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[SVC34-P07] 福島県中央部,磐梯火山と猫魔火山の山麓に分布する岩屑なだれ堆積物の給源および運搬機構

キーワード:磐梯火山、猫魔火山、岩屑なだれ
岩屑なだれとは,火山体が崩壊することによって生成された土砂が高速度で長距離を水に不飽和な状態で移動する現象である.火山体の崩壊とそれに伴う岩屑なだれの発生履歴を明らかにすることは,山体の形成史や山麓の長期的な地形発達を議論するうえで,あるいは防災対策上も,重要な課題である.本研究では,福島県中央部,東西に連なる磐梯火山と猫魔火山の山麓を対象に,地形判読,地質調査を行い各岩屑なだれ堆積物の分布を明らかにした.岩屑なだれ堆積物に含まれる溶岩片の岩石学的特徴を決定し,Kimura et al.(2002)と山元(2011)で報告された火山体構成岩石の化学組成と比較することで給源推定を行った.さらに,南麓に分布する岩屑なだれ堆積物の内,地形や地質が連続的に観察される翁島岩屑なだれ堆積物と古観音岩屑なだれ堆積物に関して,地形の特徴と地質記載から運搬機構を議論する.
北麓には雄子沢岩屑なだれ堆積物と呼ばれる岩屑なだれ堆積物が2層分布する.流下年代はそれぞれ,0.7~0.5 Ma(三村,2002),0.11~0.089 Ma(小荒井ほか,1994)と報告される.本研究ではこれらの層準を下位から,雄子沢岩屑なだれ堆積物-1,雄子沢岩屑なだれ堆積物-2と呼称する.
雄子沢岩屑なだれ堆積物-1から採取した溶岩片の化学組成は,SiO2 vs. K2O図上でいずれも低カリウム系列にプロットされた.この特徴は,猫魔火山古期火山体を構成する岩石と一致し,本堆積物の給源が猫魔火山古期火山体であることを示す.
雄子沢岩屑なだれ堆積物-2から採取した溶岩片の化学組成は,猫魔火山新期火山体と磐梯火山古期火山体と一致する.どちらかの火山体(あるいは両火山体の境界部)が給源であると考えられるが詳細は不明である.
南麓に分布する岩屑なだれ堆積物は下位から順に,翁島岩屑なだれ堆積物(流下年代:46 ka;山元・阪口,2023),磐根岩屑なだれ堆積物,古観音岩屑なだれ堆積物(流下年代:18~17 ka;山元・阪口,2023)でありいずれも磐梯火山が給源であるとされる(千葉・木村,2001).
古観音岩屑なだれ堆積物から採取した溶岩片の化学組成は,磐梯火山を構成する岩石ではなく,猫魔火山新期火山体を構成する岩石の化学組成と一致し,本堆積物の給源が猫魔火山新期火山体であることを示唆する.
翁島岩屑なだれ堆積物の体積は4 km3強と推測される(山元・須藤,1996),磐根岩屑なだれ堆積物の給源は大磐梯山であり,大磐梯山に刻まれる日蔭沢と涸沢が馬蹄形カルデラの側崖と考えられている(小荒井ほか,1995;千葉・木村,2001).磐根岩屑なだれの給源崩壊地形の面積は1888年の山体崩壊地形の面積のおよそ0.5倍,比高はおよそ0.9倍であり,体積はおよそ0.5倍と概算され,磐根岩屑なだれ堆積物の体積はおよそ0.1 km3と推定された.古観音岩屑なだれ堆積物の体積は,平均層厚5 mに分布面積5.3 km2をかけると0.03 km3程度となる.
翁島岩屑なだれと古観音岩屑なだれは規模が異なるが,H/Lは同様の値を示し,近い流動性をもっていたと考えられる.ただし,両岩屑なだれの堆積物は異なる地形と地質の特徴をもち,それぞれが異なる機構によって流動したことが示唆される.
