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[U06-P04] NII Research Data Cloud: オープンサイエンスを支える研究データ基盤
キーワード:研究データ管理、研究データ保存、データリポジトリ、研究インテグリティ、データ共有プラットフォーム、オープンサイエンス
1. はじめに
国立情報学研究所が提供するNII Research Data Cloud (NII RDC)は、学術研究活動の過程で生成される研究データや関連資料を管理、公開、検索するための情報インフラである。「公的資金による研究データの管理・利活用に関する基本的な考え方」[1]においては、日本における研究データの管理・利活用のための中核的なプラットフォームと位置付けられている。
本稿では、NII RDCを構成する各基盤の機能について紹介する。
2. NII Research Data Cloudの各基盤概要
2.1. 管理基盤(GakuNin RDM)
GakuNin RDMは、研究活動の過程で収集・生成された研究データや関連資料を管理するシステムである。これまで研究者や研究室が独自に管理してきた研究データを共通基盤で管理することで、クローズドな空間でありながら機関を超えた迅速な共有やアクセスコントロールを実現する。また、研究機関にとっては共通基盤上で研究データを一元管理することにより、データポリシーの実効性を高めることができる。
2.2. 公開基盤(WEKO3 / JAIRO Cloud)
機関リポジトリ環境提供サービスであるJAIRO Cloudは、大学や学術機関のリポジトリに広く活用されている。研究成果の公開に必要なメタデータ項目の設定機能を備え、DOIを付与することでデータの永続的な識別を可能とする。また、NII RDC全体との連携により、研究成果の公開を円滑に進めることが可能である。文献だけでなく研究データも扱える汎用リポジトリとして設計されている。
2.3. 検索基盤(CiNii Research)
CiNii Researchは、公開基盤に登録された研究成果や論文情報だけでなく、研究データ、文献、図書、研究者情報、プロジェクト情報を横断的に検索できる学術情報検索基盤である。学術情報の発見性を高め研究データの利活用を促進し、異分野間の連携や新たな研究テーマの着想をサポートする。
3. 活用例
文部科学省の「AI等の活用を推進する研究データエコシステム構築事業」[2]では、NII RDCを事業の基軸としており、全国的に活用できる研究データ基盤の整備を進めている。 本事業では、AI・データ駆動型研究のシーズ・ユースケースの創出も目指しており、地球科学及び惑星科学領域を含む多様な採択課題でGakuNin RDMを中心にNII RDCが活用されている(e.g., [3])。
4. 今後の展望
政府の方針[4]を受け、公的な研究助成課題において適切な研究データ管理や成果公開の義務化が進められつつある。NII RDCでは、GakuNin RDMとJAIRO Cloudのデータ連携機能等によってこのような動向に対しても支援を広げている。さらに、2027年までには、人材育成基盤等の高度化機能の実装を進め、研究データを適切かつ負担なく管理・公開・利用できる仕組みを追求していく予定である。
NII RDC は、研究データの管理から検索までを一貫してサポートすることで、オープンサイエンスの実現に寄与している。本報告を通じて、NII RDCの可能性を多くの研究者に共有し活用を促進したい。
<参考文献>
[1] 統合イノベーション戦略推進会議. 公的資金による研究データの管理・利活用に関する基本的な考え方. 2021, https://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/kokusaiopen/sanko1.pdf (accessed 2025-2-14)
[2] 「AI等の活用を推進する研究データエコシステム構築事業」サイト. https://www.nii.ac.jp/creded/nii_ac_jp_creded.html (accessed 2025-2-14)
[3] Nosé, M., et al. Enhancing findability and searchability of research data: Metadata conversion and registration in institutional repositories. Data Science Journal, 2024, 23.1. https://doi.org/10.5334/dsj-2024-040
[4] 統合イノベーション戦略推進会議. 学術論文等の即時オープンアクセスの実現に向けた基本方針. 2024, https://www8.cao.go.jp/cstp/oa_240216.pdf (accessed 2025-2-14)
国立情報学研究所が提供するNII Research Data Cloud (NII RDC)は、学術研究活動の過程で生成される研究データや関連資料を管理、公開、検索するための情報インフラである。「公的資金による研究データの管理・利活用に関する基本的な考え方」[1]においては、日本における研究データの管理・利活用のための中核的なプラットフォームと位置付けられている。
本稿では、NII RDCを構成する各基盤の機能について紹介する。
2. NII Research Data Cloudの各基盤概要
2.1. 管理基盤(GakuNin RDM)
GakuNin RDMは、研究活動の過程で収集・生成された研究データや関連資料を管理するシステムである。これまで研究者や研究室が独自に管理してきた研究データを共通基盤で管理することで、クローズドな空間でありながら機関を超えた迅速な共有やアクセスコントロールを実現する。また、研究機関にとっては共通基盤上で研究データを一元管理することにより、データポリシーの実効性を高めることができる。
2.2. 公開基盤(WEKO3 / JAIRO Cloud)
機関リポジトリ環境提供サービスであるJAIRO Cloudは、大学や学術機関のリポジトリに広く活用されている。研究成果の公開に必要なメタデータ項目の設定機能を備え、DOIを付与することでデータの永続的な識別を可能とする。また、NII RDC全体との連携により、研究成果の公開を円滑に進めることが可能である。文献だけでなく研究データも扱える汎用リポジトリとして設計されている。
2.3. 検索基盤(CiNii Research)
CiNii Researchは、公開基盤に登録された研究成果や論文情報だけでなく、研究データ、文献、図書、研究者情報、プロジェクト情報を横断的に検索できる学術情報検索基盤である。学術情報の発見性を高め研究データの利活用を促進し、異分野間の連携や新たな研究テーマの着想をサポートする。
3. 活用例
文部科学省の「AI等の活用を推進する研究データエコシステム構築事業」[2]では、NII RDCを事業の基軸としており、全国的に活用できる研究データ基盤の整備を進めている。 本事業では、AI・データ駆動型研究のシーズ・ユースケースの創出も目指しており、地球科学及び惑星科学領域を含む多様な採択課題でGakuNin RDMを中心にNII RDCが活用されている(e.g., [3])。
4. 今後の展望
政府の方針[4]を受け、公的な研究助成課題において適切な研究データ管理や成果公開の義務化が進められつつある。NII RDCでは、GakuNin RDMとJAIRO Cloudのデータ連携機能等によってこのような動向に対しても支援を広げている。さらに、2027年までには、人材育成基盤等の高度化機能の実装を進め、研究データを適切かつ負担なく管理・公開・利用できる仕組みを追求していく予定である。
NII RDC は、研究データの管理から検索までを一貫してサポートすることで、オープンサイエンスの実現に寄与している。本報告を通じて、NII RDCの可能性を多くの研究者に共有し活用を促進したい。
<参考文献>
[1] 統合イノベーション戦略推進会議. 公的資金による研究データの管理・利活用に関する基本的な考え方. 2021, https://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/kokusaiopen/sanko1.pdf (accessed 2025-2-14)
[2] 「AI等の活用を推進する研究データエコシステム構築事業」サイト. https://www.nii.ac.jp/creded/nii_ac_jp_creded.html (accessed 2025-2-14)
[3] Nosé, M., et al. Enhancing findability and searchability of research data: Metadata conversion and registration in institutional repositories. Data Science Journal, 2024, 23.1. https://doi.org/10.5334/dsj-2024-040
[4] 統合イノベーション戦略推進会議. 学術論文等の即時オープンアクセスの実現に向けた基本方針. 2024, https://www8.cao.go.jp/cstp/oa_240216.pdf (accessed 2025-2-14)