JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[EJ] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気水圏科学複合領域・一般

[A-CG47] [EJ] 陸域生態系の物質循環

2017年5月25日(木) 13:45 〜 15:15 303 (国際会議場 3F)

コンビーナ:加藤 知道(北海道大学農学研究院)、平野 高司(北海道大学大学院農学研究院)、佐藤 永(海洋研究開発機構 地球表層物質循環研究分野)、平田 竜一(国立環境研究所)、座長:佐藤 永(海洋研究開発機構)

14:45 〜 15:00

[ACG47-15] 人工衛星観測ビッグデータをシミュレーションに取り込む:データ同化を用いた植物フェノロジー予測モデルの最適化

*伊勢 武史1,2池田 成貴3渡部 俊太郎1 (1.京都大学フィールド科学教育研究センター、2.科学技術振興機構、3.京都大学農学研究科)

キーワード:データ同化、フェノロジー、シミュレーション、陸上生態系、物質循環

データ同化はシミュレーションモデルを最適化する手法として用いられているが、陸上生態系モデルは、その複雑さゆえに、データ同化の応用が進んでいなかった。そこで本研究では、粒子フィルタというデータ同化手法を用いることで、非連続な挙動を示す陸上生態系をモデル化し、データ同化によって最適化することが可能であることを示す。今回はケーススタディとして、落葉樹の展葉・落葉フェノロジーを取り扱う。展葉・落葉によって、樹木の葉面積は非連続で突発的な挙動を示す。その挙動は従来、積算温度などでモデル化されることが多かったが、これまで統計的な手段で最適化されることはあまりなかった。本研究では、人工衛星で観測された葉面積指数の季節変化を用いてデータ同化を行った。その結果、モデルの複数のパラメタは総合的に最適化されることが示された。大型計算機を用いた並列計算では、日本全国を4kmのグリッドに分割し、そのうち落葉広葉樹が一定以上の割合で含まれるグリッド(約1万グリッド)で展葉・落葉を担うパラメタを最適化した。その結果、各グリッドの年平均気温によって、存在する植生がその場所の温度環境に適応している可能性が示された。さらに、落葉広葉樹のなかでも特定の樹種を絞り込んだデータ同化の結果、樹種ごとに適応のフレキシビリティが異なることが分かった。