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[U11-P03] 令和6年能登半島地震および令和6年奥能登豪雨による複合的要因から起こる斜面崩壊箇所の地形地質的特徴
キーワード:表層崩壊、地形、令和6年能登半島地震、複合災害
令和6年1月1日に北緯37度29.7分,東経137度16.2分,深さ16kmを震源とするM7.6の令和6年能登半島地震が発生した.この地震により能登半島では数多くの斜面崩壊が発生し,人的被害に加えインフラにも甚大な被害を及ぼした.さらに同年9月20日から22日にかけて輪島市では累積500mm超を観測する令和6年奥能登豪雨により,被災地に土砂災害によるさらなる被害をもたらした.一般的に地震では尾根地形,降雨では谷地形の斜面が崩壊しやすいとされているが,先行した地震が豪雨による斜面崩壊にどのように影響を与えたかは不明であり,このような事例はほとんどない.
複合災害による斜面崩壊危険箇所を把握することは,大規模地震後に復旧作業を行っていく上で,復旧箇所の優先順位,復旧作業の安全性などを検討する上で大変重要である.そのため,今後の斜面防災において,大規模地震や豪雨による斜面崩壊だけでなく,大規模地震と豪雨による複合災害を考慮した斜面崩壊危険箇所の推定・評価を行うことが必要である.
本研究では,大規模地震と豪雨による複合災害を考慮した斜面崩壊危険箇所の推定を行うために,素因となる地形・地質的特徴の解明を行った.令和6年能登半島地震(以下本地震)および令和6年奥能登豪雨(以下本豪雨)による斜面崩壊を対象とし,地震による崩壊および降雨による崩壊と降雨による崩壊に地震動がもたらした影響について整理を行った.
本地震後に撮影された空中写真および本豪雨後に撮影された空中写真から自然斜面の表層崩壊を対象に崩壊箇所を判読し,ポリゴンデータとして整理した.崩壊箇所の地形量を付与するために,崩壊ポリゴンデータの中で最も標高が高い点を崩壊箇所の頂点として算出し,崩壊箇所を代表する崩壊点として整理した.本地震および本豪雨で崩壊が多発した輪島市野田町から珠洲市馬緤町(おおよそ北緯37.38°~37.51°,東経137.03°~137.23°)の約100km2の範囲を対象とした.対象範囲内において,地震による崩壊(以下地震崩壊)は1825箇所,降雨による崩壊は1643箇所であった.豪雨崩壊のうち,地震崩壊箇所の拡大崩壊および地震後に取得された0.5mDEMによる地形判読で地表面に亀裂等が見られた箇所での崩壊は601箇所であり,地震による影響を受けていた崩壊(以下複合崩壊)として整理し,残りの豪雨崩壊箇所は地震による影響が見られない崩壊(以下豪雨崩壊)として整理した.また,崩壊点の特徴を把握するために,対象範囲の面積と崩壊面積の比率から平野部を除いた90,500点を非崩壊点としてランダムサンプリングにより抽出した.崩壊点数を非崩壊点で除した崩壊発生度として算出した.地形解析には,地震前の1mDEMを用いて,傾斜量,尾根谷度を算出した.
地質別では,地震崩壊、豪雨崩壊,複合崩壊すべてで新第三紀中期中新世のシルト岩類の崩壊点数が最も多く,次に新第三紀中期中新世の火砕岩類であり,この2種類の地質で対象範囲内の崩壊点の80%以上を占めた.崩壊発生度は,地震崩壊,豪雨崩壊は火砕岩類が最も高く,複合崩壊は,シルト岩類が最も高かった.
地震崩壊は,シルト岩類,火砕岩類ともに,尾根谷度の低い地点(谷部)では崩壊発生度は非常に低いが,谷部の中でも傾斜量が40°以上の地点は崩壊発生度が上昇する.尾根谷度が高い地点(尾根部)での崩壊発生度が突出し,尾根部においては,傾斜が大きい地点ほど崩壊発生度が大きくなる.
豪雨崩壊は,シルト岩類と火砕岩類ともに地震崩壊とは異なり,谷部でも崩壊発生度は高い.シルト岩類は尾根部,谷部ともに傾斜量が大きくなるほど崩壊発生度は高くなる.一方,火砕岩類は,谷部では,傾斜量が大きくなるほど崩壊発生度は高くなるが,尾根部では,35°をピークに減少する.
