JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[EJ] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CC 雪氷学・寒冷環境

[A-CC37] [EJ] アイスコアと古環境変動

2017年5月23日(火) 10:45 〜 12:15 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:川村 賢二(情報・システム研究機構 国立極地研究所)、竹内 望(千葉大学)、阿部 彩子(東京大学大気海洋研究所)

[ACC37-P10] 天山山脈グリゴレア氷帽アイスコア中の固体粒子のSEM観察

*青崎 裕有1竹内 望1藤田 耕史2Aizen Vladimir3 (1.千葉大学、2.名古屋大学、3.Ihaho Univ.)

アイスコアには大気を介して氷河に飛ばされてきた火山灰や花粉、鉱物粒子など様々な固体粒子物質が保存されている.アイスコアの固体粒子は、年代決定や地表面環境のプロキシーとして広く利用されている.例えば、極域のアイスコアでは、火山灰粒子のSEM-EDS分析から起源となる火山を特定し層の絶対年代の決定に利用されている.一方、低緯度山岳域の氷河のアイスコアでは、極域に比べ高濃度の鉱物粒子が含まれており、その濃度は砂塵嵐や気候の乾燥度のプロキシーとして利用されている.一般に、固体粒子濃度は、パーティクルカウンター等で機械的に定量されることが多く、含まれる粒子の形態、種類等に注目した分析は少ない.固体粒子の鉱物種や化学成分等の分析によって、その粒子の起源を特定し、過去のより詳しい地表面環境や大気循環を明らかにできる可能性がある.そこで、本研究では、中央アジア・天山山脈グレゴリア氷帽で掘削されたアイスコア中の固体粒子についてSEM-EDS分析を行った結果を報告する.
 分析に使用したアイスコアは,2007年にグリゴレア氷帽(4600m)の頂上部で掘削された全長約87mのコアである.年代決定は,花粉濃度および放射性炭素同位体によって行われ,底部は約13000年前であることが明らかになっている.年代の異なる層を選択し,含まれる固体粒子を電子顕微鏡(JSM-6010PULUS/LA,日本電子)で観察した.低真空モードで観察し,各粒子のEDSによる元素分析を行った.観察された鉱物粒子は直径数 µmから30 µmの範囲で、特に10 µm以下の粒子が多く観察された.観察された鉱物粒子についてEDXによる元素分析を行い構成元素による粒子の分類を行った.その結果、年代に関係なくどの層でもSiまたはAlが主成分のタイプである鉱物粒子が,分析数の60-90%を占めた.これらは主に砂漠に由来する石英や斜長石などの珪酸塩鉱物と考えられる.一方,残りの鉱物粒子は MgやFe、Caを比較的豊富に含む粒子であった.これらのタイプは年代によって含有率が異なった.この含有率の違いは,鉱物粒子の供給源の違いを示している可能性がある.