JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CC 雪氷学・寒冷環境

[A-CC38] [JJ] 雪氷学

2017年5月22日(月) 10:45 〜 12:15 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:縫村 崇行(千葉科学大学)、堀 雅裕(宇宙航空研究開発機構地球観測研究センター)、石川 守(北海道大学)、舘山 一孝(国立大学法人 北見工業大学)

[ACC38-P04] ALOS1/2を用いたInSAR解析による永久凍土地帯の地盤変動検出:Herschel島(カナダ)とBatagaika crater(シベリア)の事例

*柳谷 一輝1古屋 正人1 (1.北海道大学大学院理学院)

キーワード:ALOS、InSAR、永久凍土、サーモカルスト、リモートセンシング

永久凍土は北半球において四分の一の面積を占め、その融解や凍結により地盤の沈下や隆起が生じる。これらの地盤変動は人口建築物の損壊や変形をもたらすものとして、ロシアなどの北極海沿岸地域において古くから地域に密着した問題として研究されてきた。しかし、定量的な観測データは皆無であり、またその時空間分布などは殆ど調査されていない。一方、近年地球温暖化問題が提起され、温室効果ガスの推移について多くの研究がされている中で、広大な凍土に貯蔵されている有機炭素の重要性が指摘されている。北半球のうち永久凍土地帯が占める面積は広大であり、実際に凍土の融解により形成されるサーモカルスト湖ではメタンガスの放出が確認されている。永久凍土の融解は地球環境を考える上で無視できない変動であり、高緯度地域に限られた問題ではない。一方で永久凍土そのものの観測を広域で行うことは非常に難しい。その代わりに、永久凍土地帯の地盤の沈下や隆起の広域モニターは技術的には可能であり、それができれば凍土の融解過程の監視に重要な貢献ができる可能性がある。
本研究では合成開口レーダーを用いたリモートセンシングによる永久凍土地帯の地盤変動観測、特に融解による地盤沈下の検出を試みた。JAXAによって打ち上げられた2つのSAR衛星ALOSとALOS2のデータを用いて、2007年から2016年の最近の地盤変動を観測した。観測対象としては変動速度が比較的速いスランプ地形に着目し、カナダのハーシェル島とロシアのバタガイカクレーターにおいて地盤沈下を検出した。ハーシェル島では海岸部の沈降と後退を先行研究では調べられていないALOS2による近年の変動を観測した。一方永久凍土起源のクレーターとして知られるバタガイカクレーターでは、内陸部にできたメガスランプで変動のシグナルを検出したが、解析に用いたDEMによる影響が結果に生じている。