JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気水圏科学複合領域・一般

[A-CG49] [JJ] 地球惑星科学における航空機観測利用の推進

2017年5月21日(日) 13:45 〜 15:15 304 (国際会議場 3F)

コンビーナ:高橋 暢宏(名古屋大学 宇宙地球環境研究所)、小池 真(東京大学大学院 理学系研究科 地球惑星科学専攻)、鈴木 力英(海洋研究開発機構 地球表層物質循環研究分野)、町田 敏暢(国立環境研究所)、座長:高橋 暢宏(名古屋大学宇宙地球環境研究所)

13:45 〜 14:00

[ACG49-01] マスタープラン2017における航空観測の提案について

*高橋 暢宏1小池 真2新野 宏2岩崎 俊樹3近藤 豊4佐藤 正樹2坪木 和久1 (1.名古屋大学 宇宙地球環境研究所、2.東京大学、3.東北大学、4.国立極地研究所)

キーワード:航空機観測

日本学術会議のマスタープラン2017の公募には日本気象学会から「航空機観測による気候・地球システム科学研究の推進」を提案している。本報告では、その概要とそれに関連した活動について報告する。

「航空機観測による気候・地球システム科学研究の推進」の概要
本提案は、大気や海洋、海氷・雪氷、陸面・地形・火山、植生などの生態系を含む地球表層圏システムなどの研究に不可欠な航空機を整備し、気候・地球システム科学研究を推進するものである。
 航空機観測は、他の観測手段では難しい多くの物理・化学要素を高精度かつ高時間・空間解像度で機動的かつ直接に観測できるため、プロセスの解明と信頼できる数値モデルの構築に不可欠である。しかしながら、我が国には地球観測専用の航空機が無く、欧米をはじめとする諸外国に比べ航空機観測体制の整備が大きく立ち遅れているため、本提案を行った。
航空機観測で解明が期待される中心的課題は、気候・地球システムとその変動機構である。そのため、ターゲットとしている研究課題も二酸化炭素などの温室効果気体、地球の放射バランスにおいて不確定要素の多いエアロゾルや雲、そして気候変動の応答として注目されている激しい降水現象(集中豪雨や台風)としている。これらについては、人間活動が最も活発なアジア域において観測空白域となっているため、航空機観測が望まれている。
本提案において想定している航空機はMRJである。国産のため改修が容易で、比較的大きなスペースを有するため多くの測器による同時観測が可能であり、専用の航空機とすることで常時利用できる測器の搭載や相乗り観測も可能となり、これまで経費的に航空機を利用できなかった研究者の参加も見込まれる。


翔体観測推進センターが中心となり、外部の支援事務局・機体運営会社の支援のもと、20数名体制で運用する計画である。拠点には全国の専門家からなる航空機観測推進委員会を置き、研究計画の公募・審査・採択・機体運用計画の作成を行うことを計画している。
地球観測の専用航空機について、これまで気象学に特化して説明してきたが、それ以外にも水文学、生態学、海洋・海氷、雪氷、火山・地形ほかの固体地球科学、地表リモートセンシング研究分野でも、アジア域における新しい観測情報の取得のツールを提供し、新分野の開拓に寄与するほか、船舶観測・無人飛行機・数値モデル研究と連携した研究の発展も期待できる。

今後の活動について
今後の活動としては、航空機観測推進委員会の活動をベースとして、活動基盤の強化を図るために関係機関との連携を強化する。