日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC36] 海域火山

2025年5月28日(水) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:田村 芳彦(海洋研究開発機構 海域地震火山部門)、藤田 英輔(防災科学技術研究所 火山防災研究部門)、前野 深(東京大学地震研究所)、小野 重明(国立研究開発法人海洋研究開発機構)

17:15 〜 19:15

[SVC36-P06] 鳥島近海から南西諸島へと漂流した白色軽石の岩石学的特徴:給源の可能性がある海域の近傍火砕物との比較へ向けて

*吉田 健太1平峰 玲緒奈2石村 大輔3佐藤 智紀1、丸谷 由4浜田 盛久1多田 訓子1羽生 毅1田村 芳彦1小野 重明1 (1.国立研究開発法人海洋研究開発機構、2.国立民俗歴史博物館、3.東京都立大学、4.ネコのわくわく自然教室)

キーワード:海底火山、漂流軽石、研究航海、苦鉄質包有物

2023年10月8日に伊豆小笠原諸島の伊豆鳥島付近にある孀婦海山で群発地震が起き、同時に発生した津波は西南日本太平洋沿岸の広い範囲に到達した [1-3]。直後の10月20日に海上保安庁の航空観測により、伊豆鳥島周辺で80km程度に細く伸びる軽石筏が見つかっている。この軽石は気象庁により洋上で採取され、産総研などの分析で暗色のパッチを含む白色の流紋岩質軽石だったことが明らかになっている [4]。その後2024年の夏~秋にかけて、南西諸島や伊豆小笠原諸島の海岸で白色軽石の漂着が見られた。新たに漂着した軽石は、近年数多く漂着していた黒色・灰色の軽石とも明瞭に区別できるものであった。
本研究では、沖縄・母島・父島に新たに漂着した白色軽石の岩石学・地球化学的な研究を実施した。軽石は流紋岩質で、いくつかの試料では白い基質中に灰色の粗粒泡なパッチが見られ、産総研既報のものと同じものと考えられる。それらの構成鉱物や微量元素の特徴も産総研によって報告されているものと一致した。本研究では新たに、未分化な鉱物(カンラン石、Mgに富む単斜輝石、Caに富む斜長石)を含む黒色包有物を見いだした。この黒色包有物は深部マグマ供給系の情報を保持していることが期待される。伊豆鳥島近海の漂流軽石が小笠原諸島や沖縄で見つかったことは、小規模な軽石筏の構成物であっても伊豆諸島南部から南西諸島まで1000kmを超える距離を漂流して、認定可能な規模で漂着したことになる。
孀婦海山での群発地震直後の地形調査では、群発地震の震央が集中する孀婦海山山頂付近で顕著な地形変化が見いだされ、火山活動が地震を起こしたことが示唆されている [3,5]。他方、漂流シミュレーションによる検討では約80kmの軽石筏は、孀婦海山よりも北側で、スミス島付近の背弧リフト帯から漂流を開始したことが示唆されている [6]。
これらの火山活動や地震活動および海面で見られた軽石漂流の関係を調査するために、海洋研究開発機構では孀婦海山周辺での地質調査・試料採取を目的とした調査航海を実施する(かいめい、KM25-02 Leg2)。発表では孀婦海山周辺の地質調査の予察的結果と、海山近傍試料と漂流軽石の対比を行う予定である。
本研究は以下の助成を受けている:ERCA環境研究総合推進費(JPMEERF20244002); MEXT 火山研究人材育成等支援事業 (JPJ202414); 東京都立大 小笠原研究委員会; 日本地理学会 災害地理学研究助成

References:
1 Mizutani & Melgar https://doi.org/10.26443/seismica.v2i2.1160
2 Sandanbata et al. https://doi.org/10.1029/2023GL106949
3 Fujiwara et al. https://doi.org/10.1029/2024GL109766
4 AIST https://www.gsj.jp/hazards/volcano/torishima/index.html
5 Minami & Tani https://doi.org/10.1016/j.margeo.2024.107405
6 Kuwatani et al. https://doi.org/10.22541/essoar.172745007.73613799/v1