JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[EJ] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-HW 水文・陸水・地下水学・水環境

[A-HW34] [EJ] 水循環・水環境

2017年5月22日(月) 13:45 〜 15:15 201A (国際会議場 2F)

コンビーナ:林 武司(秋田大学教育文化学部)、Gusyev Maksym(International Centre for Water Hazard Risk Management, Public Works Research Institute)、長尾 誠也(金沢大学環日本海域環境研究センター)、町田 功(産業技術総合研究所地質調査総合センター)、飯田 真一(国立研究開発法人森林総合研究所森林研究部門森林防災研究領域水保全研究室)、座長:林 武司(秋田大学教育文化学部)、座長:飯田 真一(国立研究開発法人森林総合研究所)、座長:町田 功(産業技術総合研究所地質調査総合センター)、座長:長尾 誠也(金沢大学環日本海域環境研究センター)、座長:Gusyev Maksym (International Centre for Water Hazard Risk Management, Public Works Research Institute)

15:00 〜 15:15

[AHW34-17] リン制限環境下でのヨシおよび竹チップを用いた地下水中の硝酸態窒素浄化に関するカラム実験

*佐竹 駿一1唐 常源1 (1.千葉大学園芸学研究科)

キーワード:硝酸態窒素、植物チップ、脱窒、リン酸態リン

地下水の硝酸態窒素汚染は世界中で注目されている環境問題の1つである。脱窒反応は脱窒菌と呼ばれる微生物群により硝酸態窒素を窒素ガスへと還元する反応で,自然界では河畔や湿地域が重要な役割を果たしている。地下環境では,脱窒反応における最も多い制限因子は利用可能な有機炭素の不足といわれており,これを植物資材で補った脱窒浄化壁に関する研究が近年行われている。しかしながら,その性能は生物の不可欠な要素であり,生物代謝に重要な役割を果たすリンに大きく依存する。しかし,リン濃度は硝酸態窒素汚染された地下水の場合でも制限されることが多い。
 そこで,本研究では脱窒効率に及ぼすリンの影響を調べるため,脱窒資材としてヨシおよび竹チップを用いた室内カラム実験を行った。その結果,流入地下水中のリン酸態リン濃度が0.4mg/Lから0.04mg/Lに低下するとヨシチップ充填カラムのNO3-N除去率は86.1%から61.6%,竹チップ充填カラムのNO3-N除去率は73.6%から37.0%に減少した。また,リン酸態リン濃度が低い場合には,竹チップ充填カラムの流出水中で高いNO2-N濃度が検出された。NO3-N除去速度の制限因子をリン酸態リン濃度としたMichaelis-Menten型の式を適用した結果,リン酸態リン濃度の半飽和定数はヨシで0.03mg/L,竹で0.09mg/Lが得られ,リン酸態リンがNO3-N除去速度を制限する重要な因子であることが示された。したがって,流入水のN/P比が100程度であればNO3-N除去速度は最大速度の半分以上が期待できる。