日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC36] 海域火山

2025年5月28日(水) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:田村 芳彦(海洋研究開発機構 海域地震火山部門)、藤田 英輔(防災科学技術研究所 火山防災研究部門)、前野 深(東京大学地震研究所)、小野 重明(国立研究開発法人海洋研究開発機構)

17:15 〜 19:15

[SVC36-P01] 諏訪之瀬島西部沿岸海域の海底地質 ―2024年調査速報―

★招待講演

*鈴木 克明1石塚 治1高下 裕章1有元 純1天野 敦子1中野 太賀2 (1.産業技術総合研究所 地質調査総合センター、2.九州大学)

キーワード:トカラ列島、海底堆積物、海底地形、三成分磁力計

トカラ列島周辺海域での海洋地質図作成を目的とした産総研の海底地質調査航海GB21-1において、諏訪之瀬島南西方で本来は海流により流される細粒物質が保存されたイベント堆積物とみられる表層堆積物が採取された(鈴木ほか,2022)。このイベント堆積物の起源や成因をはじめとした、諏訪之瀬島西方海域の堆積プロセスを解明することを主目的とし、2024年7~8月に諏訪之瀬島西部沿岸海域において海底地質調査を実施し、地磁気探査、海底地形探査、底質試料採取を行った。本発表ではこの調査結果の速報を紹介する。なお、調査機器運用上の制約から、底質試料採取は水深300m以浅で行った。
底質試料採取において、本調査海域では多くの地点で岩石が露出し、砂泥堆積物を取得できた場所でも移動の卓越を示唆する堆積構造や、海底画像からは毎秒数十cm程度と推定される堆積物粒子の移動が観察された。トカラ列島周辺海域では、黒潮が東シナ海から太平洋に通過しており、諏訪之瀬島もこうした黒潮の影響を強く受けていると思われる。すなわち、島からの堆積物供給があっても、海流によって細粒物質は極めて短期間のうちに移動してしまうと考えられる。
海底地形もこうした堆積環境を反映し、諏訪之瀬島西方沖2km程度までの範囲で取得した海底地形データからは、陸上にみられる1813年噴火の文化溶岩の海底延長部と見られる溶岩地形や,平坦な山頂部を持つ古い火山体と見られる高まりなど火山性地形が比較的広い範囲で観察された。また地磁気観測からは、陸上に露出する火山体としては比較的古いナベダオ火山の沖合と、海中に到達するローブ地形が途切れる赤積浦の沖合で正の磁気異常が観察された。
諏訪之瀬島は現在も活発な活動を続けている活火山であるが、地表部については火山地質図(嶋野ほか、2013)が出版されるなど詳細な調査が進んでいるものの、海域については詳しい調査が行われていない。本調査で得たデータは諏訪之瀬島の噴火メカニズム解明や、噴火・山体崩壊など地形形成過程の解明に資すると考えられる。またイベント堆積物の起源物質については、300m以深の海域や平島周辺など、今回対象外とした海域を含めた詳細な堆積物調査を今後実施することにより明らかにしたい。
【引用文献】
鈴木ほか(2022)宝島及び諏訪之瀬島周辺海域の底質分布とその制御要因、地質調査研究報告
嶋野ほか(2013)諏訪之瀬島火山地質図、火山地質図、産総研地質調査総合センター