16:30 〜 16:45
[SVC36-11] 2024年に新たに漂着した軽石:鳥島近海で確認された白色軽石の漂着
キーワード:EPMA分析、漂着軽石、軽石筏、火山ガラス、火山噴火
2021年福徳岡ノ場(FOB)噴火や2022年以降継続する硫黄島の噴火によって放出された軽石は,黒潮反流によってまず南西諸島へ漂着し,その後,黒潮に乗り日本列島の各地に漂着した(Yoshida et al., 2022; Ishimura and Hiramine, 2025; Hiramine et al., in revision).2021年FOB噴火による大量の軽石漂着は広く認識された一方,2022年以降の硫黄島の噴火による軽石漂着は,比較的少量であったために一般にはあまり認識されていない.また,漂着軽石は,噴火プロセスやマグマの特徴を知ることができる数少ない物質的な証拠の一つであるが,これまでの研究は主に大規模な軽石漂着を対象としており,どの程度小規模な軽石漂流イベントまで捉えることができるかは十分に理解されていない.そこで本研究では,2023年10月に鳥島近海で確認された白色軽石の日本列島での漂着状況,量,粒径を報告する.
2023年10月2日より鳥島近海では群発地震が発生し,10月9日には地震の規模に対して異常に大きな津波が観測され,この津波は伊豆・小笠原諸島や日本列島太平洋岸の地域まで到達した(e.g., 気象庁,2023; Sandanbata et al. 2024).その後,海上保安庁の航空機からの観測で,軽石ラフトと考えられる漂流物が確認され,その後に行われた気象庁の海洋気象観測船「啓風丸」による調査で,鳥島近海を漂流する白色軽石が採取された(気象庁,2023).これらの白色軽石と同じものと考えられる軽石が,小笠原諸島や沖縄本島の海岸にも漂流・漂着したことが報告された(Yoshida et al., 2025 EarthArXiv, https://doi.org/10.31223/X5BD92).本研究では,鳥島近海を漂流していた白色軽石が小笠原諸島や沖縄本島に漂着した後に,日本列島のその他の地域で発見された類似の白色軽石について,火山ガラスの主成分化学組成分析(EPMA分析)を実施した.
分析対象は,2024年10月に石垣島,奄美大島,喜界島で採取された4試料,2024年9月に徳島,高知で採取された2試料,2024年11月に三浦半島城ヶ島で採取された1試料,2024年10月に富山で採取された1試料である.また,Yoshida et al. (2025) で報告した2024年7月に父島・母島で採取された3試料についても同様の分析を行った.試料は粉砕・洗浄し,63–120μmのガラス粒子を対象にEPMA分析を行った.分析には高知大学海洋コア国際研究所の共同利用機器であるEPMA(JEOL製JXA-8200)を使用した.比較には,2023年10月に気象庁が採取し,産総研(2023)により化学的特徴が報告されている白色軽石(Tr102702)を使用した.本研究におけるTr102702の分析値は,産総研(2023)による石基ガラスの分析値と同様の結果が得られた.
EPMA分析の結果,今回分析したすべての軽石がTr102702と化学組成が一致した.そのため,これらは鳥島近海で確認された白色軽石と同一であると考えられる.分析を実施した軽石の採取日は,必ずしも軽石の漂着日とは一致しないが,鳥島近海で漂流が確認されてから1年以内には日本列島の各地で軽石が確認できたと言える.また,衛星では検出困難な小規模噴火や,ごく少量の軽石を伴う噴火であっても,漂着軽石によってその火山噴火の発生を認識できる可能性が示された.これは,過去の火山噴火履歴の解明や,軽石の漂流予測においても重要であると考えられる.
