JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-OS 海洋科学・海洋環境

[A-OS30] [JJ] 沿岸域の海洋循環・物質循環と生物の応答動態

2017年5月20日(土) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:森本 昭彦(愛媛大学沿岸環境科学研究センター)、田中 潔(東京大学)、福田 秀樹(東京大学大気海洋研究所国際沿岸海洋研究センター沿岸保全分野)、栗原 晴子(琉球大学)

[AOS30-P07] 釜石湾における湾口防波堤の破壊と再建にともなう海洋環境変化

*田中 潔1道田 豊1柳本 大吾1孫 艶枚1石津 美穂1小家 琢摩1 (1.東京大学)

キーワード:海水交換、湾口防波堤、釜石湾、東日本大震

沿岸に位置する釜石湾では、1960年のチリ津波の被害を受けて、世界最大水深(63 m)の湾口防波堤が建設された。ところが、2011年の東日本大震災に伴う巨大津波によって、湾口防波堤は壊滅的に破壊された。しかし、東日本大震災後に再び復旧工事が行われ、現在、それは概ね完成に近づいている。そこで、筆者らは、そうした湾口防波堤の破壊と再建に伴って、釜石湾内の海洋環境がどのように変化したのかを調べるために、CTDO(塩分・水温・深度・酸素)船舶観測を実施した。その結果、以下のことが分かった。

東日本大震災の前(2009年)は、湾口防波堤は湾内の海況を静穏化する一方で、海洋環境(水質)を悪化させる効果も有していた。すなわち、震災前の秋季(成層期)には、湾口防波堤が湾内と湾外の海水交換を妨げたため、防波堤内側の底層部に貧酸素水が形成されていた。他方、防波堤が破壊されていた震災直後の秋季(2011年)は、湾内と湾外の海水交換が活発化し、そうした貧酸素水の発生が緩和されていた。しかし、防波堤の再建が終了しつつある現在(2015年以降)は、再び貧酸素水が出現し始め、湾内下層の環境は悪化しつつある。