JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[EJ] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-HW 水文・陸水・地下水学・水環境

[A-HW34] [EJ] 水循環・水環境

2017年5月22日(月) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:林 武司(秋田大学教育文化学部)、Gusyev Maksym(International Centre for Water Hazard Risk Management, Public Works Research Institute)、長尾 誠也(金沢大学環日本海域環境研究センター)、町田 功(産業技術総合研究所地質調査総合センター)、飯田 真一(国立研究開発法人森林総合研究所森林研究部門森林防災研究領域水保全研究室)

[AHW34-P14] 離島の水環境に関する比較研究―長崎県の島嶼を中心に―

*矢巻 剛1小寺 浩二1浅見 和希1阿部 日向子 (1.法政大学水文地理学研究室)

キーワード:壱岐島、対馬、五島列島、雨水、水環境

Ⅰ はじめに  日本には数多くの島嶼が存在し、その独立した環境のためそれぞれ独特の環境を呈する。その多くが比較的小規模で限られた空間であるため、農業などの人間活動のみならず雨水などの降下物の影響が大きく反映される傾向にある。しかし、対馬・壱岐・五島列島に関するものは比較的少ない。本研究では、それぞれの島の陸水や雨水の水質の特性を比較しながら水環境の現状を明らかにすることを目的とする。
Ⅱ 対象地域  壱岐島は九州北部の玄界灘に位置する面積136.69km²で、地形がなだらかで島の各地に多くの溜池が分布する。対馬は面積約708 km²で壱岐島と比べ標高が高く約89%を山地が占め、大部分が堆積岩で表土も薄く岩石が露出する。五島列島は長崎港から西100kmに位置し総面積約690 km²で、北東から南西に80kmに渡り約140の島々が連なり、地形が変化に富み各島ごとに大きく地質条件が異なる。
Ⅲ 研究方法  2014~2016年の春季と秋季に水文観測を行った。現地で気温、水温、EC、pH、RpHを測定し、サンプルを持ち帰りTOCの測定、イオンクロマトグラフィーによる主要溶存成分の分析を行った。雨水についても毎月採取したサンプルを同様に分析した。
Ⅳ 結果・考察  ほぼ全ての島の陸水には海塩の影響が見られ、壱岐島では海塩よりも地質による寄与が大きく、対馬では上島と下島で水質組成が異なり、下島は風送塩の影響が顕著で、五島列島では地質や土地利用の影響が大きく、壱岐島や対馬と比較して硝酸が多く検出された。
Ⅴ おわりに  今後は小流域での解析を進めてゆくほか、より各島における陸水の特徴を明確にしたい。