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[SVC34-P02] レユニオン島の溶岩チューブ洞窟の形状から推定する溶岩流の温度
キーワード:溶岩温度、溶岩チューブ、表面張力、降伏強度
[はじめに]
インド洋にあるフランス海外県のレユニオン島のフルネーズ火山は頻繁に溶岩を流す噴火で有名である.1年に数回の割合で玄武岩溶岩流(SiO2重量分率は45wt%から50wt%)を流す火山である.1989年から2007年までの噴火とその溶岩流による溶岩チューブ洞窟の形態について,実地調査[1]を行い溶岩チューブが形成されたときの溶岩降伏値と表面張力を求め[2],さらにその溶岩降伏強度と表面張力から溶岩の温度の推定を試みた. 表1に1998年,2004年,2005年,2007年の溶岩流にできた溶岩チューブ洞窟の高低差,長さ等を調べた結果を示す.図1,2にKapor洞窟,図3~6にBlanche Nord洞窟の写真を示す.
[溶岩の降伏強度から推定する溶岩温度]
表1に示す高低差と長さから溶岩チューブ洞窟の斜度がわかり,洞窟の空洞高さから,溶岩の降伏強度を推定することが出来る.関係式はfB=(ρg sinα)H/4[3]で表される。ここでfB :ビンガム降伏強度,ρ:密度(2.5 g/cm3) ,g:重力加速度,α:斜度,H=2R:空洞高さである. 斜度に対して空洞高さをプロットしたものを図7に示す.溶岩の降伏値は5x103dyne/cm2 から2.5x104dyne/cm2の範囲にある[2].これから温度を推定するために伊豆大島三原山の1951年噴出の溶岩流の降伏強度fBの温度依存回帰式:log10fB=13.67-0.089θ,
ここでθは摂氏温度,fBはdyne/cm2 [3]を用いると温度θは1120℃~1042℃となる.
[溶岩の表面張力から推定する溶岩温度]
溶岩チューブ洞窟の内部には天井から溶岩鍾乳(図5)や,側壁には溶岩鍾乳が壁を伝った肋骨構造(図6)が見られ,床部には溶岩石筍(図2)がみられる.溶岩鍾乳と肋骨状溶岩のピッチP=2π(γ /g ρ)1/2[4]や,溶岩石筍を形成する落下液滴の寸法の関係式γ=rℓρg/2[4]から,溶岩の表面張力を求め,表面張力の温度依存式については三原山1950~1951年溶岩の表面張力の温度変化式γ=2100-1.1θ[5]を用いた.ここでγは表面張力,ρは溶岩密度,gは重力加速度,rは液滴の半径,ℓは液滴の長さである[4]. 溶岩鍾乳(図6)と肋骨状溶岩(図7)のピッチは3~4cmで平均して3.5cmとすると表面張力は800dyne/cmが得られ,温度は平均1200℃となる.一方,溶岩石筍を形成する落下液滴(図2)の寸法r=0.25cm,ℓ=4cmではγ=980 dyne/cmとなり,温度は1020℃となる.
[おわりに]
レユニオン島フルネーズ火山の溶岩流の温度は1100°Cと1160°Cの間 [6]などおおよそ1200℃前後[7]と言われており,溶岩流に形成された溶岩チューブ洞窟の形状から得られる降伏強度と表面張力から推定された溶岩温度(1120°C ~ 1042°C, 1200°C, 1020℃)はそれらとおおむね整合的である.
参考文献
[1] T.Staudacher,L.Ruzie and A.Peltier(2008): Historique des eruptions du Piton de la Fournaise de 1998 a 2007, OVPF/IPGP
[2]本多力,他(2014):A2-26フランス海外県レユニオン島の溶岩流(1998年~2007年)と
溶岩チューブ洞窟から得られる知見、日本火山学会講演予稿集2014年度秋季大会、p38
[3]本多力(2001):B10富士山溶岩洞窟の形成機構と得られる知見,日本火山学会講演予稿集2001(2),p66
[4]本多力(2015):SVC46-07溶岩チューブ洞窟と溶岩樹型の空洞内部に見る溶岩鍾乳と溶岩石筍から推定される溶岩の表面張力,日本地球惑星科学連合2015年大会
[5]横山泉,飯塚進(1970):溶融火山岩の表面張力の測定,北海道大学地球物理学研究報告24号,p57-61
[6]Villeneuve, N., D. R. Neuville, P. Boivin, P. Bachèlery, and P. Richet (2008), Magma crystallization and viscosity: A study of molten basalts from the Piton de la Fournaise volcano (La Réunion island), Chem. Geol., 256, 242–251, doi:10.1016/j.chemgeo.2008.06.039.
[7] Patrick Bachelery,Jean-Francois Lenat,Andrea Di Muro,Laurent Michon(2016):
Active Volcanoes of the Southwest Indian Ocean,Piton de la Fournaise and Karthala,Springer,p178-179.
