JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[EE] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気水圏科学複合領域・一般

[A-CG43] [EE] 中緯度大気海洋相互作用

2017年5月20日(土) 13:45 〜 15:15 302 (国際会議場 3F)

コンビーナ:西井 和晃(三重大学大学院生物資源学研究科)、佐々木 克徳(Hokkaido University)、杉本 周作(東北大学大学院理学研究科)、大石 俊(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、座長:西井 和晃(三重大学大学院生物資源学研究科)、座長:升永 竜介(東京大学先端科学技術研究センター)

15:00 〜 15:15

[ACG43-06] 中緯度の海上下層雲の雲頂高度と海霧発生頻度を決める環境場

*川合 秀明1籔 将吉2神代 剛1萩原 雄一朗3 (1.気象研究所、2.気象庁、3.宇宙航空研究開発機構)

キーワード:mid latitude, marine low clouds, marine fog

海上の下層雲の雲量は、海面水温と大気中層の温度から実質的に決定される対流圏下層の安定度によって大きく左右される一方で、下層雲量は日射の遮断を通じて海面水温に影響を与える。つまり、海上の下層雲と海洋の間には強い相互作用があると言える。

 亜熱帯海上の下層雲はよく研究されてきているが、中緯度海上の下層雲については、研究はあまり進んでいない。雲量についての研究は多少あるものの、雲頂高度については皆無と言ってよい。そこで、本研究では、CALIPSO衛星観測データから作成された九州大学雲マスクデータを使い、中緯度の海上下層雲の雲頂高度を詳しく調べた。こうした全球規模の雲頂高度の解明は、CALIPSO衛星データの登場によって初めて可能となったものである。

 本発表では、中緯度の海上下層雲の雲頂高度と霧発生頻度の観測的特徴を包括的に概観する。中緯度の海上下層雲の雲頂高度の季節変化が明らかにされると共に、北半球と南半球における雲頂高度の季節変化の違いも示される。霧の発生頻度は、北太平洋や北西大西洋では明瞭な季節変化を示す一方、南大洋では霧の発生頻度は季節によらずほぼ一定であった。さらに、これらの特徴をもたらす、SSTを含む気象場について調査した。その結果、海上下層雲の雲頂高度と大気安定度指数、また、霧の発生頻度といくつかの地表面気象要素(地上気温と海面水温の温度差など)の間に高い相関があることが明らかとなった(Fig.1)。