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[SVC34-P11] 蔵王火山の17世紀噴火の火山灰を用いた噴火推移の推定
キーワード:蔵王火山、噴火推移、火山灰層、スコリア、発泡ガラス
1. はじめに
蔵王火山は東北日本弧火山フロントの中央部に位置する活火山である。山頂の御釜火口は西暦1200年頃から活動を続けており、この活動で蔵王-遠刈田テフラ層 (Za-To) のうち11~16が形成されている。本研究ではその中のZa-To15の火山灰層を対象に、噴火推移の推定を行った。Za-To15は17世紀の噴火によって形成されたと推定されている。
2. 調査結果
Za-To15の火山灰層は主に白色、灰色、黒色の部分が認められる。ここでは各々白色、灰色、黒色層と呼称する。このうちの灰色、黒色層には多数のラミナが見られる。最も状態の良い御釜火口の東方の露頭において下位から⽩⾊層、灰⾊層、黒色層の順に累重しており、やや明瞭なラミナが灰色層中に4つ、黒色層中に2つ認められた。東方、北方、南方の条件の良い露頭においてラミナはやや明瞭ではなかったが、⽩⾊層、灰⾊層、黒色層の累重は同様に認められた。粒度分析結果によれば、卓越粒度は⽩⾊層、灰⾊層、黒色層の順に大きく、またこの順に淘汰が良くなる。なお、白色層には細粒成分が多く含まれており、灰色層も白色層に次いで細粒成分が多く含まれている。構成物は、⽩⾊層は変質岩⽚と発泡ガラス、灰⾊層はスコリア、発泡ガラス、⽯質岩⽚、黒色層はスコリアと⽯質岩⽚の割合が高い。ここで、気泡が多数認められる構成物のうち、黒色で例外を除き石基結晶度が高いものをスコリアとし、ベージュ色で半透明のものを発泡ガラスとした。本質物質と見られるスコリアと発泡ガラスについては、どの層においても概ね前者の方が後者よりも結晶度が高い。なお、白色層にのみ、例外的に結晶度が極端に低いスコリアが少量認められた。
3. 考察
白色層はスコリアや発泡ガラスも含んでいるが、地下の熱水系によって変質した白色の変質岩片を多く含んでおり、また淘汰が比較的悪いという特徴から、熱水系が関与したマグマ水蒸気噴火によって形成されたと判断される。一方で、黒色層は変質岩片をほとんど含まず、本質物質であるスコリアや発泡ガラスの割合が高いことからマグマ噴火によって形成されたと考えられる。灰色層は粒度と構成物共に黒色層に違いが白色層の特徴である細粒成分や白色変質岩片が黒色相よりもやや多く含まれる。このため灰色層はマグマ水蒸気噴火からマグマ噴火への移行期の噴火により形成されたものと思われる。すなわち、噴火推移としては、マグマ水蒸気噴火に始まり、過渡期を経て、マグマ噴火に至り、終息へ向かったと推定される。なお、灰色、黒色層にはラミナが発達しており、複数回の噴火によって形成されたものである。規模を基にすると灰色層、黒色層共に小規模噴火によるものと思われるが、石質岩片よりもスコリアの割合が高いことから、その噴火は典型的なブルカノ式噴火よりもマグマの発泡度が高いものであったと推定される。本質物質であるスコリアと発泡ガラスでは、例外を除いて前者の方が高結晶度である。これは前者の冷却速度が後者よりも遅かったことに起因すると思われ、火道内で先行して上昇、徐冷されて形成されたものが前者であり、後者は噴火直前に上昇したマグマが急冷固結して形成されたと考えられる。また、白色層中の結晶度の低いスコリアについては、おそらく熱水系が関与した特殊な形成過程で形成されたと思われる。
蔵王火山は東北日本弧火山フロントの中央部に位置する活火山である。山頂の御釜火口は西暦1200年頃から活動を続けており、この活動で蔵王-遠刈田テフラ層 (Za-To) のうち11~16が形成されている。本研究ではその中のZa-To15の火山灰層を対象に、噴火推移の推定を行った。Za-To15は17世紀の噴火によって形成されたと推定されている。
2. 調査結果
Za-To15の火山灰層は主に白色、灰色、黒色の部分が認められる。ここでは各々白色、灰色、黒色層と呼称する。このうちの灰色、黒色層には多数のラミナが見られる。最も状態の良い御釜火口の東方の露頭において下位から⽩⾊層、灰⾊層、黒色層の順に累重しており、やや明瞭なラミナが灰色層中に4つ、黒色層中に2つ認められた。東方、北方、南方の条件の良い露頭においてラミナはやや明瞭ではなかったが、⽩⾊層、灰⾊層、黒色層の累重は同様に認められた。粒度分析結果によれば、卓越粒度は⽩⾊層、灰⾊層、黒色層の順に大きく、またこの順に淘汰が良くなる。なお、白色層には細粒成分が多く含まれており、灰色層も白色層に次いで細粒成分が多く含まれている。構成物は、⽩⾊層は変質岩⽚と発泡ガラス、灰⾊層はスコリア、発泡ガラス、⽯質岩⽚、黒色層はスコリアと⽯質岩⽚の割合が高い。ここで、気泡が多数認められる構成物のうち、黒色で例外を除き石基結晶度が高いものをスコリアとし、ベージュ色で半透明のものを発泡ガラスとした。本質物質と見られるスコリアと発泡ガラスについては、どの層においても概ね前者の方が後者よりも結晶度が高い。なお、白色層にのみ、例外的に結晶度が極端に低いスコリアが少量認められた。
3. 考察
白色層はスコリアや発泡ガラスも含んでいるが、地下の熱水系によって変質した白色の変質岩片を多く含んでおり、また淘汰が比較的悪いという特徴から、熱水系が関与したマグマ水蒸気噴火によって形成されたと判断される。一方で、黒色層は変質岩片をほとんど含まず、本質物質であるスコリアや発泡ガラスの割合が高いことからマグマ噴火によって形成されたと考えられる。灰色層は粒度と構成物共に黒色層に違いが白色層の特徴である細粒成分や白色変質岩片が黒色相よりもやや多く含まれる。このため灰色層はマグマ水蒸気噴火からマグマ噴火への移行期の噴火により形成されたものと思われる。すなわち、噴火推移としては、マグマ水蒸気噴火に始まり、過渡期を経て、マグマ噴火に至り、終息へ向かったと推定される。なお、灰色、黒色層にはラミナが発達しており、複数回の噴火によって形成されたものである。規模を基にすると灰色層、黒色層共に小規模噴火によるものと思われるが、石質岩片よりもスコリアの割合が高いことから、その噴火は典型的なブルカノ式噴火よりもマグマの発泡度が高いものであったと推定される。本質物質であるスコリアと発泡ガラスでは、例外を除いて前者の方が高結晶度である。これは前者の冷却速度が後者よりも遅かったことに起因すると思われ、火道内で先行して上昇、徐冷されて形成されたものが前者であり、後者は噴火直前に上昇したマグマが急冷固結して形成されたと考えられる。また、白色層中の結晶度の低いスコリアについては、おそらく熱水系が関与した特殊な形成過程で形成されたと思われる。