17:15 〜 19:15
[U12-P11] 深海熱水噴出域由来の硫黄酸化細菌による電気炭酸固定の検証
キーワード:生命の起源、電気化学、電気合成
初期地球において深海熱水噴出域で発生する電気エネルギーが前生物的な同化代謝を駆動したとする「電気化学進化説」が提唱されている。もしも原始代謝が電気によって駆動したのなら、その後の生物進化の過程においても電気エネルギーは細胞にとって有効なエネルギー源であり続けたと考えられる。現代の深海熱水噴出域においても環境中の放電を利用する電気合成微生物の存在が示唆されてきた。本研究では、深海熱水噴出域由来の硫黄酸化細菌が電気合成能力を持つことを強く示唆する結果を得たので、それについて報告する。
実験室において深海熱水噴出域の放電現象を模擬した電気化学リアクターを用いて電気を唯一のエネルギー源、二酸化炭素を唯一の炭素源にして微生物培養を行なった。その結果、海水性の硫黄酸化細菌として知られるThiomicrorhabdus属に属する細菌SREC-4株の集積が観察された。定量PCRの結果はSREC-4株の細胞増殖を示した。13C同位体で標識した二酸化炭素を基質にした電気培養を行ない、同位体質量分析を行なったところ、集積培養系の全菌体レベルでの13Cの取り込みが確認された。さらに、Nano-SIMSとFISHを組み合わせた個々の細胞レベルでの同位体分析において、13C の細胞内への取り込みが特にThiomicrorhabdus属細菌において顕著であることが観察された。これらのことはSREC-4株が電気合成能力を有することを強く示唆している。また、SREC-4株のゲノム中に細胞外電子取り込み経路および炭酸固定経路をコードする遺伝子群が見出されたことから、本菌株の電気合成能力が遺伝学的にも支持された。ゲノム系統解析の結果は、Thiomicrorhabdus属細菌の中でも特に様々な海域(北太平洋、南太平洋、大西洋、インド洋)の熱水噴出域に由来するゲノムがひとつのクレードを構成し、細胞外電子取り込み経路遺伝子群の保有はこのクレード内にのみ見出された。これらの結果は、電気合成能力を有するThiomicrorhabdus属細菌が世界中の熱水噴出域に生息していることを示唆している。
今回の研究成果は、現在の世界中の深海熱水噴出域において電気をエネルギー源にして生育する硫黄酸化細菌が存在していることを強く示唆している。今後、細胞外電子の取り込み能力の機構と遺伝的特徴を解析することで、微生物の電気利用の進化の過程を理解する助けになると期待される。
実験室において深海熱水噴出域の放電現象を模擬した電気化学リアクターを用いて電気を唯一のエネルギー源、二酸化炭素を唯一の炭素源にして微生物培養を行なった。その結果、海水性の硫黄酸化細菌として知られるThiomicrorhabdus属に属する細菌SREC-4株の集積が観察された。定量PCRの結果はSREC-4株の細胞増殖を示した。13C同位体で標識した二酸化炭素を基質にした電気培養を行ない、同位体質量分析を行なったところ、集積培養系の全菌体レベルでの13Cの取り込みが確認された。さらに、Nano-SIMSとFISHを組み合わせた個々の細胞レベルでの同位体分析において、13C の細胞内への取り込みが特にThiomicrorhabdus属細菌において顕著であることが観察された。これらのことはSREC-4株が電気合成能力を有することを強く示唆している。また、SREC-4株のゲノム中に細胞外電子取り込み経路および炭酸固定経路をコードする遺伝子群が見出されたことから、本菌株の電気合成能力が遺伝学的にも支持された。ゲノム系統解析の結果は、Thiomicrorhabdus属細菌の中でも特に様々な海域(北太平洋、南太平洋、大西洋、インド洋)の熱水噴出域に由来するゲノムがひとつのクレードを構成し、細胞外電子取り込み経路遺伝子群の保有はこのクレード内にのみ見出された。これらの結果は、電気合成能力を有するThiomicrorhabdus属細菌が世界中の熱水噴出域に生息していることを示唆している。
今回の研究成果は、現在の世界中の深海熱水噴出域において電気をエネルギー源にして生育する硫黄酸化細菌が存在していることを強く示唆している。今後、細胞外電子の取り込み能力の機構と遺伝的特徴を解析することで、微生物の電気利用の進化の過程を理解する助けになると期待される。
