JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気水圏科学複合領域・一般

[A-CG53] [JJ] 気候変動への適応とその社会実装

2017年5月20日(土) 09:00 〜 10:30 104 (国際会議場 1F)

コンビーナ:石川 洋一(海洋研究開発機構)、渡邉 真吾(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、大楽 浩司(防災科学技術研究所)、座長:渡邉 真吾(海洋研究開発機構)

09:30 〜 09:45

[ACG53-03] 地域での気候変動適応の隘路と打開策:茨城県での農業適応計画の事例から

★招待講演

*田村 誠1滝本 貴弘1増冨 祐司2 (1.茨城大学地球変動適応科学研究機関、2.茨城大学農学部)

キーワード:適応計画、農業、地方自治体

2015年11月に「気候変動の影響への適応計画」が閣議決定され、今後は各自治体における適応計画策定が見込まれる。しかしながら、地方自治体での気候変動適応策の社会実装に向けては幾つかの隘路がある。第一に、地域単位の気候変動の影響予測に関する科学的知見が不足している点である。第二に、影響予測とともに具体的な適応策を提案していかないと地域住民に不安を煽る結果となってしまうことである。第三に、地域において気候変動はその重要性は認識されつつも、経済状況、少子高齢化などの喫緊の課題や地域の持続可能性に関わる課題に比べると優先順位が低くなりやすいことである。
こうしたなか、筆者らは茨城県の農業の現状と気候変動に関する将来的なリスクを同定し、農業適応計画策定に必要な項目を抽出することで、そのロードマップとなる「茨城県農業における温暖化適応総合計画(仮)」の作成を目指している。本適応計画に盛り込む主要な内容は、以下の3つを考えている。すなわち、①茨城県における温暖化の予測、②農作物に対する定量的な影響とリスク、③影響軽減のための適応策パッケージである。これらは上記で掲げた第一、第二の隘路への打開策を意図しており、影響予測と適応策の双方を提示することが重要である。これまでに茨城県農業総合センターから生育データ等の提供を受けて、コメの白未熟粒発生割合推定モデルの構築と広域推定などを試みてきた。第三の隘路に対しては気候変動に限らない地域との協働が求められており、茨城大学での取組事例を紹介する。
 
謝辞
本研究は、文部科学省「気候変動適応技術社会実装プログラム(SI-CAT)」および科研費基盤B「気候変動適応策の有効性と限界」の助成を一部受けている。