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[ACG51-04] 亜熱帯マングローブから海域への栄養塩・懸濁物流出特性の季節間比較
キーワード:マングローブ、溶存態無機炭素、溶存態無機窒素、懸濁態有機物、塩分勾配、安定同位体比
河口域に発達するマングローブ生態系が有する固有の生態系機能として、マングローブ自身の一次生産によって大気中のCO2を固定して生態系内に隔離する働き、固定した有機炭素の一部を外洋側に放出して沿岸海域の炭素循環と水産資源生産を活性化する働き、固定した有機炭素の一部を海面下で無機化して溶存無機炭素(DIC)として放出することにより沿岸海域のpHを下げる作用、河川を通して陸域から沿岸海域へ流入する栄養塩等の物質負荷を抑制するフィルター作用などが代表的なものとして挙げられる。これらの機能はグローバル・スケールで見ると、陸域・海域相互作用や大気中CO2濃度の変動に対して大きな貢献をなしていると考えられている。こうした作用の強度は、季節的な気温や降水量の変動の影響を受けて季節変化を示すと考えられるが、マングローブの生態系機能の季節変動を記載した研究例は少なく、特に亜熱帯のマングローブを対象とした研究は極めて限られている。本研究では亜熱帯河口域マングローブにおいて栄養塩・懸濁物の流出特性を異なる季節に調査して比較することにより、マングローブの生態系機能の季節性を明らかにすることを目的とした。沖縄県石垣島の2箇所の河口域マングローブを調査地として、マングローブと海域との境界域と、陸域側からマングローブへの河川流入部とで、3月、6月、9月、12月にそれぞれ集約的な採水を行い、試水中の溶存栄養塩、DIC、懸濁態有機物(POM)の濃度と各種の安定同位体比を測定した。得られたデータは成分濃度または安定同位体比の塩分ダイアグラムの形に整理し、淡水・海水側エンドメンバーの推定と各成分の保存性の解析を行った。この結果に基づき、主として生態系内における栄養塩の動態とDICおよびPOMの生産・流出の面から、亜熱帯マングローブの物質循環の季節的特性について考察するとともに、他の気候条件下のマングローブの場合と比較する。