JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[EJ] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気水圏科学複合領域・一般

[A-CG48] [EJ] 北極域の科学

2017年5月24日(水) 13:45 〜 15:15 304 (国際会議場 3F)

コンビーナ:森 正人(東京大学先端科学技術研究センター)、津滝 俊(宇宙航空研究開発機構)、鄭 峻介(北海道大学 北極域研究センター)、漢那 直也(北海道大学 北極域研究センター)、座長:森 正人(東京大学 先端科学技術研究センター)、座長:津滝 俊(宇宙航空研究開発機構、宇宙航空研究開発機構)

14:15 〜 14:30

[ACG48-15] 北極温暖化増幅に伴う傾圧不安定波の応答について

*田中 博1桜井 誠2 (1.筑波大学計算科学研究センター、2.筑波大学生命環境科学研究科)

キーワード:北極温暖化増幅、傾圧不安定波、線形安定性解析、傾圧性擾乱、渦運動量輸送

近年の温暖化は北極域で顕著に現れ、特に秋季から冬季の北極域の気温上昇率は全球平均と比較して約2倍大きくなっている。この現象は北極温暖化増幅(Arctic Amplification: AA)と呼ばれている。AAの要因には、アイス・アルベドフィードバック、雲のフィードバック、中緯度から北極域への熱や水蒸気の輸送などが重要と考えられている。中緯度から北極域への熱輸送は、傾圧性擾乱が担っているが、AAに伴い傾圧性は弱くなると推測される。本研究の目的は、地球温暖化によりAAが進行し、中緯度の傾圧性が低下する中で、傾圧不安定波の増幅率や構造がどのように変化し、傾圧性擾乱による熱輸送や運動量輸送がどのように変化するのかを理論的に調べることである。AAに伴う高温偏差は北極圏の大気全体で生じるが、海氷とのフィードバックにより大気下層で特に顕著である。線形不安定解析によると、AAに伴い寒帯ジェットは広域で弱化し、それに伴い傾圧不安定波の増幅率は減少する。また、擾乱による高緯度の運動量輸送は北向きから南向きに変化するような構造変化を伴うことから、寒帯ジェットはさらに弱化するという正のフィードバックが傾圧性擾乱に見られた。