インド洋にあるフランス海外県のレユニオン島のフルネーズ火山は頻繁に溶岩を流す噴火で有名である.1年に数回の割合で玄武岩溶岩流(SiO2重量分率は45wt%から50wt%)を流す火山である.1989年から2007年までの噴火とその溶岩流による溶岩チューブ洞窟の形態について,実地調査[1]を行い溶岩チューブが形成されたときの溶岩降伏値と表面張力を求め[2],さらにその溶岩降伏強度と表面張力から溶岩の温度の推定を試みた. 表1に1998年,2004年,2005年,2007年の溶岩流にできた溶岩チューブ洞窟の高低差,長さ等を調べた結果を示す.図1,2にKapor洞窟,図3~6にBlanche Nord洞窟の写真を示す.
[溶岩の降伏強度から推定する溶岩温度]
表1に示す高低差と長さから溶岩チューブ洞窟の斜度がわかり,洞窟の空洞高さから,溶岩の降伏強度を推定することが出来る.関係式はfB=(ρg sinα)H/4[3]で表される。ここでfB :ビンガム降伏強度,ρ:密度(2.5 g/cm3) ,g:重力加速度,α:斜度,H=2R:空洞高さである. 斜度に対して空洞高さをプロットしたものを図7に示す.溶岩の降伏値は5x103dyne/cm2 から2.5x104dyne/cm2の範囲にある[2].これから温度を推定するために伊豆大島三原山の1951年噴出の溶岩流の降伏強度fBの温度依存回帰式:log10fB=13.67-0.089θ,
ここでθは摂氏温度,fBはdyne/cm2 [3]を用いると温度θは1120℃~1042℃となる.
[溶岩の表面張力から推定する溶岩温度]
溶岩チューブ洞窟の内部には天井から溶岩鍾乳(図5)や,側壁には溶岩鍾乳が壁を伝った肋骨構造(図6)が見られ,床部には溶岩石筍(図2)がみられる.溶岩鍾乳と肋骨状溶岩のピッチP=2π(γ /g ρ)1/2[4]や,溶岩石筍を形成する落下液滴の寸法の関係式γ=rℓρg/2[4]から,溶岩の表面張力を求め,表面張力の温度依存式については三原山1950~1951年溶岩の表面張力の温度変化式γ=2100-1.1θ[5]を用いた.ここでγは表面張力,ρは溶岩密度,gは重力加速度,rは液滴の半径,ℓは液滴の長さである[4]. 溶岩鍾乳(図6)と肋骨状溶岩(図7)のピッチは3~4cmで平均して3.5cmとすると表面張力は800dyne/cmが得られ,温度は平均1200℃となる.一方,溶岩石筍を形成する落下液滴(図2)の寸法r=0.25cm,ℓ=4cmではγ=980 dyne/cmとなり,温度は1020℃となる.
[おわりに]
レユニオン島フルネーズ火山の溶岩流の温度は1100°Cと1160°Cの間 [6]などおおよそ1200℃前後[7]と言われており,溶岩流に形成された溶岩チューブ洞窟の形状から得られる降伏強度と表面張力から推定された溶岩温度(1120°C ~ 1042°C, 1200°C, 1020℃)はそれらとおおむね整合的である.
参考文献
[1] T.Staudacher,L.Ruzie and A.Peltier(2008): Historique des eruptions du Piton de la Fournaise de 1998 a 2007, OVPF/IPGP
[2]本多力,他(2014):A2-26フランス海外県レユニオン島の溶岩流(1998年~2007年)と
溶岩チューブ洞窟から得られる知見、日本火山学会講演予稿集2014年度秋季大会、p38
[3]本多力(2001):B10富士山溶岩洞窟の形成機構と得られる知見,日本火山学会講演予稿集2001(2),p66
[4]本多力(2015):SVC46-07溶岩チューブ洞窟と溶岩樹型の空洞内部に見る溶岩鍾乳と溶岩石筍から推定される溶岩の表面張力,日本地球惑星科学連合2015年大会
[5]横山泉,飯塚進(1970):溶融火山岩の表面張力の測定,北海道大学地球物理学研究報告24号,p57-61
[6]Villeneuve, N., D. R. Neuville, P. Boivin, P. Bachèlery, and P. Richet (2008), Magma crystallization and viscosity: A study of molten basalts from the Piton de la Fournaise volcano (La Réunion island), Chem. Geol., 256, 242–251, doi:10.1016/j.chemgeo.2008.06.039.
[7] Patrick Bachelery,Jean-Francois Lenat,Andrea Di Muro,Laurent Michon(2016):
Active Volcanoes of the Southwest Indian Ocean,Piton de la Fournaise and Karthala,Springer,p178-179.