16:00 〜 16:15
[SVC36-09] 伊豆半島西側斜面深海部域から採取された水中火山岩類の意義
キーワード:伊豆半島、水中火山岩類
伊豆半島は、伊豆小笠原弧の北端に位置し、中期中新世の仁科層・湯ヶ島層群の基盤を有し、その上部には後期中新世〜鮮新世の白浜層群、最上部の第四紀熱海層群から構成されている。最上部を構成する熱海層群を除き、下位を構成している地層は、海底での火山活動により形成されている。駿河湾内における伊豆半島西側斜面上では、過去に幾つかの調査がされているが、その多くは音波探査による間接的な解釈である。これらによると、伊豆半島西側斜面には、白浜層下部相当の音響基盤が広く分布し、その上部には白浜層相当の賀茂沖層群下部層、さらに賀茂沖層群上部層が薄く分布している(岡村ほか、1999)。
2024年10月に本学調査船望星丸(1700トン)にて,海洋理工学科海洋実習3が伊豆小笠原弧北部および駿河湾において実施された.実習では,伊豆半島波勝崎沖水深2200〜1600mにかけての採泥も行った。採泥観測では,ワニ口式ドレッジャーと海底カメラシステムを用い、岩石採取と共に海底ビデオ映像も取得した.伊豆半島波勝崎沖では大量の岩石(強変質〜弱変質の凝灰角礫岩、玄武岩〜流紋岩の多様な火山岩片)が採取された。本報告では採取された岩石の形態的特徴・多様性を基に、火山砕屑岩の生成環境について考察を行う。
海底観察映像から,着底時(水深2300〜2000m付近)は、急斜面で薄い堆積物が、不淘汰な凝灰角礫岩(マトリックス少)の岩石間に分布しているのが観察された。水深2000〜1900mではやや斜面が緩くなり、表層堆積物が厚く,下位の地層状況は確認出来ていない。水深1800〜1600mでは、塊状の火山角礫岩や層状に発達したマトリックスの多い凝灰角礫岩が観察された。離底する直前に採泥器口幅に入り込めない試料(最大試料)をつかんで採泥器は回収された。採泥試料の総量は360kgとなり、未固結堆積物以外は全て火山砕屑岩(新鮮な火山岩片を含む)であった。
火山砕屑岩は、色の違いにより1)緑色変質、2)黄土色変質、3)白色変質の3つに大別された。1)緑色変質した火山砕屑岩は、各岩片が数mm〜十数cmのサイズで、アメーバー状の不規則な形状を呈し、多孔質でマトリックスは緑色の粘土鉱物から構成されている。岩片は単斜輝石-カンラン石玄武岩で、カンラン石はサポナイトに置換されている。ガラスマージンが形成しており、斜長石による急冷組織が観察される。2)黄土色変質の火山砕屑岩は、個々の岩片サイズは多様(数10〜1cm)で、角礫質で急冷相は数mm程度であった。両輝石安山岩質で、マトリックスは大小(数cm〜数mm)様々であり、針状結晶からなる急冷組織も観察される。採泥時の最後でワニ口に入った岩石はこのタイプであった。一部ではあるが、白色の流紋岩質の小岩片も有り、多様な岩質も確認された。3)白色火山岩片は流理組織の発達した両輝石-角閃石流紋岩質軽石であり、他の火山砕屑岩と比べ量は少く、各角礫岩片(数cm以下)の長軸が一定方向に配列した堆積構造が確認され、異地性と推定された。岩石化学的特徴からも、玄武岩・安山岩・流紋岩が特定され、伊豆-小笠原弧に比べややK2Oに富みmidium K系列にプロットされた。さらに玄武岩〜安山岩試料は、伊豆半島の白浜層相当の火山岩類や熱海層群に属する火山岩とほぼ同じ領域にプロットされた。
採取された岩石から推定される火山活動は、1)玄武岩質の火砕岩は、採泥器の底部分で採取され、斜面下部を構成している物と推定される。さらにマトリックスも含め本質岩片のみであり、多様性は無く、岩質的にも単独のマグマ活動と推定される。2)しかし、安山岩質の火山砕屑岩(大量)は、同質のマトリックス(黄土色:パラゴナイト変質)であるが、一部流紋岩質岩片も観察された。採泥時の映像からも層状の岩相も確認されており、陸域の白浜層に類似した再堆積を示す火山噴出環境と推察される。3)さらに、多孔質で有りながらも中心部に向け気泡のサイズの変化が観られる岩片や、赤色の酸化した岩片も入れ混じった砕屑岩も観察され、火山活動環境が深海から浅海へ推移した事が推定される。
この様に伊豆半島西側沖深海部からは、単一な玄武岩質火山噴出物から、安山岩〜流紋岩質へと多様な火山砕屑岩へと変化し、浅海の特徴を示す様々な火山砕屑岩の変遷が露出している事が明らかになった。
参考文献:岡村ほか(1999)20万分の1海底地質図「駿河湾」.海底地質図,No.52,地質調査所.
