17:15 〜 19:15
[SVC34-P10] 露頭スケールのコーンシートをともなう鮮新世櫃崎火道(長崎県松浦市)のマグマプロセス
キーワード:火道、貫入、ストーピング、マグマ流、柱状節理
長崎県松浦市櫃崎の漸新世の砂岩からなる海食台には,露頭規模の環状構造が露出する.このポスターではその写真を多用して,露頭観察から推定されたマグマプロセスを論ずる.(天然記念物なので主として露頭観察.)カンラン岩やハンレイ岩のゼノリスの多いカンラン石玄武岩という岩相から,それは周囲の標高140mの丘陵を被覆する鮮新世の東松浦玄武岩に対比され,また,後述の理由でその火道の一つだったと考えられる.
【コーンシート】コーンシートは長径16.0 m,短径10.6 m,厚さ約1 mで,舌状形態の貫入体の集合と貫入角礫をとりまいている.母岩との境界の一部には急冷縁がのこっているので,母岩とは断層関係ではなく貫入関係であって,また周囲に円弧状断層をともなわないことからも,環状構造とはいえ陥没構造ではない.ここでは上に開いた錐形という単なる形状で,コーンシートという語を用いる.
コーンシートには流理が発達する.流理はコーンシートの走向とほぼ平行だが,一部で流理間の「不整合」関係関係がみられ,また,コーンシート外縁の貫入角礫に切られている.したがって,このコーンシートは火道プラグと母岩とのあいだに貫入・破壊が繰り返されてできたと考えられる.また,コーンシートの内面および「不整合」面は平滑なので,火砕物の粉体流によって弧状の厚さ数十cmの空隙の壁が平滑化されたらしい.次の段階でこの空隙にマグマが貫入して,コーンシートの一部を形成したわけである.(ここまではJpGU2024で報告.)
【内部】コーンシートにとりまかれて,舌状形態の貫入岩体と貫入角礫が,水平には約6 m,高さ約2 mの規模で残存する.角礫はその基部を占める.舌状のものは幅数十cm~2 mで多くは高角で環状構造の中央に向かって傾斜する.一部の舌状岩体はその末端が破砕して角礫に漸移する.
残存物の最上部には,流理と柱状節理をもつシート状貫入岩体が横たわっている.流離と節理の様子は,この岩体の上部が侵食で失われていることを示す.この岩体は,環状構造中央付近で厚さ1 m弱が残っていて,そこでは水平に近い流理とほぼ直立した柱状節理を持つ.この岩体はコーンシートに近づくと低角に横たわる厚さ数十cmの舌状ローブに分岐して,総厚約2 mになる.最下部のローブはコーンシート近傍で複数のfingerに分岐したうえその先が破砕して角礫に漸移する.このfinger表面にはパン皮状急冷縁がある.最上部のローブが最も厚く,コーンシート内壁から2~3の流理はほぼ直立している.また,流理を切る柱状節理は内壁にほぼ直交する.
したがって,この貫入体をつくったマグマは,環状岩体の中心付近から外縁にむかって流れ,複数のローブに分かれつつローブ同士が乗り上げ,最上部のものはコーンシートで冷やされつつコーンシートに沿って上昇したらしい.こうしたマグマ貫入は,その時それより上にあった火道プラグを傾動させ,また,持ち上げ,さらにまた上にあった火口底を隆起させたのだろう.
コーンシート近くで,この最上部のローブ中の柱状節理の並びは明瞭なクラックに沿って乱れているが,流理はこの乱れには参加していない.したがって,マグマの完全な結晶化後,このクラックに冷たい流体が侵入して温度勾配が乱れ,その勾配方向に柱状節理が発達したのだろう.
【コーンシート】コーンシートは長径16.0 m,短径10.6 m,厚さ約1 mで,舌状形態の貫入体の集合と貫入角礫をとりまいている.母岩との境界の一部には急冷縁がのこっているので,母岩とは断層関係ではなく貫入関係であって,また周囲に円弧状断層をともなわないことからも,環状構造とはいえ陥没構造ではない.ここでは上に開いた錐形という単なる形状で,コーンシートという語を用いる.
コーンシートには流理が発達する.流理はコーンシートの走向とほぼ平行だが,一部で流理間の「不整合」関係関係がみられ,また,コーンシート外縁の貫入角礫に切られている.したがって,このコーンシートは火道プラグと母岩とのあいだに貫入・破壊が繰り返されてできたと考えられる.また,コーンシートの内面および「不整合」面は平滑なので,火砕物の粉体流によって弧状の厚さ数十cmの空隙の壁が平滑化されたらしい.次の段階でこの空隙にマグマが貫入して,コーンシートの一部を形成したわけである.(ここまではJpGU2024で報告.)
【内部】コーンシートにとりまかれて,舌状形態の貫入岩体と貫入角礫が,水平には約6 m,高さ約2 mの規模で残存する.角礫はその基部を占める.舌状のものは幅数十cm~2 mで多くは高角で環状構造の中央に向かって傾斜する.一部の舌状岩体はその末端が破砕して角礫に漸移する.
残存物の最上部には,流理と柱状節理をもつシート状貫入岩体が横たわっている.流離と節理の様子は,この岩体の上部が侵食で失われていることを示す.この岩体は,環状構造中央付近で厚さ1 m弱が残っていて,そこでは水平に近い流理とほぼ直立した柱状節理を持つ.この岩体はコーンシートに近づくと低角に横たわる厚さ数十cmの舌状ローブに分岐して,総厚約2 mになる.最下部のローブはコーンシート近傍で複数のfingerに分岐したうえその先が破砕して角礫に漸移する.このfinger表面にはパン皮状急冷縁がある.最上部のローブが最も厚く,コーンシート内壁から2~3の流理はほぼ直立している.また,流理を切る柱状節理は内壁にほぼ直交する.
したがって,この貫入体をつくったマグマは,環状岩体の中心付近から外縁にむかって流れ,複数のローブに分かれつつローブ同士が乗り上げ,最上部のものはコーンシートで冷やされつつコーンシートに沿って上昇したらしい.こうしたマグマ貫入は,その時それより上にあった火道プラグを傾動させ,また,持ち上げ,さらにまた上にあった火口底を隆起させたのだろう.
コーンシート近くで,この最上部のローブ中の柱状節理の並びは明瞭なクラックに沿って乱れているが,流理はこの乱れには参加していない.したがって,マグマの完全な結晶化後,このクラックに冷たい流体が侵入して温度勾配が乱れ,その勾配方向に柱状節理が発達したのだろう.