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[SVC34-P14] 北八ヶ岳,横岳火山Yt-Pm4の噴火推移の検討
キーワード:北八ヶ岳横岳、軽石、Yt-Pm4、噴火推移
長野県中部の八ヶ岳火山群の北端に位置する横岳は,八ヶ岳火山群で唯一の活火山である.山体は9枚の安山岩質溶岩流(Y1–Y9)で構成されるが,大規模な軽石噴火(Yt-Pm4)も起こしている(河内,1974).Yt-Pm4は地形観察などからY2溶岩以降,Y3- Y6溶岩のいずれかの噴火前に噴出したとされ(Kawachi et al., 1978),直下から約34-35cal kyBPの14C年代測定値が得られている(下岡ほか,2023).噴出量は2.0×10-1 km3DREと推定され(大石・鈴木,2004),Y3以降の溶岩流の平均噴出量の約1.8×10-2 km3 (Kawachi et al., 1978)と比べて一桁大きい.Yt-Pm4は溶岩流噴火を繰り返してきた横岳にとって特異な噴火と言えるが,なぜこのイベントのみ軽石噴火へと至ったのか,その詳細な噴火プロセスや,供給されたマグマの特徴については未解明である.本研究ではYt-Pm4の地質学的調査を行い,軽石の粒径,発泡度,構成物質量割合,帯磁率等に着目して堆積物の特徴を探ることでYt-Pm4の噴火過程を検討した.
横岳の東麓を中心に10箇所以上の露頭でYt-Pm4を確認した.堆積物はよく発泡した黄褐色の角礫状の軽石からなり,それ以外に安山岩片と黒曜石を含む.後述する火口近傍の一露頭以外では,露頭上部ほど軽石の平均密度や帯磁率が短調に増加し,間に細粒火山灰層の堆積などが認められないことなどから,一連の噴火イベントで堆積したと考えられる.山頂の東約1.5 kmの地点では約3 mと最大の厚さを有すYt-Pm4が確認できた.この露頭では,細粒の基質に乏しく黄褐色の軽石を主とする層(以下g層とする)と,それより基質に富み表面が黒褐色の軽石を主とする層(以下e層とする)が互層している.e層の軽石は表面が黒褐色を呈するが,内部はg層と同様の黄褐色を示す.g層の軽石は平均最大粒径が約4.3 cmとe層(約3.6 cm)より大きく,発泡度が若干高い傾向を示した.帯磁率は,g層の軽石が約4.0-5.0×10-6 m3/kgに集中した値を示したのに対し,e層の軽石は1.0×10-5 m3/kgまでの広い値を示した.岩片と黒曜石の含有割合は対称的に変動しており,岩片の含有割合が高い層では黒曜石の含有割合が低く,堆積物の大部分でe層はg層と比較して約13%高い岩片の含有割合を示した.以上より,g層は発泡が良く平均最大粒径の大きい軽石に富み,噴火のピークに噴出したと考えられるのに対し,e層は発泡が悪く,帯磁率が高い軽石を含むことから,磁性鉱物が結晶化できる程度に冷却率が低下していたと考えられ,これは噴火の際の噴煙柱の盛衰を反映している可能性がある.ただし,横岳から約5 km以上離れたその他の露頭では同様な鉛直方向の堆積物の変化は確認できなかった.火口近傍でのみ観察される程度の変化であったと考える.
横岳の東麓を中心に10箇所以上の露頭でYt-Pm4を確認した.堆積物はよく発泡した黄褐色の角礫状の軽石からなり,それ以外に安山岩片と黒曜石を含む.後述する火口近傍の一露頭以外では,露頭上部ほど軽石の平均密度や帯磁率が短調に増加し,間に細粒火山灰層の堆積などが認められないことなどから,一連の噴火イベントで堆積したと考えられる.山頂の東約1.5 kmの地点では約3 mと最大の厚さを有すYt-Pm4が確認できた.この露頭では,細粒の基質に乏しく黄褐色の軽石を主とする層(以下g層とする)と,それより基質に富み表面が黒褐色の軽石を主とする層(以下e層とする)が互層している.e層の軽石は表面が黒褐色を呈するが,内部はg層と同様の黄褐色を示す.g層の軽石は平均最大粒径が約4.3 cmとe層(約3.6 cm)より大きく,発泡度が若干高い傾向を示した.帯磁率は,g層の軽石が約4.0-5.0×10-6 m3/kgに集中した値を示したのに対し,e層の軽石は1.0×10-5 m3/kgまでの広い値を示した.岩片と黒曜石の含有割合は対称的に変動しており,岩片の含有割合が高い層では黒曜石の含有割合が低く,堆積物の大部分でe層はg層と比較して約13%高い岩片の含有割合を示した.以上より,g層は発泡が良く平均最大粒径の大きい軽石に富み,噴火のピークに噴出したと考えられるのに対し,e層は発泡が悪く,帯磁率が高い軽石を含むことから,磁性鉱物が結晶化できる程度に冷却率が低下していたと考えられ,これは噴火の際の噴煙柱の盛衰を反映している可能性がある.ただし,横岳から約5 km以上離れたその他の露頭では同様な鉛直方向の堆積物の変化は確認できなかった.火口近傍でのみ観察される程度の変化であったと考える.