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[SVC34-P09] 霧島御池テフラの噴出年代と南九州における編年学的意義
キーワード:霧島火山、御池、14C年代測定、テフロクロノロジー
火山噴出物の中でも降下テフラは短時間に広域に飛散・堆積するため,その地域の地史を編む上でこれらを研究することは極めて重要である.これは火山活動の長期的な活動を評価・把握することに貢献するとともに,古環境や考古学的な編年においても大きな役割を果たす.しかし,それらの効果を十分に発揮するためには,個々のテフラの岩相を詳しく記載して,噴火年代を推定する上でより適切な試料を分析することで層位関係や年代学的位置づけを正確に決定することが求められる.
御池テフラは,霧島火山の南東部に位置する直径約1 kmのマールを給源とする霧島火山最大級のプリニー式噴火による産物である.本テフラについては,直下土壌や直上土壌,泥炭層から14C年代が測定されており,4.6 cal ka BPに噴出したとされている.一方,御池テフラ内部から産出する炭化物の年代はこれまで報告がない.古土壌は生物攪乱などにより閉鎖系になりにくいため,たとえテフラ直下の土壌試料でも,得られた14C年代が必ずしも実際の噴火の年代を反映していない可能性がある.そこで,今回筆者らは,御池テフラ内部から炭化物を見出したのでその14C年代を測定した.本炭化物が採取された露頭は,御池火口縁の南約0.8 kmに位置し,高温酸化を示す赤色軽石や高発泡軽石などが多数観察された.また,本炭化物はテフラが定置した後の地層の攪乱による有機物の混入が考えにくい層準から産出した.これらの特徴から,本炭化物は高温下でこのテフラが堆積したことで炭化したものと考えられる.測定の結果,この炭化物から4078±28 BPの年代値を得ることができた.この年代値は,過去に報告された御池テフラ上下の古土壌の年代値と整合的であり,御池テフラの噴出年代はやはり4.6 cal ka BPが妥当であると考えられる.
本研究で得られた年代は、南九州のテフラ編年に役立つものと期待される一方,年代が近く岩相も酷似するテフラでは,それらを区別できない場合がある.例えば,御池テフラの分布は霧島市福山町付近で,桜島火山起源のP5テフラと重なっている.この地域では縄文時代の遺跡が複数発見されており,テフラを識別することは遺跡の年代決定においても重要である.予察的な分析結果として,これらは含まれる斑晶鉱物である直方輝石の組成の大半が,P5テフラでMg#63-66程度,御池テフラでMg#45-55程度と明瞭な差が見られたため,これがテフラ判別の指標として使用できる可能性がある.したがって,今後確度の高いテフラ編年を行うためには,岩相記載および年代測定値とともに化学組成や屈折率といった物質科学的特徴のデータセットも充実させていく必要がある.
御池テフラは,霧島火山の南東部に位置する直径約1 kmのマールを給源とする霧島火山最大級のプリニー式噴火による産物である.本テフラについては,直下土壌や直上土壌,泥炭層から14C年代が測定されており,4.6 cal ka BPに噴出したとされている.一方,御池テフラ内部から産出する炭化物の年代はこれまで報告がない.古土壌は生物攪乱などにより閉鎖系になりにくいため,たとえテフラ直下の土壌試料でも,得られた14C年代が必ずしも実際の噴火の年代を反映していない可能性がある.そこで,今回筆者らは,御池テフラ内部から炭化物を見出したのでその14C年代を測定した.本炭化物が採取された露頭は,御池火口縁の南約0.8 kmに位置し,高温酸化を示す赤色軽石や高発泡軽石などが多数観察された.また,本炭化物はテフラが定置した後の地層の攪乱による有機物の混入が考えにくい層準から産出した.これらの特徴から,本炭化物は高温下でこのテフラが堆積したことで炭化したものと考えられる.測定の結果,この炭化物から4078±28 BPの年代値を得ることができた.この年代値は,過去に報告された御池テフラ上下の古土壌の年代値と整合的であり,御池テフラの噴出年代はやはり4.6 cal ka BPが妥当であると考えられる.
本研究で得られた年代は、南九州のテフラ編年に役立つものと期待される一方,年代が近く岩相も酷似するテフラでは,それらを区別できない場合がある.例えば,御池テフラの分布は霧島市福山町付近で,桜島火山起源のP5テフラと重なっている.この地域では縄文時代の遺跡が複数発見されており,テフラを識別することは遺跡の年代決定においても重要である.予察的な分析結果として,これらは含まれる斑晶鉱物である直方輝石の組成の大半が,P5テフラでMg#63-66程度,御池テフラでMg#45-55程度と明瞭な差が見られたため,これがテフラ判別の指標として使用できる可能性がある.したがって,今後確度の高いテフラ編年を行うためには,岩相記載および年代測定値とともに化学組成や屈折率といった物質科学的特徴のデータセットも充実させていく必要がある.