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[SVC34-P19] 九州中部金峰火山に分布する火山岩のSr同位体比
キーワード:金峰火山、Sr同位体比
金峰火山は九州中部の有明海の東側に位置する第四紀火山である。東西約10km,南北約13kmの範囲に安山岩を主体とする火山岩が分布し,標高665.2mの一ノ岳(金峰山)を最高峰とした複数のピークからなる山地を形成している。金峰火山の活動時期とその分類に関する研究は,倉沢・高橋(1963)が岩石学的特徴の記載とその分布から,大きく旧期,中期,新期の3つに分けたことから始まった。その後Takai et al.(1984)は,新期に分類された4つの溶岩円頂丘から採取された試料のフィショントラック年代を測定し,1つは0.15±0.05 Ma,他の3つが1.01-0.94 Maであることと,古地磁気データから,上記の金峰火山全体の活動時期をあらためて,旧期と新期の2つに大分した。さらに旧期は,下から松尾火山岩類,古金峰火山岩類,石神山火山岩類,新期は下から三ノ岳火山岩類,二ノ岳火山岩類,一ノ岳火山岩類の全体で6つのユニットに分類された。土志田ほか(2006)は,金峰火山の活動期間全体を網羅するよう系統的に採取した14試料についてK-Ar年代測定を行い,古期の松尾火山岩類,古金峰火山岩類,石神山火山岩類から採取した合計6試料の年代値は1.38-1.15 Ma,中期の二ノ岳火山岩類と三ノ岳火山岩類から採取した合計6試料の年代値は0.58-0.50 Maにそれぞれ集中していること,および一ノ岳火山岩類から採取した2試料の年代値はいずれも0.2 Maであると報告した。さらに,活動時期を再定義するとともに,各ユニットの分布についても若干の修正を行った。
金峰火山に関するSr同位体比(87Sr/86Sr)を含む地球化学的データは倉沢・髙橋(1963)およびYanagi et al.(1988)によって報告されている。倉沢・髙橋(1963)は金峰火山南部に分布する玄武岩と安山岩のSr比がそれぞれ0.7036および0.7049,Yanagi et al.(1988)は安山岩と玄武岩の合計36試料が0.7038から0.7054の範囲であることを報告した。さらにYanagi et al.(1988)はSr比と全岩化学組成データからマグマプロセスに関する考察を行った。これらは土志田ほか(2006)による活動時期の再定義がなされる前の分類に従っていることと,具体的な試料の採取地点が明示されていないことから,金峰火山の噴出物の活動時期ごとの特徴とその時系列変化を把握することが難しい。
よって本研究では,土志田ほか(2006)による年代報告のある試料採取地点もしくはその近傍から9個の火山岩を採取してSr比を測定し,その結果を土志田ほか(2006)の年代値と分類を対応させて検討を行った(図1)。古期および中期に相当する火山岩類から採取した7試料のSr比測定結果は,Yanagi et al.(1988)および倉沢・髙橋(1963)が報告したSr比のばらつく範囲内(0.7036から0.7054)であった。また新期活動である一ノ岳火山岩類から採取した2試料のSr比は倉沢・髙橋(1963)が報告した値0.7049とほぼ一致し,他の活動期のような大きなばらつきは見られなかった。これらのデータから,金峰火山の全活動期にわたってマグマの起源物質のSr比が類似のものであった仮定すると,古期および中期にはマグマが,ある一定のSr比をもつ物質と様々な程度で混合した,もしくはSr比が異なる様々な物質と混合した。さらにそのSr比の範囲内の比較的高いSr比をもつマグマが,新期活動の一ノ岳溶岩ドームを形成したことが分かった。古期と中期(に相当する火山岩)のSr比の大きな幅について,Yanagi et al.(1988)が地殻下部のグラニュライト様物質からもたらされた流体の影響とした。一方,横瀬・山本(1996)は古期に属する石神山および荒尾山に産出する火山岩に地殻物質および同源物質の捕獲岩が含まれていることを報告しており,これらがマグマへ混入して影響した可能性もある。
金峰火山に関するSr同位体比(87Sr/86Sr)を含む地球化学的データは倉沢・髙橋(1963)およびYanagi et al.(1988)によって報告されている。倉沢・髙橋(1963)は金峰火山南部に分布する玄武岩と安山岩のSr比がそれぞれ0.7036および0.7049,Yanagi et al.(1988)は安山岩と玄武岩の合計36試料が0.7038から0.7054の範囲であることを報告した。さらにYanagi et al.(1988)はSr比と全岩化学組成データからマグマプロセスに関する考察を行った。これらは土志田ほか(2006)による活動時期の再定義がなされる前の分類に従っていることと,具体的な試料の採取地点が明示されていないことから,金峰火山の噴出物の活動時期ごとの特徴とその時系列変化を把握することが難しい。
よって本研究では,土志田ほか(2006)による年代報告のある試料採取地点もしくはその近傍から9個の火山岩を採取してSr比を測定し,その結果を土志田ほか(2006)の年代値と分類を対応させて検討を行った(図1)。古期および中期に相当する火山岩類から採取した7試料のSr比測定結果は,Yanagi et al.(1988)および倉沢・髙橋(1963)が報告したSr比のばらつく範囲内(0.7036から0.7054)であった。また新期活動である一ノ岳火山岩類から採取した2試料のSr比は倉沢・髙橋(1963)が報告した値0.7049とほぼ一致し,他の活動期のような大きなばらつきは見られなかった。これらのデータから,金峰火山の全活動期にわたってマグマの起源物質のSr比が類似のものであった仮定すると,古期および中期にはマグマが,ある一定のSr比をもつ物質と様々な程度で混合した,もしくはSr比が異なる様々な物質と混合した。さらにそのSr比の範囲内の比較的高いSr比をもつマグマが,新期活動の一ノ岳溶岩ドームを形成したことが分かった。古期と中期(に相当する火山岩)のSr比の大きな幅について,Yanagi et al.(1988)が地殻下部のグラニュライト様物質からもたらされた流体の影響とした。一方,横瀬・山本(1996)は古期に属する石神山および荒尾山に産出する火山岩に地殻物質および同源物質の捕獲岩が含まれていることを報告しており,これらがマグマへ混入して影響した可能性もある。