JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[EE] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-AS 大気科学・気象学・大気環境

[A-AS10] [EE] Interhemispheric and intrahemispheric coupling of the atmosphere

2017年5月23日(火) 09:00 〜 10:30 A02 (東京ベイ幕張ホール)

コンビーナ:佐藤 薫(東京大学 大学院理学系研究科 地球惑星科学専攻)、堤 雅基(国立極地研究所)、冨川 喜弘(国立極地研究所)、Xinzhao Chu(University of Colorado Boulder)、座長:堤 雅基(国立極地研究所)

09:35 〜 09:55

[AAS10-03] 2016年の準二年周期振動異常に伴う力学および微量大気成分変動

★招待講演

*廣岡 俊彦1加藤 諒一2江口 菜穂3 (1.九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門、2.九州大学大学院理学府地球惑星科学専攻、3.九州大学応用力学研究所)

キーワード:quasi-biennial oscillation, meridional circulation, minor constituents

準二年周期振動(QBO)は、赤道域下部成層圏で観測される、平均約28か月周期で下方に伝播する東西風の振動である。2016年2月、QBOの東風シアーの下方伝播が20hPa付近で突然停止し、それより下方の西風領域中に東風が形成されるという、過去に例がない現象が生じた(Newman et al. 2016; Osprey et al. 2016)。しかしながら、この特異なQBO位相遷移の形成機構や、それに伴う子午面循環の変動については、未だ十分に調べられてはいない。そこで本研究では、長期再解析データJRA-55と、Aura MLS衛星観測に基づく、オゾン、塩化水素、一酸化二窒素などの大気微量成分の体積混合比データを用いて、QBO異常現象に関する詳細な解析を行った。その結果、この特異なQBO位相遷移に伴い、大気微量成分の分布にも特異な構造が見られた。これは、対応する赤道域気温場の変異に伴う子午面循環の変動により形成されたものだと考えられる。当日の発表では、特異なQBO位相遷移に対する、中緯度域からの力学的影響についても議論を行う。