翁島岩屑なだれ堆積物は,堆積域全体に流れ山が認められ,堆積物中には普遍的に岩塊相が認められる.堆積物全体の内,岩塊相が占める割合は堆積域の中心部(給源からの距離およそ8.5 km)付近で露頭面のおよそ9割,堆積域の縁辺部(給源からの距離およそ9.3 km)付近で露頭面のおよそ2割である.
古観音岩屑なだれ堆積物は,堆積域に明瞭な流れ山が認められない.堆積物が観察される多くの地点で岩塊相が認められず,塊状無淘汰な層相を示す.岩塊相が認められる地点では,流れ山は認められないものの,局所的に層厚が大きくなっており,谷埋め状に堆積したと考えられる.
北麓には雄子沢岩屑なだれ堆積物と呼ばれる岩屑なだれ堆積物が2層分布する.流下年代はそれぞれ,0.7~0.5 Ma(三村,2002),0.11~0.089 Ma(小荒井ほか,1994)と報告される.本研究ではこれらの層準を下位から,雄子沢岩屑なだれ堆積物-1,雄子沢岩屑なだれ堆積物-2と呼称する.
雄子沢岩屑なだれ堆積物-1から採取した溶岩片の化学組成は,SiO2 vs. K2O図上でいずれも低カリウム系列にプロットされた.この特徴は,猫魔火山古期火山体を構成する岩石と一致し,本堆積物の給源が猫魔火山古期火山体であることを示す.
雄子沢岩屑なだれ堆積物-2から採取した溶岩片の化学組成は,猫魔火山新期火山体と磐梯火山古期火山体と一致する.どちらかの火山体(あるいは両火山体の境界部)が給源であると考えられるが詳細は不明である.
南麓に分布する岩屑なだれ堆積物は下位から順に,翁島岩屑なだれ堆積物(流下年代:46 ka;山元・阪口,2023),磐根岩屑なだれ堆積物,古観音岩屑なだれ堆積物(流下年代:18~17 ka;山元・阪口,2023)でありいずれも磐梯火山が給源であるとされる(千葉・木村,2001).
古観音岩屑なだれ堆積物から採取した溶岩片の化学組成は,磐梯火山を構成する岩石ではなく,猫魔火山新期火山体を構成する岩石の化学組成と一致し,本堆積物の給源が猫魔火山新期火山体であることを示唆する.
翁島岩屑なだれ堆積物の体積は4 km3強と推測される(山元・須藤,1996),磐根岩屑なだれ堆積物の給源は大磐梯山であり,大磐梯山に刻まれる日蔭沢と涸沢が馬蹄形カルデラの側崖と考えられている(小荒井ほか,1995;千葉・木村,2001).磐根岩屑なだれの給源崩壊地形の面積は1888年の山体崩壊地形の面積のおよそ0.5倍,比高はおよそ0.9倍であり,体積はおよそ0.5倍と概算され,磐根岩屑なだれ堆積物の体積はおよそ0.1 km3と推定された.古観音岩屑なだれ堆積物の体積は,平均層厚5 mに分布面積5.3 km2をかけると0.03 km3程度となる.
翁島岩屑なだれと古観音岩屑なだれは規模が異なるが,H/Lは同様の値を示し,近い流動性をもっていたと考えられる.ただし,両岩屑なだれの堆積物は異なる地形と地質の特徴をもち,それぞれが異なる機構によって流動したことが示唆される.
翁島岩屑なだれ堆積物は,堆積域全体に流れ山が認められ,堆積物中には普遍的に岩塊相が認められる.堆積物全体の内,岩塊相が占める割合は堆積域の中心部(給源からの距離およそ8.5 km)付近で露頭面のおよそ9割,堆積域の縁辺部(給源からの距離およそ9.3 km)付近で露頭面のおよそ2割である.
古観音岩屑なだれ堆積物は,堆積域に明瞭な流れ山が認められない.堆積物が観察される多くの地点で岩塊相が認められず,塊状無淘汰な層相を示す.岩塊相が認められる地点では,流れ山は認められないものの,局所的に層厚が大きくなっており,谷埋め状に堆積したと考えられる.