2024年10月に本学調査船望星丸(1700トン)にて,海洋理工学科海洋実習3が伊豆小笠原弧北部および駿河湾において実施された.実習では,伊豆半島波勝崎沖水深2200〜1600mにかけての採泥も行った。採泥観測では,ワニ口式ドレッジャーと海底カメラシステムを用い、岩石採取と共に海底ビデオ映像も取得した.伊豆半島波勝崎沖では大量の岩石(強変質〜弱変質の凝灰角礫岩、玄武岩〜流紋岩の多様な火山岩片)が採取された。本報告では採取された岩石の形態的特徴・多様性を基に、火山砕屑岩の生成環境について考察を行う。
海底観察映像から,着底時(水深2300〜2000m付近)は、急斜面で薄い堆積物が、不淘汰な凝灰角礫岩(マトリックス少)の岩石間に分布しているのが観察された。水深2000〜1900mではやや斜面が緩くなり、表層堆積物が厚く,下位の地層状況は確認出来ていない。水深1800〜1600mでは、塊状の火山角礫岩や層状に発達したマトリックスの多い凝灰角礫岩が観察された。離底する直前に採泥器口幅に入り込めない試料(最大試料)をつかんで採泥器は回収された。採泥試料の総量は360kgとなり、未固結堆積物以外は全て火山砕屑岩(新鮮な火山岩片を含む)であった。
火山砕屑岩は、色の違いにより1)緑色変質、2)黄土色変質、3)白色変質の3つに大別された。1)緑色変質した火山砕屑岩は、各岩片が数mm〜十数cmのサイズで、アメーバー状の不規則な形状を呈し、多孔質でマトリックスは緑色の粘土鉱物から構成されている。岩片は単斜輝石-カンラン石玄武岩で、カンラン石はサポナイトに置換されている。ガラスマージンが形成しており、斜長石による急冷組織が観察される。2)黄土色変質の火山砕屑岩は、個々の岩片サイズは多様(数10〜1cm)で、角礫質で急冷相は数mm程度であった。両輝石安山岩質で、マトリックスは大小(数cm〜数mm)様々であり、針状結晶からなる急冷組織も観察される。採泥時の最後でワニ口に入った岩石はこのタイプであった。一部ではあるが、白色の流紋岩質の小岩片も有り、多様な岩質も確認された。3)白色火山岩片は流理組織の発達した両輝石-角閃石流紋岩質軽石であり、他の火山砕屑岩と比べ量は少く、各角礫岩片(数cm以下)の長軸が一定方向に配列した堆積構造が確認され、異地性と推定された。岩石化学的特徴からも、玄武岩・安山岩・流紋岩が特定され、伊豆-小笠原弧に比べややK2Oに富みmidium K系列にプロットされた。さらに玄武岩〜安山岩試料は、伊豆半島の白浜層相当の火山岩類や熱海層群に属する火山岩とほぼ同じ領域にプロットされた。
採取された岩石から推定される火山活動は、1)玄武岩質の火砕岩は、採泥器の底部分で採取され、斜面下部を構成している物と推定される。さらにマトリックスも含め本質岩片のみであり、多様性は無く、岩質的にも単独のマグマ活動と推定される。2)しかし、安山岩質の火山砕屑岩(大量)は、同質のマトリックス(黄土色:パラゴナイト変質)であるが、一部流紋岩質岩片も観察された。採泥時の映像からも層状の岩相も確認されており、陸域の白浜層に類似した再堆積を示す火山噴出環境と推察される。3)さらに、多孔質で有りながらも中心部に向け気泡のサイズの変化が観られる岩片や、赤色の酸化した岩片も入れ混じった砕屑岩も観察され、火山活動環境が深海から浅海へ推移した事が推定される。
この様に伊豆半島西側沖深海部からは、単一な玄武岩質火山噴出物から、安山岩〜流紋岩質へと多様な火山砕屑岩へと変化し、浅海の特徴を示す様々な火山砕屑岩の変遷が露出している事が明らかになった。
参考文献:岡村ほか(1999)20万分の1海底地質図「駿河湾」.海底地質図,No.52,地質調査所.