今回のような小規模な漂流による軽石は,漂着量が極めて少なく,数年来海岸での軽石調査を行ってきた著者らでも認識は容易ではなかった.南西諸島では1時間程度の調査で複数個を採取できたが,徳島や高知では一部の海岸でしか見つけることができず,見つけられた海岸でもそれぞれ1個ずつしか採取できていない.城ヶ島も島を一周歩いて1個のみ採取できた.このような少量の軽石の新たな漂着を認識するには,海岸でよく見つかる軽石の特徴や,最近の漂着を示す付着生物の様子の把握など,経験的な部分が大きい.今後,小規模な軽石漂着を海岸で発見するためには,協力者となる一般の方や研究者に対し,模式となる軽石の実物や,高解像度の写真の提供が不可欠と思われる.また,本研究により,伊豆・小笠原弧で発生する軽石漂流イベントに関しては,極めて小規模なものでも南西諸島で認識できる可能性が高いことが示された.したがって,海岸だけでなく,堆積物中の漂着軽石の給源推定を行うことで,過去の海域火山噴火の履歴情報を提供できる可能性がある.
2023年10月2日より鳥島近海では群発地震が発生し,10月9日には地震の規模に対して異常に大きな津波が観測され,この津波は伊豆・小笠原諸島や日本列島太平洋岸の地域まで到達した(e.g., 気象庁,2023; Sandanbata et al. 2024).その後,海上保安庁の航空機からの観測で,軽石ラフトと考えられる漂流物が確認され,その後に行われた気象庁の海洋気象観測船「啓風丸」による調査で,鳥島近海を漂流する白色軽石が採取された(気象庁,2023).これらの白色軽石と同じものと考えられる軽石が,小笠原諸島や沖縄本島の海岸にも漂流・漂着したことが報告された(Yoshida et al., 2025 EarthArXiv, https://doi.org/10.31223/X5BD92).本研究では,鳥島近海を漂流していた白色軽石が小笠原諸島や沖縄本島に漂着した後に,日本列島のその他の地域で発見された類似の白色軽石について,火山ガラスの主成分化学組成分析(EPMA分析)を実施した.
分析対象は,2024年10月に石垣島,奄美大島,喜界島で採取された4試料,2024年9月に徳島,高知で採取された2試料,2024年11月に三浦半島城ヶ島で採取された1試料,2024年10月に富山で採取された1試料である.また,Yoshida et al. (2025) で報告した2024年7月に父島・母島で採取された3試料についても同様の分析を行った.試料は粉砕・洗浄し,63–120μmのガラス粒子を対象にEPMA分析を行った.分析には高知大学海洋コア国際研究所の共同利用機器であるEPMA(JEOL製JXA-8200)を使用した.比較には,2023年10月に気象庁が採取し,産総研(2023)により化学的特徴が報告されている白色軽石(Tr102702)を使用した.本研究におけるTr102702の分析値は,産総研(2023)による石基ガラスの分析値と同様の結果が得られた.
EPMA分析の結果,今回分析したすべての軽石がTr102702と化学組成が一致した.そのため,これらは鳥島近海で確認された白色軽石と同一であると考えられる.分析を実施した軽石の採取日は,必ずしも軽石の漂着日とは一致しないが,鳥島近海で漂流が確認されてから1年以内には日本列島の各地で軽石が確認できたと言える.また,衛星では検出困難な小規模噴火や,ごく少量の軽石を伴う噴火であっても,漂着軽石によってその火山噴火の発生を認識できる可能性が示された.これは,過去の火山噴火履歴の解明や,軽石の漂流予測においても重要であると考えられる.
今回のような小規模な漂流による軽石は,漂着量が極めて少なく,数年来海岸での軽石調査を行ってきた著者らでも認識は容易ではなかった.南西諸島では1時間程度の調査で複数個を採取できたが,徳島や高知では一部の海岸でしか見つけることができず,見つけられた海岸でもそれぞれ1個ずつしか採取できていない.城ヶ島も島を一周歩いて1個のみ採取できた.このような少量の軽石の新たな漂着を認識するには,海岸でよく見つかる軽石の特徴や,最近の漂着を示す付着生物の様子の把握など,経験的な部分が大きい.今後,小規模な軽石漂着を海岸で発見するためには,協力者となる一般の方や研究者に対し,模式となる軽石の実物や,高解像度の写真の提供が不可欠と思われる.また,本研究により,伊豆・小笠原弧で発生する軽石漂流イベントに関しては,極めて小規模なものでも南西諸島で認識できる可能性が高いことが示された.したがって,海岸だけでなく,堆積物中の漂着軽石の給源推定を行うことで,過去の海域火山噴火の履歴情報を提供できる可能性がある.