17:15 〜 19:15
[SVC34-P15] 九重火山,宮処野スコリア層の噴火推移の再検討

キーワード:九重火山、宮処野スコリア、アイソパックマップ
はじめに
九州中部の九重火山は約20万年の噴火史を有する活火山である(川辺ほか, 2015).本火山の活動地域は西部 (約200~54 ka),中部 (約160~0 ka)および東部(約54~1.4 ka)に区分される(川辺ほか, 2015).そのうち,東部では約15 ka以降に苦鉄質マグマの活動が多く認められる(川辺ほか, 2015).
一方で,約5万年前より古い噴出物において宮処野スコリア層(太田, 1991)が確認されている(Kj-MS;太田, 1991). Kj-MSは下位からスコリア層,火山灰層および軽石層に細分され,スコリアはOl,CpxおよびHblを含み,軽石はCpx,OpxとHblを含む(長岡・奥野, 2014).このことから,下部スコリア層は苦鉄質マグマの活動に関連することが示唆される.Kj-MSの噴火推移,規模,噴出源および岩石学的特徴を明らかにすることは,九重火山の発達史の解明の上で重要である.しかし,Kj-MSについてはまだ解明されていない点が多い.
本研究は,Kj-MSの噴火推移,噴出源,噴出量およびマグマの特徴を解明することを目的とする.今回は,地表踏査および肉眼・鏡下観察結果を報告する.
地表踏査
長岡・奥野(2014)は,54 kaの九重D火山灰層(D; 小野, 1963)の下位の土壌にKj-MSが挟まると記載した.今回はD層との層序関係を参考に調査を行い,5地点でKj-MSを確認した.
Kj-MSは下位から灰白色火山灰層(MS1),暗灰色火山灰層(MS2)および橙褐色スコリア層(MS3)からなる.これらの層間に土壌層は挟在しない.
MS1は山体近傍のLoc. 1, 2にのみ分布する.その層厚は2~3cmと薄層であるが,露頭内において連続性がよい.MS2はLoc. 1にのみ認められ,その層厚は約1cmである.
MS3は本層の大部分をなす.Loc. 1において,本層は岩片の含有率とスコリアの最大粒径から下部と上部に区別される.下部は上部に比べて岩片の含有率が高く,最大粒径は小さい. Loc. 2において,MS3は上方粗粒化を示し,下部は上部に比べて岩片の含有率が高い.一方で,九重火山から遠方のLoc. 3~5では,1枚のスコリア層として認められる.
Kj-MSの層厚分布から,MS3はLoc. 2で最大106cmの層厚が認められた.
肉眼・鏡下観察
MS1
Loc. 2において,MS1は火山ガラスが含まれる.有色鉱物は主にCpx,OpxおよびAmpを含み,少量のBtを含む.また,無色鉱物として特徴的にQzが含まれる.
MS 3
Loc. 1において,MS3の下部スコリアは褐色~赤褐色を示し,発泡度は低い.一方で,上部スコリアは褐色を示し,発泡度は比較的高い.スコリアに含まれる有色鉱物として,下部は多いものからCpx,OlおよびOpx(少量)を含み,上部はCpx,AmpとOpx(少量)を含む.
Loc. 2の下部,上部スコリアはともに発泡度の高い褐色~淡褐色のスコリアと低発泡の灰色スコリアからなる.両者は縞状構造を呈するか,あるいは不規則に入り混じる組織を有する.いずれのスコリアも,有色鉱物は多いものからCpx,Opxであり,Loc. 1の下部,上部スコリアとは異なる特徴を示す.
九重火山から遠方のLoc. 3~5では,主に橙~赤褐色の低発泡のスコリアが認められる.Loc. 4,5においてスコリア中の有色鉱物は多いものから,Cpx,Olを含むものと(Loc. 4),Ol,Cpx,Opxを含むもの(Loc. 5)が認められた.
考察
1.Kj-MSの噴火推移
Kj-MSは下位から灰白色火山灰層(MS1).暗灰色火山灰層(MS2)および橙褐色スコリア層(MS3)からなり,これらは一連の噴出物と考えられる.MS1は山体近傍で層厚2~3cmであるが,火山ガラスを含むことから,マグマ水蒸気噴火であったと推察される.したがって,Kj-MSはマグマ水蒸気噴火から始まり,その後大規模な噴火へと推移した可能性がある.
2.MS 3の最大層厚
MS 3の最大層厚は106cmであり,長岡・奥野(2014)の報告より大幅に更新された.このことから,本層の噴出量の再評価が必要と考えられる.
3.MS1, MS 3の本質物質
Loc. 1の岩石記載から,MS1,MS 3の下部および上部のスコリアは鉱物組み合わせが異なるため,マグマの組成が変化した可能性がある.
一方で,Loc. 1とLoc. 2のスコリアは含まれる有色鉱物が異なる.しかし,層序学的に両スコリア層はD層の下位に分布するため,今回はKj-MSと判断する.鉱物組み合わせが異なる理由として,Loc. 1と2では鏡下観察を行ったユニットが異なる可能性が考えられる.
