JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-OS 海洋科学・海洋環境

[A-OS22] [JJ] 海洋物理学

2017年5月22日(月) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:東塚 知己(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、吉川 裕(京都大学大学院理学研究科)、Shinya Kouketsu(JAMSTEC Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology)、田中 祐希(東京大学大学院理学系研究科)

[AOS22-P05] 衛星高度計を用いた黒潮/黒潮続流流路の同定方法

*平野 雄也1植原 量行1 (1.東海大学大学院海洋学研究科海洋学専攻)

キーワード:黒潮、黒潮続流

本州南岸を流れる黒潮には,2 つの流路パターンがある. 紀伊半島南岸沖で北緯 32 度以南を流れるような大蛇行する流れ (大蛇行流路) と, 大蛇行しない流れである. さらに, 大蛇行しない流れは, 非大蛇行接岸流路と非大蛇行離岸流路に分類される. 黒潮の特徴に関しては, 川辺 (2003) によって詳細にまとめられている. また, 房総半島東方を流れる黒潮続流に関しては,Qiu and Chen(2005) などに記載されている. 黒潮続流では常に蛇行が起きており, その変動も激しく, 黒潮続流の流路を決定することは容易ではない. ただし, その種の蛇行が一箇所に留ることはほとんどなく, 数ヶ月程度の規模しか持たないことが多いが, 本州南方の黒潮蛇行は一旦発生すると, ほぼ同じところに数年程度持続するという特徴を持つ. この長期安定性 (定常性) が黒潮蛇行を非常に特異なものにしている (西田, 増田, 尹,1983).
このように, 黒潮と黒潮続流について, それぞれ多くのことがわかってきているが, それらをひと括りにして考えているものはそう多くはない. そこで, 今回は流路の変化や特徴を同時に捉えることで, 黒潮と黒潮続流について更に理解を深めることを目的とする. 黒潮/黒潮続流の流路について研究するためには, まず, 黒潮がどこをどのように流れているかという情報が必ず必要となる. 今回, 黒潮/黒潮続流の流軸の同定を行うにあたり,AVISO の絶対力学海面高度のデータを用いた. 時間解像度は 1 日毎, 空間解像度は0.25 × 0.25度である. ただし, 黒潮続流では中規模渦の影響がとても大きいため, その影響を取り除く必要がある. そこで, 本研究では,1 日毎の海面高度データを 3 ヶ月移動平均している. また, 海面高度を用いて流軸を同定する方法は, 最初にある海面高度 (全期間同一の海面高度) を流軸と定義した上で行うことが多い. しかし, 海面高度には夏は熱膨張で海面が高くなるという季節変化がある. そのため, ステリック成分を除かなくてはならない. そこで, 任意に定めた範囲において, 経度方向に対して 0.25 度ごと地衡流の最大値となる座標を求め, その地点の海面高度の平均をその日の流軸と定義した. ここで用いる地衡流は 1 日毎の海面高度から算出した後,3 ヶ月移動平均したものである. これから得られた結果については, シンポジウム当日に発表することにする.