の坪田観測井コア(深度50〜102.5 m)にも認識されている1,3.このうち,比較的よく露出する南部地域において,地質調査,放射性炭素年代測定などを実施し,模式的な層序を構築した.そして,北西地域およびコア試料の噴出物について,記載と全岩化学組成分析を行い,南部地域で構築した模式層序と比較し,三宅島火山における約4〜2.3 kaの噴火史とマグマ供給系を明らかにした.
南部地域の沿岸域を中心に地質記載を行い,約4〜2.3 kaの噴出物を土壌や風化侵食面を挟んで少なくとも16ユニットに区分した.これらのユニットは,噴出時期,噴火様式および本質物質の岩石学的特徴から,次に述べるステージ1〜3にまとめられる.(ステージ1)約3.5 ka以前:鶴根岬(つるねみさき)溶岩1(仮称)(>0.040 km3)などの厚い溶岩流(約5 m以上)が卓越し,斑れい岩質捕獲岩・捕獲結晶を含む安山岩からなる;(ステージ2)約3.5〜3.1 ka:鶴根テフラ(仮称)など爆発的噴火による堆積物が卓越し,玄武岩質安山岩(SiO2 = 53.7–55.1 wt.%)からなる;(ステージ3)約3.1〜2.3 ka:初期に発生した玄武岩質スコリアを含む比較的規模の大きい噴火堆積物(水溜り噴火1:約0.062 km3)と,その後に噴出した分化した玄武岩質安山岩〜安山岩(SiO2 = 51.4–59.4 wt.%)からなる.これら南部地域の模式的層序と北西地域および坪田観測井コア試料間でステージ対比を行った.その結果,北西地域については,伊ヶ谷(いがや)火山豆石・伊豆下溶岩(4.5〜4.0 ka1:0.091 km3)および伊ヶ谷東方スコリア(4.3〜3.7 ka1)がステージ1に,八丁平噴出物(2.3 ka2)の直下の長根スコリア1および観音下橋(かんのんしたばし)溶岩1がステージ3に対比できる.コア試料では,4.2〜3.9 kaの古土壌3よりも下位の3枚の溶岩がステージ1に,上位の溶岩およびスコリアがステージ3に対比できる.一方,ステージ2に対比される噴出物は認められなかった.
三宅島火山の約4,000〜2,300年前の噴火史は次のようにまとめられる.静穏期直後のステージ1(約4,000〜3,500年前)には,安山岩マグマが上昇経路の斑れい岩を破壊・捕獲して噴出した.ステージ2(約3,500〜3,100年前)には,玄武岩質安山岩による爆発的噴火が卓越した.ステージ3(約3,100〜2,300年前)には,初期に玄武岩が浅部のマグマ供給系に注入され,その後に分化した玄武岩質安山岩〜安山岩が繰り返し噴出したと考えられる.ステージ3のような玄武岩から安山岩へ遷移するマグマ活動のサイクルは,約2,300〜1,400年前,約1,400〜500年前,約500年前〜西暦2000年にも認識されている2.このような約500〜1000年周期の活動サイクルは,約3,100年前から継続していることが明らかになった.西暦2000年の噴火でも新しい玄武岩マグマの関与が示唆された4.最近約3,100年間で繰り返されているサイクルに基づくと,現在の三宅島火山の活動は,安山岩質へとマグマを分化させながら今後約500〜1,000年間継続する可能性がある.
引用文献:
1. 津久井・鈴木, 1998, 火山; 2. Geshi et al., 2022, EPS; 3. 新堀・他, 2003, 火山; 4. 下司・他, 2002, 火山
これらの噴出物は,三宅島北西部と南部地域に露出し,また南部地域中腹の坪田観測井コア(深度50〜102.5 m)にも認識されている1,3.このうち,比較的よく露出する南部地域において,地質調査,放射性炭素年代測定などを実施し,模式的な層序を構築した.そして,北西地域およびコア試料の噴出物について,記載と全岩化学組成分析を行い,南部地域で構築した模式層序と比較し,三宅島火山における約4〜2.3 kaの噴火史とマグマ供給系を明らかにした.
南部地域の沿岸域を中心に地質記載を行い,約4〜2.3 kaの噴出物を土壌や風化侵食面を挟んで少なくとも16ユニットに区分した.これらのユニットは,噴出時期,噴火様式および本質物質の岩石学的特徴から,次に述べるステージ1〜3にまとめられる.(ステージ1)約3.5 ka以前:鶴根岬(つるねみさき)溶岩1(仮称)(>0.040 km3)などの厚い溶岩流(約5 m以上)が卓越し,斑れい岩質捕獲岩・捕獲結晶を含む安山岩からなる;(ステージ2)約3.5〜3.1 ka:鶴根テフラ(仮称)など爆発的噴火による堆積物が卓越し,玄武岩質安山岩(SiO2 = 53.7–55.1 wt.%)からなる;(ステージ3)約3.1〜2.3 ka:初期に発生した玄武岩質スコリアを含む比較的規模の大きい噴火堆積物(水溜り噴火1:約0.062 km3)と,その後に噴出した分化した玄武岩質安山岩〜安山岩(SiO2 = 51.4–59.4 wt.%)からなる.これら南部地域の模式的層序と北西地域および坪田観測井コア試料間でステージ対比を行った.その結果,北西地域については,伊ヶ谷(いがや)火山豆石・伊豆下溶岩(4.5〜4.0 ka1:0.091 km3)および伊ヶ谷東方スコリア(4.3〜3.7 ka1)がステージ1に,八丁平噴出物(2.3 ka2)の直下の長根スコリア1および観音下橋(かんのんしたばし)溶岩1がステージ3に対比できる.コア試料では,4.2〜3.9 kaの古土壌3よりも下位の3枚の溶岩がステージ1に,上位の溶岩およびスコリアがステージ3に対比できる.一方,ステージ2に対比される噴出物は認められなかった.
三宅島火山の約4,000〜2,300年前の噴火史は次のようにまとめられる.静穏期直後のステージ1(約4,000〜3,500年前)には,安山岩マグマが上昇経路の斑れい岩を破壊・捕獲して噴出した.ステージ2(約3,500〜3,100年前)には,玄武岩質安山岩による爆発的噴火が卓越した.ステージ3(約3,100〜2,300年前)には,初期に玄武岩が浅部のマグマ供給系に注入され,その後に分化した玄武岩質安山岩〜安山岩が繰り返し噴出したと考えられる.ステージ3のような玄武岩から安山岩へ遷移するマグマ活動のサイクルは,約2,300〜1,400年前,約1,400〜500年前,約500年前〜西暦2000年にも認識されている2.このような約500〜1000年周期の活動サイクルは,約3,100年前から継続していることが明らかになった.西暦2000年の噴火でも新しい玄武岩マグマの関与が示唆された4.最近約3,100年間で繰り返されているサイクルに基づくと,現在の三宅島火山の活動は,安山岩質へとマグマを分化させながら今後約500〜1,000年間継続する可能性がある.
引用文献:
1. 津久井・鈴木, 1998, 火山; 2. Geshi et al., 2022, EPS; 3. 新堀・他, 2003, 火山; 4. 下司・他, 2002, 火山