火砕岩の複合崩壊は,尾根谷度が大きくなるほど崩壊発生は緩やかに上昇する.傾斜量別の崩壊発生度では,谷部,尾根部ともに豪雨崩壊と似た傾向が見られた.したがって,地震の影響に関わらず,豪雨により崩壊した可能性が考えられる.一方,シルト岩類の複合崩壊は,尾根谷度では,豪雨崩壊と同様の傾向が見られた.尾根部,谷部ともに40°以上から崩壊発生度が急増し,地震崩壊と似た傾向を示す.これは,40°以上の斜面では表層部および風化部が地震により不安定化し,豪雨により崩壊したと考えられる.
複合災害による斜面崩壊危険箇所を把握することは,大規模地震後に復旧作業を行っていく上で,復旧箇所の優先順位,復旧作業の安全性などを検討する上で大変重要である.そのため,今後の斜面防災において,大規模地震や豪雨による斜面崩壊だけでなく,大規模地震と豪雨による複合災害を考慮した斜面崩壊危険箇所の推定・評価を行うことが必要である.
本研究では,大規模地震と豪雨による複合災害を考慮した斜面崩壊危険箇所の推定を行うために,素因となる地形・地質的特徴の解明を行った.令和6年能登半島地震(以下本地震)および令和6年奥能登豪雨(以下本豪雨)による斜面崩壊を対象とし,地震による崩壊および降雨による崩壊と降雨による崩壊に地震動がもたらした影響について整理を行った.
本地震後に撮影された空中写真および本豪雨後に撮影された空中写真から自然斜面の表層崩壊を対象に崩壊箇所を判読し,ポリゴンデータとして整理した.崩壊箇所の地形量を付与するために,崩壊ポリゴンデータの中で最も標高が高い点を崩壊箇所の頂点として算出し,崩壊箇所を代表する崩壊点として整理した.本地震および本豪雨で崩壊が多発した輪島市野田町から珠洲市馬緤町(おおよそ北緯37.38°~37.51°,東経137.03°~137.23°)の約100km2の範囲を対象とした.対象範囲内において,地震による崩壊(以下地震崩壊)は1825箇所,降雨による崩壊は1643箇所であった.豪雨崩壊のうち,地震崩壊箇所の拡大崩壊および地震後に取得された0.5mDEMによる地形判読で地表面に亀裂等が見られた箇所での崩壊は601箇所であり,地震による影響を受けていた崩壊(以下複合崩壊)として整理し,残りの豪雨崩壊箇所は地震による影響が見られない崩壊(以下豪雨崩壊)として整理した.また,崩壊点の特徴を把握するために,対象範囲の面積と崩壊面積の比率から平野部を除いた90,500点を非崩壊点としてランダムサンプリングにより抽出した.崩壊点数を非崩壊点で除した崩壊発生度として算出した.地形解析には,地震前の1mDEMを用いて,傾斜量,尾根谷度を算出した.
地質別では,地震崩壊、豪雨崩壊,複合崩壊すべてで新第三紀中期中新世のシルト岩類の崩壊点数が最も多く,次に新第三紀中期中新世の火砕岩類であり,この2種類の地質で対象範囲内の崩壊点の80%以上を占めた.崩壊発生度は,地震崩壊,豪雨崩壊は火砕岩類が最も高く,複合崩壊は,シルト岩類が最も高かった.
地震崩壊は,シルト岩類,火砕岩類ともに,尾根谷度の低い地点(谷部)では崩壊発生度は非常に低いが,谷部の中でも傾斜量が40°以上の地点は崩壊発生度が上昇する.尾根谷度が高い地点(尾根部)での崩壊発生度が突出し,尾根部においては,傾斜が大きい地点ほど崩壊発生度が大きくなる.
豪雨崩壊は,シルト岩類と火砕岩類ともに地震崩壊とは異なり,谷部でも崩壊発生度は高い.シルト岩類は尾根部,谷部ともに傾斜量が大きくなるほど崩壊発生度は高くなる.一方,火砕岩類は,谷部では,傾斜量が大きくなるほど崩壊発生度は高くなるが,尾根部では,35°をピークに減少する.
火砕岩の複合崩壊は,尾根谷度が大きくなるほど崩壊発生は緩やかに上昇する.傾斜量別の崩壊発生度では,谷部,尾根部ともに豪雨崩壊と似た傾向が見られた.したがって,地震の影響に関わらず,豪雨により崩壊した可能性が考えられる.一方,シルト岩類の複合崩壊は,尾根谷度では,豪雨崩壊と同様の傾向が見られた.尾根部,谷部ともに40°以上から崩壊発生度が急増し,地震崩壊と似た傾向を示す.これは,40°以上の斜面では表層部および風化部が地震により不安定化し,豪雨により崩壊したと考えられる.