九州中部の九重火山は約20万年の噴火史を有する活火山である(川辺ほか, 2015).本火山の活動地域は西部 (約200~54 ka),中部 (約160~0 ka)および東部(約54~1.4 ka)に区分される(川辺ほか, 2015).そのうち,東部では約15 ka以降に苦鉄質マグマの活動が多く認められる(川辺ほか, 2015).
一方で,約5万年前より古い噴出物において宮処野スコリア層(太田, 1991)が確認されている(Kj-MS;太田, 1991). Kj-MSは下位からスコリア層,火山灰層および軽石層に細分され,スコリアはOl,CpxおよびHblを含み,軽石はCpx,OpxとHblを含む(長岡・奥野, 2014).このことから,下部スコリア層は苦鉄質マグマの活動に関連することが示唆される.Kj-MSの噴火推移,規模,噴出源および岩石学的特徴を明らかにすることは,九重火山の発達史の解明の上で重要である.しかし,Kj-MSについてはまだ解明されていない点が多い.
本研究は,Kj-MSの噴火推移,噴出源,噴出量およびマグマの特徴を解明することを目的とする.今回は,地表踏査および肉眼・鏡下観察結果を報告する.
地表踏査
長岡・奥野(2014)は,54 kaの九重D火山灰層(D; 小野, 1963)の下位の土壌にKj-MSが挟まると記載した.今回はD層との層序関係を参考に調査を行い,5地点でKj-MSを確認した.
Kj-MSは下位から灰白色火山灰層(MS1),暗灰色火山灰層(MS2)および橙褐色スコリア層(MS3)からなる.これらの層間に土壌層は挟在しない.
MS1は山体近傍のLoc. 1, 2にのみ分布する.その層厚は2~3cmと薄層であるが,露頭内において連続性がよい.MS2はLoc. 1にのみ認められ,その層厚は約1cmである.
MS3は本層の大部分をなす.Loc. 1において,本層は岩片の含有率とスコリアの最大粒径から下部と上部に区別される.下部は上部に比べて岩片の含有率が高く,最大粒径は小さい. Loc. 2において,MS3は上方粗粒化を示し,下部は上部に比べて岩片の含有率が高い.一方で,九重火山から遠方のLoc. 3~5では,1枚のスコリア層として認められる.
Kj-MSの層厚分布から,MS3はLoc. 2で最大106cmの層厚が認められた.
肉眼・鏡下観察
MS1
Loc. 2において,MS1は火山ガラスが含まれる.有色鉱物は主にCpx,OpxおよびAmpを含み,少量のBtを含む.また,無色鉱物として特徴的にQzが含まれる.
MS 3
Loc. 1において,MS3の下部スコリアは褐色~赤褐色を示し,発泡度は低い.一方で,上部スコリアは褐色を示し,発泡度は比較的高い.スコリアに含まれる有色鉱物として,下部は多いものからCpx,OlおよびOpx(少量)を含み,上部はCpx,AmpとOpx(少量)を含む.
Loc. 2の下部,上部スコリアはともに発泡度の高い褐色~淡褐色のスコリアと低発泡の灰色スコリアからなる.両者は縞状構造を呈するか,あるいは不規則に入り混じる組織を有する.いずれのスコリアも,有色鉱物は多いものからCpx,Opxであり,Loc. 1の下部,上部スコリアとは異なる特徴を示す.
九重火山から遠方のLoc. 3~5では,主に橙~赤褐色の低発泡のスコリアが認められる.Loc. 4,5においてスコリア中の有色鉱物は多いものから,Cpx,Olを含むものと(Loc. 4),Ol,Cpx,Opxを含むもの(Loc. 5)が認められた.
考察
1.Kj-MSの噴火推移
Kj-MSは下位から灰白色火山灰層(MS1).暗灰色火山灰層(MS2)および橙褐色スコリア層(MS3)からなり,これらは一連の噴出物と考えられる.MS1は山体近傍で層厚2~3cmであるが,火山ガラスを含むことから,マグマ水蒸気噴火であったと推察される.したがって,Kj-MSはマグマ水蒸気噴火から始まり,その後大規模な噴火へと推移した可能性がある.
2.MS 3の最大層厚
MS 3の最大層厚は106cmであり,長岡・奥野(2014)の報告より大幅に更新された.このことから,本層の噴出量の再評価が必要と考えられる.
3.MS1, MS 3の本質物質
Loc. 1の岩石記載から,MS1,MS 3の下部および上部のスコリアは鉱物組み合わせが異なるため,マグマの組成が変化した可能性がある.
一方で,Loc. 1とLoc. 2のスコリアは含まれる有色鉱物が異なる.しかし,層序学的に両スコリア層はD層の下位に分布するため,今回はKj-MSと判断する.鉱物組み合わせが異なる理由として,Loc. 1と2では鏡下観察を行ったユニットが異なる可能性が考えられる.