[ACG48-P06] シベリアでの大規模森林火災期間中の気象条件 - サハ南部での条件
キーワード:広域森林火災、MODISホットスポット、ジェット気流蛇行
北方林(タイガ)の総面積は約12,000万km2で,世界の森林面積の約3分の1を占めている.世界の北方林の約70%がユーラシアにあり,ロシアには北方林約6,200,000 km2がある.この広大なロシアの北方林では,毎年,いろいろな所で森林火災が発生している.10年以上のMODISのホットスポット・データ(HSと略)を解析することで,ロシアの北方林での火災頻発域が次第に明らかになってきている.今回は,サハ南部の北方林での大規模森林火災の気象条件を分析した結果を報告する.大規模な森林火災は火災発生後の気象条件に依存している.著者らは既にアラスカの総観的大規模火災の気象条件をMODISのHSデータ(2003~2015年)解析で明確にし,報告済みである.アラスカでは,上位4つの大火災期間は,ロスビー波砕波(Rossby wave breaking (RWB))に関連した類似した独特な高気圧火災気象条件下で発生した.火災の発生後,RWB現象に関連する典型的な火災気象条件下で,高気圧システムがアラスカを南から北に移動する前後に2つのHSピーク(大火災)が生じた.最初のHSピークは,アラスカ湾の気圧の尾根による南西風で生じた.2番目のHSピーク(最大の火災)は,RWB条件下で高圧システムが北に移動した後,ビューフォート・シー高気圧(Beaufort Sea High)が発達し,アラスカ州内陸で比較的強い東寄りの風を吹き込み,発生した.これらの気象現象に加えて,北極での低気圧発達に伴う低気圧関連で発生する火災気象条件下でも,南西風が単一の大きなHSピークを伴って高い火災活動を引き起こしていた.
サハ南部の北方林では,2002年と2012年に大規模森林火災が発生した.両年の7月と8月のホットスポットのピークの気象条件を調べた結果,アラスカと同様に高気圧と低気圧の二つのパターンが確認された.高気圧タイプでは,ヤクーツク北方に気圧の尾根が形成されていた.低気圧タイプでは,北極海の低気圧が重要な役割を果たしていることが明らかとなった.
サハ南部の北方林では,2002年と2012年に大規模森林火災が発生した.両年の7月と8月のホットスポットのピークの気象条件を調べた結果,アラスカと同様に高気圧と低気圧の二つのパターンが確認された.高気圧タイプでは,ヤクーツク北方に気圧の尾根が形成されていた.低気圧タイプでは,北極海の低気圧が重要な役割を果たしていることが明らかとなった.